快感小説

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女の口(終話)

姉は藤城涼子、三十六歳、家庭があって子供もいます。私は柴田律子、
三十三歳、バツイチになったばかりの単身生活。そして小坂裕美枝は
三十歳で未婚の女性。私たち女三人の絆は切れるものではありません
が、それにしても姉には姉の暮らしがあって、私たちのマンションへ通い
になるのは仕方がなかった。
私は私のマンションに裕美枝を呼んで同居・・・いいえ、女同士の同棲
生活をはじめていたのです。
死神の手よりわずかに早く人の手で救われた・・・一度死んだような私た
ちは、それからの時間はもはや余生と考えました。
私と裕美枝の暮らしは・・・ふふふ・・・めくるめく性の生活。排泄までを見
せ合って、その排泄物に群がるカニやエビを食べ・・・。

そして・・・それより・・・ふふふ・・・。

私と裕美枝、姉と裕美枝であれば、もとより他人で、ビアン暮らしもいい
ものですが、私と姉・・・実の姉妹でありながら、激しく求め合うようになっ
ていた・・・69のスタイルで、私が姉にむしゃぶりついて、姉が私の花園
を舐めてくれ・・・牝の性獣の交わりに裕美枝が加わると、まさしくイキ狂
い・・・喘ぎとアクメ泣きと・・・失神までをも共有できる女の性室・・・そうね、
私のマンションは、淫獣の性室と化していたのです・・・。
忌まわしいあのことを忘れようとするように・・・そして、ともすると軽くなる
裕美枝の口を塞ぐため・・・だから同棲したのです。

SMチックと言うならそうでしょうが、ディルドやバイブ、電マ・・・それから
浣腸なんかもし合ったりして・・・乱れに乱れる日々を過ごした。
姉もね・・・ご主人との浅い性に嫌気がさして、暇さえあれば私か裕美枝
を抱きに来る・・・え? 抱かれに来る? そんな日々を・・・。
救い出された私たちは現地のテレビにも紹介され、日本に戻ってからも
女三人のサバイバルとして、好奇の視線を浴びたもの・・・おかげで、もと
もと文才のあった私にエッセイの仕事までが舞い込むようになりました。

あのとき・・・鍾乳洞の天に空いた岩の裂け目からロープが降ろされ、私
たちはそれを体にまわして縛り、一人ずつ引き上げられていったのでし
た。中にいる女の言葉から日本人だとわかったようで、孤島に集まってく
る地元の人たちの中に言葉のできる人がいて・・・。
「だいじょぶデスカ?」
「ええ、なんとか・・・ありがとう」
「地震のときから、ずっとデスカ?」
「そうです、階段が崩れてしまって」
「スゴイです・・・あれからもう一月イジョウ・・・よく生きて・・・あなたたちは
スゴイです・・・」
姉が救われ、裕美枝が救われ、最後に私が救われて・・・私たち三人は
汚れたパンティだけの裸女でした・・・火を使うのに、布地を少しずつタネ
火にするため燃やしてしまったから・・・。
「オンナ3人・・・サバイバルね・・・スゴイです・・・」


そして・・・私たち三人の快楽の日々が四ヶ月ほども続いたときです・・・。
現地インドネシア警察から二人、日本の警察官二人を伴って、男ばかり
四人がマンションへ訪ねてきたのです・・・。
日本の刑事さんの一人が言いました。
「こちらはインドネシア警察のお二人ですが、小坂裕美枝さんのお連れ
さんだった平井洋一さんの死についてお尋ねしたことがあると、こうして
わざわざお見えになったのです」
私たち三人は顔を合わせてその場にいました。現地警察の二人は眼光
が鋭く、明らかに問い詰める気迫がみなぎっていて・・・。

五十年輩のベテラン刑事が言いました。
「地震で全土が被害を受け、後回しになっていたのですが、じつは我々
警察が、あの中に入って調べたところ、平井洋一さんの死に不審なとこ
ろがありましてね。調書は拝見しましたが、もう一度そのときのことをお聞
かせ願えればと、参上した次第です・・・」
それを受けて、三十代の若い刑事が言います。物腰に険のある、いかに
も刑事といったふうでした。
「ダイバーを潜らせて遺体をあげたわけですが、ガイドの方はともかく、
平井洋一さんの遺体は全身ズタズタであった上に、骨の何カ所かに刃
物で削ったような痕がありましてね。明らかに自然死ではないのです」
とまくしたてる若造を先輩刑事が黙らせて、それから私たちに向かうので
した。

「頭蓋骨が陥没骨折していますが、これは崩れた鍾乳石が直撃してとい
うことですね?」
私が応えます。
「そうです。地震から数日後のことですが、洞窟の中で火を起こし、カニ
やエビを焼いているとき、天井が崩れてきて・・・私たちは火のそばから
離れていて無事でしたが、彼はその真下にいて直撃されて・・・」
「うむ、なるほど・・・うむ・・・そこまではいいのですよ。確かに頭頂部から
側頭部が砕けてまして、理屈は一応通るのです。直接の死因は頭部の
骨折による脳へのダメージです。ですが問題はその後でしてね・・・まず、
ではなぜ平井さんのご遺体は海の中に捨てられたのか・・・」
「それは、あのときも話しましたが、熱帯の気温の中で死体がすぐに腐り
だし、悪臭がひどかったからです。彼はすでに死んでいて、あのときは
生きている私たちが優先でしたから・・・」

「優先ですか・・・」
「そうです。生きるか死ぬかの状況ですので・・・」
若い刑事が詰め寄ろうとしたとき、ベテランの彼が静かに言った。
「我々としては、あなた方の生存を喜んでいるのです。平井さんには気
の毒だが、岩の崩落の直撃ではおそらく即死だったでしょう。それはご
遺体を見ればわかること・・・しかしですね、そのご遺体がなぜ・・・と考え
ると確かめずにはいられないのですよ。ご遺体は明らかにナイフで切り
刻まれているのですから。そのナイフも発見されていますが、ではなぜ、
そのナイフまでが海に捨てられていたのでしょうか。ナイフにこびりついた
血痕も平井さんの血と一致します。あのナイフで彼の死体は切り刻まれ
た・・・それをどう説明するか・・・」

あのとき・・・私が岩陰でトイレのためにパンティを下げたとき、背後から
彼に襲われた・・・それで怒った裕美枝が、崩れていた岩の破片で頭を
思い切り殴り、殺してしまった・・・事故に見せかけるため、ぐったりした彼
の頭を、私たちは三人がかりで岩に打ちつけ・・・頭の形が崩れるまで幾
度も打ちつけ惨殺した・・・。
しかしそれは事故だった・・・岩盤の崩落・・・殺しと証明できるものはない
はずで・・・。
私たちは口裏を合わせていた。平井というクズ野郎を葬った・・・それだ
けのことだった。獲れたカニやエビが少ないと、平井は自分だけで食べ
ようとし、雨水が減ってくると、私たちにナイフを突きつけて飲まそうとはし
なかった。
すべては私たち三人が生き延びるため・・・そのための戦いだった・・・。

ベテラン刑事が言いました・・・。

「平井さんの死を殺しと断定するものはありません。ご遺体の状況からし
ても事故で通るものでしょう・・・」
私たち三人は、それぞれに視線を合わせ、けれども固く口を閉ざした。
ふたたび刑事が言った。
「閉ざされた中での非常事態です・・・」
私が応えた。
「ええ、どうしようもありませんでした・・・」
「うんうん、そうでしょうね・・・あの状況では、そうするしかなかったのだと。
何としても生きるために・・・そうするしかなかったのだと・・・」
「・・・どういう意味ですの?」
「雨は何度か降りましたから水はどうにかなったでしょう。しかし、カニや
エビや・・・そんなものって、大人三人を一月以上も生かすほど獲れるもの
でしょうか・・・獲れたと思いたいところですが・・・」

現地の刑事が二人に日本の刑事が二人・・・その視線の中で、私たちは
しごく平然と醒めた顔で・・・以降、口を開くことはありませんでした・・・。


ナイフがあって、火が使え、肉があったということです・・・。

女の口(二話)

でも・・・このときはまだ、遠からず救助されると思っていた私たちです。
私たちをここまで運んだ船の船長さんが、バリ島ではなく別の島に立ち
寄ったところを地震に襲われ、倒壊した港の建物の下敷きになって死ん
でいようなどとは思ってもみないこと・・・ガイドの若い男性も離婚していて
独り住まい・・・いなくなっても行き先は誰も知らない・・・私たちも裕美枝
たちも、ものの数時間で行って戻れる外出をいちいちホテルに告げたり
はしていません。
そうなると、日本から来た四人がこんなところにいるなんて誰一人知らな
い・・・南海の孤島で携帯などは不通です・・・。

あまりのことに呆然とする女三人と男一人の中で・・・肝心の男が真っ先
におかしくなったのでした・・・男らしい冷静さを持ちながら、どうしようも
ない子供の一面が覗いてしまう・・・。
揺れが収まった次の瞬間から、鍾乳洞の中に重苦しい静寂と、そして蒸
し風呂のような熱気が満ち満ちていたのです。
その中で、ともかくも冷静な行動をはじめた彼は、洞窟の方々を見てまわ
り・・・。
「ダメだ、出られない」
「階段のところも・・・」 と裕美枝が言いかけたとき・・・。
「ダメだって! 崩れてるよ! ちくしょう! だからやめようって言ったじ
ゃないか! こんなところ・・・くだらねえ! まったくおまえはなんでそう
ミーハーなのか・・・ああちくしょう!」
裕美枝のところは、どうやら裕美枝が言い出して来たようです。彼の苛立
ちもわかりますが、喧嘩をしている場合じゃないはず・・・私たちの視線を
感じたのか、彼はふてくされながらも対応を考え出していたようです。

鍾乳洞のほとんど真上に、人が出入りできそうな割れ目はあるのですが、
なにせ丸い洞窟の真上です。ロープでも垂らしてもらわない限り、出るこ
とはできません。その他、二カ所にある割れ目は、猫でもなければ通れ
ない。
そんな割れ目のあちこちに、上にある木々の枯れ枝が引っかかり・・・と、
そんなような状況でした。
鍾乳洞は広いといえば広いのですが、見てまわるほどでもない。私たち
は完全に閉じこめられてしまったのです。
彼が、垂れ下がる鍾乳石の下に置かれたガイドさんのリュックに気づき、
開けてみると、2リットルのペットボトル一本の水、乾パン一袋、それに長
さ数メートルの細い紐、小さな折りたたみのナイフ、現地のタバコ二箱に
使い捨てライター・・・そんなものが入っていました。でも乾パンなどは袋
が古く、いつのものかも知れません。
そしてその他、私たちと、裕美枝たちがそれぞれ持ち込んだものがあり。
少しのお菓子とか、小さなペットボトルのジュースとか・・・。

女三人が見ている前で、それらをひろげた彼が、洞窟を見回しながら言
いました。
「食い物と水か・・・枯れ木はあるし・・・ライターもある・・・」
そんな彼に裕美枝が言います。
「じきに助けに来てくれるでしょう?」
「わからんだろう! 地震でやられてるかも知れんし・・・くっそー! なん
でこんな目に・・・あーちくしょう!」
「そんな怒らなくても・・・」
「ちぇっ・・・」 と悪態をつきながらも、そこは男・・・彼は私たち姉妹も含め
て見渡して、言うのでした。
「あんたらもそうだけど、ここは暑い。水が切れるとヤバイんだ。食い物だ
って一日分もありゃしない・・・」
と言いながら、ガイドさんが崩れた岩もろとも呑み込まれた、洞窟の傾斜
の下の暗い海を見ます。
「見てみろよ、水の底が暗いだろう、光がまるで射してない。少しぐらい潜
ったところで外には出られないってことさ。 しかし・・・うむ・・・」

考える素振りをした彼が・・・リュックサックの肩ベルトに細紐の端を結び
ながら、私たち女が、そのときまだ思ってもみなかったことを言い出しまし
た・・・。
「誰でもいい、クソしたくならないか」
ハッとしました・・・そうだわ、閉ざされたこの中で・・・恥ずかしいなんて言
ってられない・・・。
女三人、動転した気も収まって・・・いっぺんに現実に引き戻された感じ
です。
「リュックの中にクソを入れて沈めておくのさ・・・カニとかエビとか食い物
が集まってくるはずだ。雨でもなければ水がない。水は食い物から摂る
しかないんだ・・・そうやって何かが獲れれば、次にはそいつを餌にタコ
とか・・・そういうものがいればの話だが・・・」
言いながら彼・・・服を脱ぎだし、ブリーフだけの裸になって・・・。
「あんたらも脱ぎな。極力汗をかかないように、水でも浴びてないと持たな
いぞ・・・なんてこった・・・ちくしょう・・・」

それから彼は・・・リュックに一度結んだ紐を解きはじめ、私の持っていた
飲みさしのジュースの小さなペットボトルの首に結び・・・中にジュースを
入れたまま口を固く締め・・・岩盤の割れ目に引っかかっていた枯れ枝
に向かって投げ上げて・・・いとも簡単に、枯れ枝を引きずり落とし、ナイ
フで小枝を削ぎ落としていったのです・・・。
「薪にするんだ。煮炊きもそうだが煙で人を・・・こんなところに船なんてい
るのかどうか・・・ちくしょう・・・あーくだらねえ!」
彼はつまり、こんなところに行きたがった彼女への嫌味を言いたかった
のでしょうが、聞いていて気分のいいものではありません。二人の間は険
悪そのもの・・・気まずいったらありゃしない・・・。
それに・・・私たちにすれば、上下の下着姿になった私たちへの性的視
線も気分が悪く・・・まして、トイレのことなど最悪です。
鍾乳洞には大きく育った石筍もあり、しゃがんだときの腰から下を隠す場
所はあるのですが、ポケットティッシュなどはすぐになくなり、それからは
ハンカチで拭いては傾斜の下に降りて海で洗う、そんなありさま・・・。
広いといっても狭い洞窟・・・穴があって風が抜けるといっても匂いはこも
る・・・考えないようしようとしても、男の人の気配はどうしようもありません。

便は捨てずに置いておき、彼が枯れ枝を箸のようにして、便を取っては
リュックの中に入れ、海に沈めて罠にする・・・女にとってそれがいかに
恥ずかしいことか・・・臭いし汚いし・・・
でも・・・その罠の効果はそこそこあって、小さなカニやエビが獲れたので
す。一日に一人数匹のカニとかエビとか・・・それと水は、地震のあった
翌日に雨が降り、洞窟の低いところに水たまりができていた・・・。
なんとか死なずにいられる・・・そんな日々が続いていました。
「うるせえ! だいたいてめえが言い出さなきゃ、こんなことにはならなか
ったんだ! こんなところで死にたくねえぞ、くそったれ!」
彼の苛立ちはますますひどく、私たちが裕美枝を守ってあげなければ、
殴る蹴るの暴力になりかけて・・・。
裕美枝が私たちのそばで呟きます。
「私もう・・・」
「え?」
「彼とはダメ・・・ここを出られたら・・・もうイヤ・・・」
「そうね・・・男らしくないというのか・・・」
「お二人ともごめんなさい・・・彼、ああゆう人なんです・・・」

裕美枝は、彼とのことに迷いがあったと打ち明けました。暴力的なところも
あって・・・でも年下だからと我慢してきたと言う・・・。
そしてそれは私たちに対する態度もそうでした。最初のうちの遠慮もなく
なり・・・私や姉がトイレでしゃがんでいるのに平気で覗くようになっていた。
私たちだって空腹で・・・喉が乾いて・・・洞窟が臭くて臭くて・・・イライラし
ていて・・・。
「ちょっと、見ないでよ!」
姉の声に私と裕美枝が振り向くと、姉はトイレ・・・ウンチでした。
「ふふん・・・しょうがねえだろ、閉じこめられちまってるんだから。しかしよ、
あんたら二人、いい女じゃん・・・いいカラダしてる・・・ふふふ・・・」

裕美枝が可哀想です・・・私たちに気を遣い、小さくなって、謝ってばかり
だし・・・。
精神的にもそうですが、肉体的にも、もはや限界・・・罠に何もかからなけ
れば食べるものがありません。水だって、雨でできた水たまりは減ってい
き・・・このまま雨がなければもう・・・。


「おおい! 中に誰かいるのか!」 と怒鳴っているらしいのですが現地
の言葉はわかりません。
煙でした。煮炊きの煙を、通りがかった船が見つけてくれたのです。
「助けてー! ヘルプ! 助けてぇー!」
「誰かいるぞー! おい、無線だ無線! ロープ持って来い!」
現地の言葉の怒鳴り声です・・・助かった・・・そう思ったとき、私たちは抱
き合って泣きました・・・。

地震から一月ほども過ぎていた・・・助かったのが奇跡です。

女の口(一話)

ベッドで裕美枝は子犬のように裸身を震わせ達していきます。私との性、
姉との性、そして私と姉に裕美枝を加えた三人での肉欲・・・裕美枝は
私や姉に見守られていることがすべてのように裸身を震わせ果てていく。
生存の瀬戸際で生まれた絆がいかに強いか、私も姉も、貪欲に乱れる
裕美枝の女体を見ていて思うのです。
乳房を揉まれ乳首を吸われるだけで果てていき・・・女の花芯をいじられ
て果てていき・・・私や姉の腰につけたゴムのペニスに犯されて、狂うよう
に果てていく・・・。
そしてそれは、私や姉もそうなので・・・私に犯され姉は果て・・・姉に犯さ
れ私が果てて・・・裕美枝に愛されて私も姉も達していく・・・。
女三人の性生活はやさしく深く、そしてある忌まわしい想いを共有する
私たち三人にとっては、それこそが精神的にも救いとなるものだったの
です。

半年前まで、私も姉も、裕美枝に対する面識などなく、なのに初対面で
いきなり心の淵でつながることができていた・・・それもこれも生存の瀬戸
際でできた、まさしく命の絆と言えたでしょう。


いまから半年前・・・。

私の離婚で、姉が気晴らしを考えてくれ、私たちはインドネシアのバリ島
へ出かけたのです。私も姉もパスポートのいる旅なんて独身時代以来の
こと。姉には家庭があって子供もいますが、旦那の実家ということで、子
供を任せて比較的自由に家を出ることができたから・・・今回は妹の傷心
旅行ということで、姉妹揃って大手を振って一週間の滞在型の旅にした。
観光地をうろうろせずにバリから動かない予定だったのです。
このとき、別の旅行会社のツアーで、裕美枝とその婚約者の二人がバリ
に来ていた。ホテルも違えば旅の内容も違う二人と、あのことがなければ
出会うこともなかったはず・・・。

そして、私たちの滞在三日目、裕美枝たちにとっては滞在二日目のこと
ですが、せっかくここまで来てホテルに缶ヅメというのもなんだねというこ
とになり、私たちはオプションツアーに出ることにしたのです。
オプションといっても旅行会社の用意する正式なものではなく、現地調
達のオプションツアー。インドネシアは島の連なる国土です。その中に
旧日本軍の遺物のある無人島があるらしく、現地の漁師さんが私たちの
ような日本からの観光客目当てに勝手にやっているものでした。

で、その島に向かう漁船の上で、私たちは裕美枝ら二人と出会うことと
なったのです。
気晴らしにここまで来て、なにが悲しくて日本人カップルと一緒なのって
思いはありましたが、それは偶然のなせることで仕方がありません。
小さな漁船にお客は私たち姉妹と裕美枝とその婚約者の四人だけ。現
地人のガイドさんがついてくれ、後は船の船長さんの六人です。
そのガイドさんの妙な言葉が面白く、私たちは日本人と同舟の煩わしさ
を忘れていました。もともと行き先に期待したわけでもなくて、バリ島を船
で出て、岸沿いにエメラルドグリーンの穏やかな海をゆく。それだけでも
充分な気晴らしになったのです。
ガイドさんは三十前後のまだ若者。船長さんは五十年輩の、どちらも気
のいい人たちでした。

「あー皆サン、今日は乗ってもらってありがとござます。これからご案内せ
る島は、小さくムジン島ですが、ニッポン軍の残した聴音所跡があります
る」
「聴音所?」 思わず私が訊きました。
「はいはい、聴音所です。海の中の音を聴くですよ。スクリュー音ね、そ
れから潜水艦のソナー音とか、海軍の施設なんでする・・・でもですが、
じつはそんなもんはどーでもよくて、そこには地下壕がありまするが、そ
こから地下にひろがる素晴らしか鍾乳洞に入っていけまする。そこがす
ごく綺麗なのね。なので、おすすめしたいわけでする・・・なははっ!」
聞いているといつの間にか笑ってる。それは裕美枝たち二人もそうでし
た。私は柴田律子、三十三歳、姉は藤城涼子、三十六歳ですが、小坂
裕美枝は三十歳でも見た目が若く、後になって婚約者だと知らされた
平井洋一など、まだ二十八歳の、そんなカップルの笑顔でした。

バリ島から船に揺られて三十分ほどだったでしょうか・・・絵に描いたよう
な、ほんとに南海の孤島に着きました。ガイドさんを含めた五人を降ろす
と、船は一旦引き返してしまいます。島での所要時間を逆算して終わる
頃に迎えに来る手筈のようで・・・。
島は小さく、いまでは無人島になっていて、潮騒と風の音ぐらいの静かな
ところ。海原に飛び出した岩礁のてっぺんに木が生えた、日本でも見か
けるほんとにいい感じの島なのです・・・。

聴音所の施設跡は、その生い茂る木の下にコンクリートブロックでちっ
ぽけな建物が造られてあり、窓にガラスなどははまってなくて、中はもぬ
けの殻・・・そして建物横に、やはりコンクリートで固められた地下壕への
口がありました。
人一人がやっと通れる口を入り、コンクリートではなく自然のままの岩石
を削った階段を下りていくと、中は薄暗く、照明さえなく、でも岩礁の割
れ目から射し込む明かりだけで充分明るい、まさに穴場といったような
場所だったのです。
階段を少し下りると、そこはおそらく弾薬庫跡・・・コンクリートで固められ
た四角く狭い空間が広がって、その先に、さらに下へと向かう岩の割れ
目が口を開け・・・。
地下なのでしょうが、島の岩礁に割れ目が多くて光が射し込み、ライトが
なくても充分中が見渡せます。

そこからは階段のない自然のままの岩礁の中を行き、あるところから景色
が一変・・・乳白色の鍾乳石の洞窟に出たのです。洞窟の天からは大き
なクラゲのような鍾乳石が幾重にも折り重なって、足下にもタケノコみたい
な石筍がにょきにょきと生えている・・・洞窟の天に岩の裂け目が口を開け、
青い空が見渡せます。
鍾乳洞はそれほど大きなものではありませんでしたが、それでも大人数
人が広がって歩けるほど。奥行きも深く、奥に向かってなだらかな傾斜に
なっていて、鍾乳洞そのものが地底から続く黒い海へと落ち込んでいる
のです。

ガイドさんは、持ち込んだリュックサックを置くと、あたりの鍾乳洞を指差し
ながら言いました。
「あー、鍾乳石は海の中ではできませんです。このへんは昔々、陸地だ
ったですけれども、地殻の変動と海の上昇で沈んでしまい、こんなように
なったでする」
なるほどと思いながら説明を聞いていて・・・でもそれこそそんなことはどう
でもよくて、私たち姉妹は美しい地底の景色に見とれていたのです。

足許から衝き上げる揺れが襲ったのはそんなときでした・・・地震です。

立っていられないほどの縦揺れが来て、ほとんど一瞬にして状況が一変
しました。柔らかい鍾乳石がボロボロと崩れ落ち、悲鳴を上げる間もない
ぐらいの一瞬で・・・崩れ落ちた巨大な鍾乳石が先頭に立っていたガイド
さんを直撃し、暗い海の中へともろとも引きずり込んでいったのです。
揺れはほんの一瞬でしたが・・・地盤が崩れ、退路を断たれた私たち四
人は、そこだけ崩れなかった鍾乳洞の空間に閉じこめられてしまったの
です。

岩礁の割れ目から射し込む光だけが平和であって、私たちにとっての地
獄が、この瞬間からはじまったのでした・・・。

樹の妻

 あのとき 私 迷い込んでここにきた

 私が消えた 消息不明

 二月すぎて戻ったときに神かくしとさわがれた

 その森めがけて友だちつれて歩いてる

 玲子です 大学の天文クラブで出会った子

 ケキョケキョケキョ 小鳥たちのハミング重奏

 初夏の緑が萌えていて精液臭ほど青くさい

 空スコーン お陽様キラキラ 風そよぐ

 おとぎの国にいるような美しい森なのです

 けれどもね 私のなかに暗い心が揺らいでた




「わぁ凄い、綺麗ねー!」
「でしょでしょー! 穴場よねー、そう険しくもない山なのに、ほん
と人が少ないのー。会社の山好きアニキに聞いたんだー」
「サイコー! こんな山、はじめてよ」

 山といっても登山用具のいるような場所でない。なのに誰も近づか
ない。神隠しの山という別名があるぐらい、なぜか迷ってしまう山。
だけど私は二度目です。あれほど鮮烈な記憶があれば、忘れたくても
忘れられないコースです。
 私の場合、山は宇宙よ。あちこちの天文台を訪ね歩いて、ここだっ
て・・いえ、それは言いません、場所がわかってしまうから。


 シャラララ・・涼しげな沢流れ。

「少し休も、おなか空いた」
「うん! 綺麗なお水・・・ガラスが流れてるみたいよね」
「飲んでごらん、美味しいよ、山清水だから冷たいの」
  二人ともジーンズ、ジャケット、スニーカー。小さなザックを背
負ってる。でも装備はその程度。玲子は、水晶みたいな六角岩の間を
降りて沢石をまたぎ、お水をすくって飲んでいた。
「うめえー! ほんと冷たいー!」
「でしょー。ペットボトルの名水なんてメじゃないわ」
 それでお昼をパクついて、それからまた歩きだす。

 だけどあの子は不安がる・・。
「ねえ大丈夫? どんどん深くなってくよ?」
「まかしときって。前にも来てるからへっちゃらよっ」

 斜面を縫うアップダウンのある道は、鹿道と言われて、つまりは獣
たちの専用道路。この山には熊はいないはずだから女の子でも安心で
きる。
 けれど・・あるところを境に森の様相が変わってしまう。原生の健
康な森だったものが、空や風や取り巻くものをそのままに、人が手を
加えたように植生が切り替わってしまうのです。
「ねえ・・何かおかしくない? 見たこともない樹ばかりになっちゃ
った」

 それらの樹には生い茂る枝葉はなく、濃い緑色をした幹が生えてい
て、そこから、ちょうどイソギンチャクの触手のような何本かの枝に
分かれ・・その枝が綺麗なピンク色をして、まさにイソギンチャクそ
のままで、枝に葉がないのです。
 そして樹の幹が、蛇そっくりの細かなウロコにつつまれていて、緑、
青、金色、銀色・・光を跳ねて色を変え、煌めいてる。

「ねえマリ、ヤだよ、あたし怖い」
「大丈夫よー、この樹のせいでここには人がいないんだから。よく見
てごらん、綺麗でしょう」
「う、うん・・綺麗なのは綺麗だけど気味悪い」
「ほら、あそこにひときわ立派な樹があるでしょ」
「あるね。まるで主みたいな」
「そうそう、あの樹の前に立ってごらん、触れると幸せになれる樹な
のよね、やさしいんだから・・ふふふ」

 怖がる玲子の背を押して樹の前に立たせます。
 そして、あの子がおそるおそる幹に触れた、そのとたん・・。

「きゃぁぁーっ! 何よコレーっ! マリぃ! マリぃ! 助けてぇ
ーっ!」
「さよなら玲子。主様に約束したのよ、別な誰かを連れて来るって。
うふふ、楽しんで幸せにね」
「嫌ぁぁーっ! ウソよーっ! 嫌ぁぁーっ!」

 私は樹々を見渡します。
「私の主様、それからみんなもいずれまた。ふふふ・・あはははっ!」

 私はマリ。二十七つ。いまはまだ独身です。彼がいます。
 結婚するって思っていたし彼だってプロポーズしてくれた。抱かれ
ててスキンをなくせる日を望む。もちろん玲子にだって紹介したし、
仲間たちで遊んでいました。
 その彼に・・大切なあの人に玲子は近づきすぎたのです。
 もう一人、由美がいる。山に興味のないあの子をどうやって連れて
くるか・・流星群・・流れ星でも餌にしようか。


 あのとき私は・・半年ほど前のことでした。

 天文台からの帰り、表のルートがつまらなく、男の子と三人で手つ
かずの山の中を歩いてた。険しい山ではなかったけれど山を甘く見て
いたの。霧が出た。一寸先が見えなくなって私だけがはぐれてしまっ
た。トイレで離れただけのなのに霧は白い闇となる。彼らも探してく
れたけど、あらぬ方へと彷徨って迷ってしまった。

 樹々よりも猖獗する下草です。背丈ほどもある下草がはびこって、
泳ぐように歩いていると、ここに出た。
 山の中でそこだけが脱毛したよう草がない。林床がなめらかで、
なぜかちょっと温かかった。
 霧をしのいだ。そして霧が晴れたとき、見たこともない不思議な樹
が目の前にあったのよ。

「ヘンな樹ね」
 その頃はまだ主様を中心に何本かの小さな樹群れがあるだけだった。
 私は樹に近寄って、蛇のようにキラキラと色を変えて煌めくウロコ
の肌を撫でてみた。
 そうしたら・・。

 イソギンチャクの触手のようなピンクの枝が樹の手となって、一斉
に蠢きだして私を絡めとっていく。幾重にも巻きついて太い縄で抱か
れるみたいに身動きできない。そのうち触手の先が五本に分かれて、
手先のようにカタチを変えて・・樹はそれまでの歴史の中で人間を見
ていたからね、人のカタチを真似ることを覚えていたのよ。
 触手は子供の腕ぐらいでひとつかみできたけど。それがにょきにょ
き伸び出して無数の腕に絡みとられてしまったの。
 指のカタチに変化したいくつもの手に嬲られた。着ているものをむ
しり取られて素っ裸にされていく。

 断末魔・・あのときの悲劇的な自分の声を覚えてる。
 恐怖で失禁、泣き叫んでもがいていたわ。

 樹の手に私は蹂躙された。乳房を揉まれ、お尻をつかまれ、恐ろし
い力で体を開かれて前から後ろから性穴嬲り・・そしたら緑色の太い
幹から別の触手が伸び出して、先が二股に分かれていって・・女体の
デザインに合わせるように大小二本のペニスとなって、アソコとアナ
ルを一気に犯され、そうされながら乳房を揉まれ、乳首をコネられ、
体中もみくちゃで・・それはセックス束縛・・。
 ピンクの触手は粘液を分泌して・・催淫・・媚薬・・そんなものを
体中に塗りたくられて。

 地獄のようなアクメが続いた。イッてもイッてもイキ続けた。
 人の女が樹に抱かれた。樹にレイプされたのです。
 私は裸よ、すっぽん全裸。服が散乱していても、触手のひとつが首
輪となって私をつないで放してくれない。
 山の夜は冷えるでしょう。だけどそれも、寒さに丸まってると主様
の抱擁が幾重にも絡みつき、それがとっても温かく、私をぐっすり寝
かせてくれたわ。

 食べなければおなかが空くわね。それだって主様が、幹からペニス
を生やしてくださり、別の手に髪をつかまれて、しゃぶれとおっしゃ
る。
 それでご奉仕すると・・トロロ・・ピュピュピューッ。
 甘い射精をくださるの。ハチミツそっくりなドロリとした液体です。
美味しい! それがとっても甘くて美味しくおなかがいっぱい。体の
調子もすこぶるよくて・・豊かな栄養だったのですね。

 そして私は・・三日に一度、大きなドングリみたいな種を産んだ。
樹に犯され孕んだ女が、樹の赤ちゃんを産んだのです。子宮がもぞも
ぞしはじめて、種はするりと膣を抜けて産まれ出た。
 主様のお手が伸びて地面を指差し、埋めろとおっしゃる。
 土に埋めてほんのしばらく、ベイビーピンクの触手が伸び出し、新
しい樹に育ってく。

 三日にひとつ。私が神隠しにあっていたのは二月だから二十かそこ
ら・・次々産んでは植えていき、そこからまた樹が育つ。
 私が迷い込んだとき、ほんの数本だった不思議な樹は、いまはもう
三十本ほどに増えている。主様との子供たち。
 主様は私を殺す気なんてありません。生殖のための妻なのですから。

 おやさしく、美味しい精液をたくさんくださる主様でしたが、私は
泣いてお願いしました。結婚したい人がいた。別な女をかならず連れ
て来ますからって。
 主様は樹なのですが、その知性は素晴らしく、わずか数日で私の言
葉を理解され、さらに数日でお体に声をお持ちになったのです。

 悪魔の響き・・ドス低いお声です。

「人間・・連れてくる・・約束するか」
「はい、お誓いいたします、ご主人様」
「おまえの中には私の精が植えてある・・約束を違えればおまえの中
で暴れだし、おまえを樹に変えるだろう」
「お誓いします、かならず連れて来ますから。主様のことも誓って誰
にも話しません。どうか私を許してください、たくさんの子供を産ん
だ妻なのですよ、どうか信じてくださいませ」

 そのときでした・・裸で立ってる私の膣から、にょろりとピンク色
した触手が・・それはまるで背伸びしすぎたクリトリスのように膣か
ら伸び出し、蠢いてる。

「樹にされるのは嫌。きっとお誓いいたします。あぁん主様、私の旦
那様・・生涯おそばにお仕えします」
「ふふふ・・可愛い女よ・・ならば行け。おまえの中に私がいること、
忘れてはいけない。多くの女・・男でもよいが・・人間を連れて来い。
ふっふっふ・・やがて我らはこの星を・・だが、おまえだけは殺さな
い・・妻だから」
「はい、お慕いします、ご主人様」
 素っ裸で樹にすがり、何本もの触手に抱きくるまれて・・そして私
は山を降りてきたのです。

 もう一人、とにかく由美を連れて行く。子供の頃から知ってる子。
親友でしたが、口惜しいけれど由美はとても美人です。鼻にかけてる。
見下してるわ。許せないのよ、なんとなく。
 そうです、ただなんとなく目障りなんです。


「おい見てみろ・・女みたいな樹があるぜ」
「わおっ、セクシー! あははは!」
「ヤだ・・でも、ほんとに女から枝が生えてる感じよね。彫刻の森み
たい」
 男の子が二人、私と由美。グループで向かいます。男の子には気の
毒ですがしかたがなかった。由美は私を警戒していて一人ではついて
こない。

 そこにはウロコを着せたヌードアート。樹にされた玲子がいたので
す。玲子もたくさん産んだようね。私が産んだ子供らと一緒になって、
大きな森をつくりはじめていたんです。

「うわぁぁーっ! バケモノーっ!」

「何だ、これはーっ!」

「きゃぁぁーっ! 助けてマリぃーっ!」

 ふんっ・・悲鳴に背を向けて真っ青な空を見ていた。
 さよなら由美。樹にされても美人でしょうけど、その前にたくさん
種を産んであげてね。くくく・・あはははっ!

 男二人は私にとってどうでもいい存在でした。主様ではなく子供た
ちの触手に絡めとられた男たち。裸にされて触手に縛りつけられるよ
う樹に抱かれ、やがては樹に取り込まれて樹を育てる肥料にされてい
くのです。育ち盛りはよく食べるから困っちゃう。

 しなやかな裸身のままウロコを着て、樹にされた玲子のアソコをま
さぐってやりました。そしたら樹が、せつなげにしなしなと悶え揺れ、
細かなウロコに覆われたその顔が・・目が・・パッチリ目が開くので
す。

「あら、まだ生きてるの? ごめんね玲子、こうされて感じるかしら?
ほうら・・ほうら気持ちいい・・」
 クチュクチュまさぐってやるんです。樹になっても穴ヌレしてた。
「ほうら樹が悶えてる。気持ちいいんだ・・ふふふ、もっとシテ欲し
いわね・・きゃはははっ!」
 もう声は出せないよう・・その目からツーッて涙がこぼれたわ。


「あ、ほらぁ、流れ星! 綺麗ねー! お願いしなくちゃ、幸せにな
れますようにっと! あははは!」
「ふっふっふ、子供か、おまえ」
「だって綺麗なんだもーン! うふふっ!」
 新婚旅行はハワイです。海を見渡すバルコニー。ビーチベッドに主
人と二人、裸で寝そべっていたんです。流れ星がすーっと尾を引いて
消えていきます。

 いつの頃なのか、そのひとつがあの山に落ちてきて、主様が芽を出
されたということですね・・。

「ぁ・・ぁぁ・・」
「マリ、愛してる」
「うふふ、うん。早く赤ちゃん欲しいねー!」

 私の中の生命体の遺伝子が人の精子を得たときに、どんな姿になる
のでしょう。

「ねえ・・」
「うむ?」
「・・ううん、いいの」
 いい男だわ。惚れ惚れしちゃう硬さと角度・・ん?

 でも・・そのうち飽きたら、あなただって樹の餌よ・・。

陰婿様

「孝ちゃん、イロっぽくなったよねー。新妻ともなると、こうも違う
ものかと思っちゃう」
「はいはい失礼しちゃうわね・・うふふ、でも、ほんとにそう?」
「違うよー、ゼンゼン違う! 満たされてますって顔してる。夜はも
っと寝かせてねーってか! あははは!」
「もうエッチなんだから!」

 変わったと同性の友だちからも言われます。自分では変化なしって
思っていても、あるときを境に評価の変わることがある。私への好評
がますます私を磨いていって、さらに私をよくしていく。主人のため
にもいい流れになっていると思います。

 相葉孝子、二十六歳。それが独身の頃の私です。川上孝子に名前が
変わり三月が過ぎようとしています。主人は三つ歳が上。職場で出会
った二人です。

 プロポーズされたとき私がまず思ったのは、姉のようになりたくな
いってことでした。お姉ちゃんは四つ上なんですが、男運が悪いとい
うのか、すでに二度離婚している。二度目はついこないだで、結婚で
家を出る私と入れ違いに家に戻った女です。

 私は彼を愛しています。
 でもね、愛しているから愛されるとは限らない。ずっと愛される女
でいたいと思ったときに、ほとんど忘れかけていた学生の頃の記憶が
蘇ったのです。
 部活でスキーをやっていた私は、合宿もそうですし、友だちたちと
もあちこち出かけて遊んできました。冬の山は夜には冷え込み、宿に
こもってひっそりしている。そんな夜、民宿のお婆さんからちょっと
怖い話を聞いたのでした。

「女人沢?」
「そうそう、ここらでは女人沢と言われておるがの。深い深い山の中
に湧く泉で男子禁制、滅多に人の行かんところじゃ。好き好んで行く
のは嫁入り前の娘ぐらいのもんじゃろか。ともかくそんなところじゃ
よ」
 幸せを願う娘たちが身を清めに行くところ・・だそうですけれど。
「ここらのお山にゃ霊山がいくつもあっての。ほれ修験者なんかの出
入りするお山じゃが、そのうちのひとつなんじゃよ」
 女の子は怖いもの見たさ。あのときは女四人のスキー宿、唾を飲ん
で聞いていたのを思い出す。

「朝早くに、日の出の頃にそこへ行ってな、氷のように冷たい泉に浸
かるのじゃが、その前に平タ岩に平伏して・・」
「ひらた岩?」
「ほうじゃ、泉のそばにあるのじゃよ。真っ白な一枚岩での、上が平
らになっておるから平タ岩、行けばわかるて。素裸になっての、平タ
岩に平伏して陰婿様に願うのじゃ」
「かげむこ様?」
「霊山には霊が集う。女人沢には女人の霊と思うじゃろうがそうでは
のうて男衆の御霊が集う。それらを陰婿様と言うのじゃが、そのお心
におすがりするのじゃ。さすれば陰婿様は娘の生涯に付き添って娘を
守ると言われておる。このわしも・・くくく、気の遠くなるほど昔の
ことじゃが御霊に祈ったものじゃよ。おかげでわしは三度連れ合いを
替えたが幸せじゃった。そなたらも行くなら行ってみてもいいじゃろ
うが、ただし、御霊を尊び、何があろうが起ころうが身を委ねて逆ら
ってはならんのじゃ。逆らえば御霊はたちどころに悪霊へと姿を変え
る。まぁ、いまどきの娘らならば行かん方がいいじゃろう。ふっふっ
ふ」
「それはどうして? どうして行かない方がいいの?」
「陰婿様が貞操を要求するからじゃよ。許されるのは夫となる者との
まぐわいだけ。ふしだらを許す陰婿様ではないからの」

 そんな夢のような記憶をたどり、私は出かけてみたのです。
 学生の頃といっても、ほんの数年前のこと。民宿はそのまんま、お
婆さんもそのまんま・・何も変わらない山の中の宿でした。
「女人沢へ? ほうほう、そなたそれで来たのか?」
「はい、あのときお婆さんにお話を聞かせていただいて・・私、来月
結婚するんです。ですからその前にと思って」
「ふむふむ、身を清めておきたいということか。感心な子じゃな」
 沢までの道は行けばわかるとおっしゃいました。宿の裏手にのびる
山への道をひたすら行くだけ。途中から獣道に変わり、迷いようがな
いと言うのです。
 そして翌朝、山々の稜線が白みだす頃、私は一人宿を出ました。

 凄い山です・・なだらかな斜面が続き、妖気の漂うような森の中に
人一人がやっと歩ける道が続く。
 チョロチョロチョロ・・清水の音が聞こえはじめ、折り重なる山岩
の狭間に女人沢はありました。

 怖いのです。怖くて怖くて震えてしまう。けれど私はどうしても姉
のようにはなりたくなかった。
平タ岩・・塩を固めたような真っ白な岩があり、そのすぐ先がいび
つに丸い清水溜まりになっていて、透き通った水底の真っ白な山砂が
湧き水にゆらゆら揺れて舞っていた。

 一糸まとわぬ裸になります。

 森の目に見つめられているようです。

 裸足になって一切を身につけず、平タ岩に正座をします。夜明けの
岩です。闇に冷えた岩は冷たく、それだけで心が引き締まる気がしま
す。
 お婆さんの言葉を思い出していたんです・・「おかげさまと言うじ
ゃろう。ひとたび陰婿様に平伏せば、それから以降のことは陰婿様の
おぼしめし。おかげさまでいう気持ちを忘れんようにな」・・宿を出
る私のことを、お孫さんでも送り出すように抱いてくださったお婆さ
ん。
 それが心をやさしくしてくれていたのです。

「陰婿様・・相葉孝子、二十六歳です。これまでの自分を振り返り、
これからは自分に恥じない日々を過ごしていくつもりです。結婚しま
す。私は彼を愛しています。愛される妻となれるよう、どんなことで
もいたしますので、どうか私をお導きくださいませ」
 身をたたんで白い岩に額を擦るようにお願いします。そして岩を立
ち、水晶のように透明な山の泉に裸身を沈めていくのです。

 冷たい。肌が切れるほど冷たい水。

 底が透けているのに胸ほどまである深さ。その清水に立った私は、
知らず知らず手を合わせ、声もなく祈っていました。

 そうしたら・・ああ、そんな・・。


 体がすーっと浮くような感じがして、水面の下だった乳首が現れ、
おなかが現れ、下腹の翳りが現れて・・私は水の上に立っていた。
宝石のような水の上に沈むことなく立っていたのです。
 山清水で冷えた体が、まるで男たちに寄ってたかって抱かれるよ
うに温かくなってきて、このとき私は陰婿様に受け入れられたと感
じました。

 嬉しくて嬉しくて涙があふれてくるんです。


「じゃ行ってくる、遅くならないとは思うけど」
「うん、気をつけてね」
「ああ。愛してる、大好きだ」
「うんっ」
 キスをして送り出します。身震いするほど幸せです。

 主人を送り出してすぐ、浴室へと続く脱衣場で全裸になって、綺
麗な鏡に私を映す。白い心が肌まで白く見せるのか、ほんと白くて
綺麗な私。お婆さんの言葉を思い出していたんです。
「陰婿様は生涯そなたを守るじゃろう。そしてもし、そなたの旦那
さんが裏切るような真似をするなら、陰婿様は決してそれを許さな
い。地獄に堕ちた亡者のような苦しみを旦那さんに与えるじゃろう」
「それってまさか、命まで?」
「それはそなた次第じゃよ。命をかけたそなたを裏切ったのじゃ。
命がけで償わない限り、それをそなたが許さない限り、血ヘドを吐
いて死んでいくじゃろう」


 鏡に映った私の裸身・・見えない力に両手が開かれ・・。
 真っ白な乳房が、後ろからの見えない手形に波打って・・。
 むにゅむにゅと揉みしだかれて・・。
 乳首がつままれ・・ふわふわつぶれてコネられて・・。
 お尻を突き出す私の膣に冷たいペニスを感じるの・・。

「はぁぁ陰婿様ぁ・・ありがとうございます、気持ちいい」

 陰婿様はいつもこうして現れて妻となった私を抱くわ。性的な不
満は私にはやってこない。主人との夜がなくなっても、若さを失う
歳になっても陰婿様は抱いてくれる。
 主人の妻でありながら霊の妻でもある私。そしてもし主人が私を
裏切るようなことがあると陰婿様は呪い殺す・・陶酔する愛撫の心
地よさに微笑みながら、ふとそう思ったときに、私はまたお婆さん
の言葉を思い出していたのです。

 娘の頃に私のように平タ岩に平伏したお婆さんは、三度もご主人
を替えている。
 それはつまり、お婆さんを泣かせた夫たちが陰婿様に呪われて・・。

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