category: その女、危険性。  1/1

その女、危険性。(五話)

五話 女の豹変  思い立ってそのままドライブ。紀代美のクルマ。ドライブをせがんだのは明江だった。夫のいない週末はめずらしい。あの嫌な女をどうしてやろうと考えると異常なほど興奮したし、いまはそれよりも紀代美のことをもっと知りたい。ときめく男性に出逢えたときの想いに似ていると明江は思った。力に裏打ちされた自信を女にくれる。呪い。そんなことができるのなら苦しまなくていいことが女にはたくさんあるはずだ。  ...

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その女、危険性。(四話)

四話 手さぐり 翌朝のこと。  目覚めの予兆を感じたとき、明江はあえて意識して目を閉じて大きなベッドのシーツに手を這わせていた。夫のいない夜。触れる素肌があってはならないし、それがなければ昨夜のことは夢だった。夢であれば激しい淫夢。女同士で貪り合って獣のようなピークを知った。夢であるなら私の中に隠しておける肉欲への想い。  しかし手はすぐそばに眠る女の裸身を感じてしまう。紀代美。昨夜のことが夢でない...

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その女、危険性。(三話)

三話 女の闇  明江はただ呆然とするだけで何も考えられなくなっていた。黒いローテーブルの上で起きていることを信じろというのか。信じるしかない。夢ではない。覚醒した意識の中で確かに思う。そうは思うのだが、あまりの不思議とあまりの恐怖に声も出ない。  テーブルに置いたはずのたった一本の獣の毛。それがいま明かりを消した闇の中で、仄かに光る青色の光の繭につつまれて、その光の中で小さく可愛い狐の姿に化身してこ...

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その女、危険性。

二話 殺風景  渋谷にあるK2のオフィスから京王井の頭線で吉祥寺、そこからJRで高円寺というのが河原明江の帰宅ルート。渋谷からJRで新宿をまわってもよかったのだが、K2を知ったきっかけとなった友人の乾沙菜(いぬい・さな)が吉祥寺に住んでいて、時間が合えば一緒に帰ることが多かった。そのルートで定期を買ったということだ。  高円寺駅の南口を出てロータリーを斜めに突っ切り、少し歩くとチャコールグレーの煉瓦...

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その女、危険性。(一話)

一話 ランチタイム『黙って聞いて適当に応えてちょうだい』・・と、携帯への着信でした。  電話を取るなり一方的な早口で、目下の私の儀礼的な言葉を遮った。相手は社長だったんです。小さなオフィスには耳があり、そのとき嫌な女もいたことだし、悟られたくない話というわけで・・。 「あー、はいはい。ごめん、いま仕事中なんだ、手短にね」  そう言って周りの人たちにちょっと笑うと、案の定、嫌な女が嫌味な視線を向けてい...

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