category: その女、危険性。  1/3

その女、危険性。(十二話)

十二話 多重する禍根  得体の知れない悪魔的な力に犯されたという確かな記憶が明江の中に残っていた。裸身に何かがからみつく寒気と怖気、そして超常的な快楽の折り重なった性の記憶。股間に太い何かをくわえこんだ感覚が残っているのに、ハッとして目覚めたとき、明江は何事もなかったように黒い下着を着たまま、全裸の浅里、全裸の佳衣子に左右から寄り添われ、ホテルの大きなベッドに眠っていた。時刻は深夜の一時になろうと...

  •  closed
  •  closed

その女、危険性。(十一話)

十一話 憑き物  明江と紀代美の関係の中で、明江にとってのSかM、紀代美にとってのSかM、そして女同士の性関係も、それらは行為ではなく心の置き所の問題だった。あるとき責めて心地よく、しかしあるとき責められて心地よく、あるとき同種の性器に安堵する。心のねじれのようなものを解消しようとする切ないまでの愚行。それは誰にでもあるもので良心の呵責と言ったりする。  その夜の二人は互いにSとMを交差させるように...

  •  closed
  •  closed

その女、危険性。(十話)

十話 磨りガラスの夜  妻にとっての夫との性。明江にとってのそれは不満があると言えるほど冷えた夜でもなかった。営みが減ったというのも、付き合って一年、結婚から二年を経た夫婦の落ち着きであり、穏やかに確かめ合う夜とでも言えばよかったのだろう。  妻に対してまっすぐ愛を向けてくれる夫。抱かれていて妻は、この人を捨てていいものかと考える。夫婦としては無難に、もう一人の私として解放されるといった都合のいい関...

  •  closed
  •  closed

その女、危険性。(九話)

九話 新たな土壌で その同じ金曜日。明江が佳衣子のマンションに乗り込んだ時刻のこと、福地紀代美はふらりとドライブに出ていた。今夜は明江がいなく陽子もまた旦那が家にいて動けない。このところマンション内で女同士の特異な関係ができていたが、それまでの紀代美は孤独を楽しむように生きていた。  呪詛という恐ろしい力を持って人心の裏を知ってしまうと、孤独はむしろ解放される時間となるもの。思い立ってふらりと出る...

  •  closed
  •  closed

その女、危険性。(八話)

八話 同性上位  家にいて陽子を紀代美と共有する。オフィスでは浅里を屈服させ、間もなくそれは佳衣子をも巻き込んだ性関係に発展していく。  空狐を知って自らを囲む防御柵が消えた女の欲望は抑制するべきブレーキを失った。そんな明江にとって夫との平板な生活に魅力はないと言ってもよかっただろう。子供は欲しい。しかしただそれだけで、できてしまえばそれから先はありきたりな女の末路が待っているだけ。穏やかでやさしい...

  •  closed
  •  closed