快感小説

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林檎(一話)

海の見えるペンションでした。独り旅でここに来て、食堂の片隅に
置かれてあった古い絵本を手に取った・・・辛くなって閉じていた。
「お一人ですかな?」
「え・・・」
いいお歳のおじいちゃんです。宿のエプロンを着けてます。
「こちらの方・・・?」
「そうそう・・・ふふふ・・・娘夫婦がやってましてね、手伝っているん
です。ぼーっとしてると、ほら、ボケちゃうでしょ・・・ふふふっ」
シワでくちゃっとした顔の中で、丸い目が笑ってる。悪気のない
素敵な人だと感じます。
その人が、私のそばに座り込んで言うのです。

「その林檎、可哀想だと思われますか?」
「え?」
「その絵本、娘がまだ小さかった頃、私が与えたものなんですよ。
打ち身があって泥のついた林檎さん・・・きっと夢見て木になって、
でも大風で落ちてしまって泥だらけ・・・可哀想な林檎です」
「え、ええ・・・そうですね・・・ちょっと酷なお話です」
「うむ、まったく。ウチの娘も可哀想だと言いますが・・・しかしいま、
私はそうは思わない」
目を細め、窓越しの冬荒れの海を見渡しながら、おじいさんが静か
に言う。冬の海は嫌いです。景色が冷えて見えるから。
「それは? どうしてですの?」
「その林檎は弱すぎます。手に取られるのを待つだけで、生まれ
変わろうとしていない。泥は洗えば綺麗になるし、打ち身があって
も、蜜があって美味しいところがあるのなら、皮を剥いて裸になっ
て、自ら打ち身を削り取る努力がいる。そうすれば美味しく食べて
もらえるでしょう」

返す言葉がありません。こんな季節外れに女が独り。林檎の旅を
見透かされる気分です。
「でも・・・」
「なんです?」
「弱い林檎もいるのです・・・どうしようもなくて、もがくだけ・・・」
「なら・・・」
「はい?」
「腐っていくだけでしょう。懸命に裸になって・・・醜態を曝す勇気
を持って脱ぐことです。裸になって汚れたところを削ぎ落として
しまえばいい」
「・・・」
「あ・・・いかんいかん、また悪い癖が出た・・・ともかく、そんなもの
だと思うんですよ・・・子供の話は残酷でいかん・・・うん、いかん」

おじいさんが席を立ちかけたそのときに、娘さん・・・きっとそうです、
宿に来たとき、フロントにいた女性・・・歳は私と同じぐらいか・・・。
その人がエプロン姿でやってきて、おじいさんに言うのです。
「お父さん、また余計なこと言ったんじゃないでしょうね・・・もう、あっ
ち行っててよ・・・お客様なんですよ・・・」
と言って、私に目を流してずまなそうに頭を下げる。
おじいさんは連行されて・・・うふふ・・・それきり静かになりました。

冬の海は孤独です・・・誰にも振り向いてもらえずに荒れてるような
気がします。

夕食を終えて、部屋に戻ってしばらくしたとき、さっきの娘さんが
お茶を運んでくれたのです。
「先ほどはどうもすみません・・・お父さん、また林檎の話をしたそう
ですね、とっちめておきました。どうかお気を悪くなさらないでくださ
いませね。まったくしょうがない・・・」
「いいえ・・・うふふ、ちょっとズキッとしましたけれど・・・打ち身を
削り取る努力をしていない・・・それって私そのものだわって考えて
しまいました」
お茶を淹れてくれながら、娘さん・・・いいえ、この宿のママさんは
おっしゃいます。
「父は・・・」
「はい?」
「わかるのですよ・・・放っておけないタチなんです。こんなこと言っ
ていいのかどうなのか・・・」
「はい・・・どうぞ? おっしゃってくださいよ。お聞きしたいわ」

膝立ちでお茶を淹れ、私にすすめて、それからママさんが座ります。
余計なことを言ってしまったと・・・言葉に窮する感じがします。
「ほんとにどうぞ・・・聞きたいんです・・・」
「そうですか・・・ではあれですが・・・」
おじいさんには娘さんが二人・・・このママさんの上にお姉さんが
おいでなって・・・でもその人は・・・。
「・・・睡眠薬・・・そんな・・・」
「裏切られ・・・それからもいろいろあって・・・汚れきったと思ったの
でしょう・・・打ち身だらけの林檎になって・・・それで姉は・・・あ、
いえいえ、いまはもう元気なんですよ。郷里の山形で母と暮らして
いますけど」
笑顔を作ろうとされるママさんです・・・そんなことがあったから、
おじいさんは私に対して・・・このとき私・・・死んだ父を思い出して
いたのです。

「うふふ・・・私は・・・」
「はい?」
「私は自分で死ねるほど強くありません・・・それに・・・」
「・・・はい?」
「それに・・・」
「あ、お茶淹れましょうねっ・・・どうしましょう困ったわ、せっかくの
お泊まりですのに・・・ごめんなさい・・・」

「それにもう臆病になってしまって男の人を愛せない気がする・・・」

そんなことがあってからママさんと仲良くなって、パソコンでメール
を交わしたりしていたの・・・ペンションを訪ねたのが真冬の一月で、
それからもう三月が過ぎて、春らしくなっていた。
ママさんからぜひにと誘われて、私はまたペンションを訪ねたの
です。その日は私の誕生日で三十四歳・・・それをママさんは知っ
ていて・・・だから呼んでくれたのです。

ママさんもそうですし、やさしい感じの旦那様も・・・二人いる坊や
たち、それにおじいさんもとっても元気。おじいさん喜んで、私の
手を取り、笑ってくれた。
着いてすぐ気になったのは・・・あの可哀想な林檎の絵本。チェック
インして三時過ぎで、夕食が六時半から。内風呂で汗だけ流して浴
に着替え、ちゃんちゃんこを羽織った姿で・・・夕食にはまだ早い
六時前に食堂を覗いたのです。あの林檎の絵本が読みたくて。

そうしたら・・・。

あのときの大きな窓から海を眺め、一見して私より少し下ぐらいの男
の人が、絵本を手に取っていた。可哀想な林檎の絵本・・・絵本は
やっぱり古びていて・・・ジャージ姿の男性の大きな手にくるまれて
いたのです。
スポーツマンなのでしょう、日焼けしたその男性と、子供の絵本の
違和感に、何となく呆然と手許の絵本を見ていたの・・・そしたら
そんな私の気配を察して、その方が振り向かれ・・・。
けれどそのとき・・・いけない・・・見てはいけないと思いながら、なぜ
だか目がそらせず、その方を見つめてしまったの。

右後ろに立つ私から見て、顔の向こう側・・・顔の左半分にすごい
傷・・・頬骨のところから耳許・・・ほっぺ・・・顎の下まで、顔半分に
ひどい傷があるのです。
古い傷です。いまはもう、すっかりよくなっているのですが・・・。
そして・・・私の視線が呆然として・・・懸命に視線を下げて絵本を
見ようとしたことが伝わったのか・・・彼がね・・・これですかって感じ
で、手の中の絵本へ目を落とすのです。
「これ、ここの名物絵本なんですよ」
「そ・・・そうなんですか・・・」
「うん・・・僕はこれが好きでしてね、ここに来ると見ちゃうんです。
僕は海で来てますが・・・あ、潜りですよ・・・それで何度も来てますが、
この絵本お節介じいさんのセットが有名らしい・・・ふふふ・・・さあ、
どうぞ。いま終わったところです」

なるほどね・・・おじいさんたら、独り旅の女を見ると片っ端から・・・。
このペンションの人々に温もりを感じていた私です。

そしてそのとき、調理場からママさんが顔を出し、私たちを見つけて
笑顔で歩み寄って来られたのです。
「あらタカちゃん」
「よっ」
「そう言えば偶然だわ、こちらもタカちゃん・・・高田さんとおっしゃる
のよ」
それで・・・その男性と何となく微笑み合って・・・。
「高田結です」
「あ、はい・・・僕は谷本隆夫です、はじめまして」

それが・・・出逢いとなりました・・・。

林檎(イントロ)

あかくてきれいなりんごのなかに うちみがあって

どろのついた りんごさんがひとつある。

おおかぜでおっこちて おやまのうえから

ころがりおちたりんごさんです。

あかくてきれいなりんごさんはうれていき うちみがあって

どろのついたりんごさんが ぽつんとひとつ。

おとこのこがてにもって いうのです。

「こんなのいやだぁ、ほかのがいい」

ほかのはみんなうれていき うちみがあって

どろのついたりんごさんがのこってる。

うちみがあって どろのついたりんごさんがさけびます。

「うちみがあって どろがついてて いたんでいるけど

みつがあって おいしいところもあるんだよー」

でも りんごさんはうれのこり ぽつんとひとつ ないてます。

女の口(終話)

姉は藤城涼子、三十六歳、家庭があって子供もいます。私は柴田律子、
三十三歳、バツイチになったばかりの単身生活。そして小坂裕美枝は
三十歳で未婚の女性。私たち女三人の絆は切れるものではありません
が、それにしても姉には姉の暮らしがあって、私たちのマンションへ通い
になるのは仕方がなかった。
私は私のマンションに裕美枝を呼んで同居・・・いいえ、女同士の同棲
生活をはじめていたのです。
死神の手よりわずかに早く人の手で救われた・・・一度死んだような私た
ちは、それからの時間はもはや余生と考えました。
私と裕美枝の暮らしは・・・ふふふ・・・めくるめく性の生活。排泄までを見
せ合って、その排泄物に群がるカニやエビを食べ・・・。

そして・・・それより・・・ふふふ・・・。

私と裕美枝、姉と裕美枝であれば、もとより他人で、ビアン暮らしもいい
ものですが、私と姉・・・実の姉妹でありながら、激しく求め合うようになっ
ていた・・・69のスタイルで、私が姉にむしゃぶりついて、姉が私の花園
を舐めてくれ・・・牝の性獣の交わりに裕美枝が加わると、まさしくイキ狂
い・・・喘ぎとアクメ泣きと・・・失神までをも共有できる女の性室・・・そうね、
私のマンションは、淫獣の性室と化していたのです・・・。
忌まわしいあのことを忘れようとするように・・・そして、ともすると軽くなる
裕美枝の口を塞ぐため・・・だから同棲したのです。

SMチックと言うならそうでしょうが、ディルドやバイブ、電マ・・・それから
浣腸なんかもし合ったりして・・・乱れに乱れる日々を過ごした。
姉もね・・・ご主人との浅い性に嫌気がさして、暇さえあれば私か裕美枝
を抱きに来る・・・え? 抱かれに来る? そんな日々を・・・。
救い出された私たちは現地のテレビにも紹介され、日本に戻ってからも
女三人のサバイバルとして、好奇の視線を浴びたもの・・・おかげで、もと
もと文才のあった私にエッセイの仕事までが舞い込むようになりました。

あのとき・・・鍾乳洞の天に空いた岩の裂け目からロープが降ろされ、私
たちはそれを体にまわして縛り、一人ずつ引き上げられていったのでし
た。中にいる女の言葉から日本人だとわかったようで、孤島に集まってく
る地元の人たちの中に言葉のできる人がいて・・・。
「だいじょぶデスカ?」
「ええ、なんとか・・・ありがとう」
「地震のときから、ずっとデスカ?」
「そうです、階段が崩れてしまって」
「スゴイです・・・あれからもう一月イジョウ・・・よく生きて・・・あなたたちは
スゴイです・・・」
姉が救われ、裕美枝が救われ、最後に私が救われて・・・私たち三人は
汚れたパンティだけの裸女でした・・・火を使うのに、布地を少しずつタネ
火にするため燃やしてしまったから・・・。
「オンナ3人・・・サバイバルね・・・スゴイです・・・」


そして・・・私たち三人の快楽の日々が四ヶ月ほども続いたときです・・・。
現地インドネシア警察から二人、日本の警察官二人を伴って、男ばかり
四人がマンションへ訪ねてきたのです・・・。
日本の刑事さんの一人が言いました。
「こちらはインドネシア警察のお二人ですが、小坂裕美枝さんのお連れ
さんだった平井洋一さんの死についてお尋ねしたことがあると、こうして
わざわざお見えになったのです」
私たち三人は顔を合わせてその場にいました。現地警察の二人は眼光
が鋭く、明らかに問い詰める気迫がみなぎっていて・・・。

五十年輩のベテラン刑事が言いました。
「地震で全土が被害を受け、後回しになっていたのですが、じつは我々
警察が、あの中に入って調べたところ、平井洋一さんの死に不審なとこ
ろがありましてね。調書は拝見しましたが、もう一度そのときのことをお聞
かせ願えればと、参上した次第です・・・」
それを受けて、三十代の若い刑事が言います。物腰に険のある、いかに
も刑事といったふうでした。
「ダイバーを潜らせて遺体をあげたわけですが、ガイドの方はともかく、
平井洋一さんの遺体は全身ズタズタであった上に、骨の何カ所かに刃
物で削ったような痕がありましてね。明らかに自然死ではないのです」
とまくしたてる若造を先輩刑事が黙らせて、それから私たちに向かうので
した。

「頭蓋骨が陥没骨折していますが、これは崩れた鍾乳石が直撃してとい
うことですね?」
私が応えます。
「そうです。地震から数日後のことですが、洞窟の中で火を起こし、カニ
やエビを焼いているとき、天井が崩れてきて・・・私たちは火のそばから
離れていて無事でしたが、彼はその真下にいて直撃されて・・・」
「うむ、なるほど・・・うむ・・・そこまではいいのですよ。確かに頭頂部から
側頭部が砕けてまして、理屈は一応通るのです。直接の死因は頭部の
骨折による脳へのダメージです。ですが問題はその後でしてね・・・まず、
ではなぜ平井さんのご遺体は海の中に捨てられたのか・・・」
「それは、あのときも話しましたが、熱帯の気温の中で死体がすぐに腐り
だし、悪臭がひどかったからです。彼はすでに死んでいて、あのときは
生きている私たちが優先でしたから・・・」

「優先ですか・・・」
「そうです。生きるか死ぬかの状況ですので・・・」
若い刑事が詰め寄ろうとしたとき、ベテランの彼が静かに言った。
「我々としては、あなた方の生存を喜んでいるのです。平井さんには気
の毒だが、岩の崩落の直撃ではおそらく即死だったでしょう。それはご
遺体を見ればわかること・・・しかしですね、そのご遺体がなぜ・・・と考え
ると確かめずにはいられないのですよ。ご遺体は明らかにナイフで切り
刻まれているのですから。そのナイフも発見されていますが、ではなぜ、
そのナイフまでが海に捨てられていたのでしょうか。ナイフにこびりついた
血痕も平井さんの血と一致します。あのナイフで彼の死体は切り刻まれ
た・・・それをどう説明するか・・・」

あのとき・・・私が岩陰でトイレのためにパンティを下げたとき、背後から
彼に襲われた・・・それで怒った裕美枝が、崩れていた岩の破片で頭を
思い切り殴り、殺してしまった・・・事故に見せかけるため、ぐったりした彼
の頭を、私たちは三人がかりで岩に打ちつけ・・・頭の形が崩れるまで幾
度も打ちつけ惨殺した・・・。
しかしそれは事故だった・・・岩盤の崩落・・・殺しと証明できるものはない
はずで・・・。
私たちは口裏を合わせていた。平井というクズ野郎を葬った・・・それだ
けのことだった。獲れたカニやエビが少ないと、平井は自分だけで食べ
ようとし、雨水が減ってくると、私たちにナイフを突きつけて飲まそうとはし
なかった。
すべては私たち三人が生き延びるため・・・そのための戦いだった・・・。

ベテラン刑事が言いました・・・。

「平井さんの死を殺しと断定するものはありません。ご遺体の状況からし
ても事故で通るものでしょう・・・」
私たち三人は、それぞれに視線を合わせ、けれども固く口を閉ざした。
ふたたび刑事が言った。
「閉ざされた中での非常事態です・・・」
私が応えた。
「ええ、どうしようもありませんでした・・・」
「うんうん、そうでしょうね・・・あの状況では、そうするしかなかったのだと。
何としても生きるために・・・そうするしかなかったのだと・・・」
「・・・どういう意味ですの?」
「雨は何度か降りましたから水はどうにかなったでしょう。しかし、カニや
エビや・・・そんなものって、大人三人を一月以上も生かすほど獲れるもの
でしょうか・・・獲れたと思いたいところですが・・・」

現地の刑事が二人に日本の刑事が二人・・・その視線の中で、私たちは
しごく平然と醒めた顔で・・・以降、口を開くことはありませんでした・・・。


ナイフがあって、火が使え、肉があったということです・・・。

女の口(二話)

でも・・・このときはまだ、遠からず救助されると思っていた私たちです。
私たちをここまで運んだ船の船長さんが、バリ島ではなく別の島に立ち
寄ったところを地震に襲われ、倒壊した港の建物の下敷きになって死ん
でいようなどとは思ってもみないこと・・・ガイドの若い男性も離婚していて
独り住まい・・・いなくなっても行き先は誰も知らない・・・私たちも裕美枝
たちも、ものの数時間で行って戻れる外出をいちいちホテルに告げたり
はしていません。
そうなると、日本から来た四人がこんなところにいるなんて誰一人知らな
い・・・南海の孤島で携帯などは不通です・・・。

あまりのことに呆然とする女三人と男一人の中で・・・肝心の男が真っ先
におかしくなったのでした・・・男らしい冷静さを持ちながら、どうしようも
ない子供の一面が覗いてしまう・・・。
揺れが収まった次の瞬間から、鍾乳洞の中に重苦しい静寂と、そして蒸
し風呂のような熱気が満ち満ちていたのです。
その中で、ともかくも冷静な行動をはじめた彼は、洞窟の方々を見てまわ
り・・・。
「ダメだ、出られない」
「階段のところも・・・」 と裕美枝が言いかけたとき・・・。
「ダメだって! 崩れてるよ! ちくしょう! だからやめようって言ったじ
ゃないか! こんなところ・・・くだらねえ! まったくおまえはなんでそう
ミーハーなのか・・・ああちくしょう!」
裕美枝のところは、どうやら裕美枝が言い出して来たようです。彼の苛立
ちもわかりますが、喧嘩をしている場合じゃないはず・・・私たちの視線を
感じたのか、彼はふてくされながらも対応を考え出していたようです。

鍾乳洞のほとんど真上に、人が出入りできそうな割れ目はあるのですが、
なにせ丸い洞窟の真上です。ロープでも垂らしてもらわない限り、出るこ
とはできません。その他、二カ所にある割れ目は、猫でもなければ通れ
ない。
そんな割れ目のあちこちに、上にある木々の枯れ枝が引っかかり・・・と、
そんなような状況でした。
鍾乳洞は広いといえば広いのですが、見てまわるほどでもない。私たち
は完全に閉じこめられてしまったのです。
彼が、垂れ下がる鍾乳石の下に置かれたガイドさんのリュックに気づき、
開けてみると、2リットルのペットボトル一本の水、乾パン一袋、それに長
さ数メートルの細い紐、小さな折りたたみのナイフ、現地のタバコ二箱に
使い捨てライター・・・そんなものが入っていました。でも乾パンなどは袋
が古く、いつのものかも知れません。
そしてその他、私たちと、裕美枝たちがそれぞれ持ち込んだものがあり。
少しのお菓子とか、小さなペットボトルのジュースとか・・・。

女三人が見ている前で、それらをひろげた彼が、洞窟を見回しながら言
いました。
「食い物と水か・・・枯れ木はあるし・・・ライターもある・・・」
そんな彼に裕美枝が言います。
「じきに助けに来てくれるでしょう?」
「わからんだろう! 地震でやられてるかも知れんし・・・くっそー! なん
でこんな目に・・・あーちくしょう!」
「そんな怒らなくても・・・」
「ちぇっ・・・」 と悪態をつきながらも、そこは男・・・彼は私たち姉妹も含め
て見渡して、言うのでした。
「あんたらもそうだけど、ここは暑い。水が切れるとヤバイんだ。食い物だ
って一日分もありゃしない・・・」
と言いながら、ガイドさんが崩れた岩もろとも呑み込まれた、洞窟の傾斜
の下の暗い海を見ます。
「見てみろよ、水の底が暗いだろう、光がまるで射してない。少しぐらい潜
ったところで外には出られないってことさ。 しかし・・・うむ・・・」

考える素振りをした彼が・・・リュックサックの肩ベルトに細紐の端を結び
ながら、私たち女が、そのときまだ思ってもみなかったことを言い出しまし
た・・・。
「誰でもいい、クソしたくならないか」
ハッとしました・・・そうだわ、閉ざされたこの中で・・・恥ずかしいなんて言
ってられない・・・。
女三人、動転した気も収まって・・・いっぺんに現実に引き戻された感じ
です。
「リュックの中にクソを入れて沈めておくのさ・・・カニとかエビとか食い物
が集まってくるはずだ。雨でもなければ水がない。水は食い物から摂る
しかないんだ・・・そうやって何かが獲れれば、次にはそいつを餌にタコ
とか・・・そういうものがいればの話だが・・・」
言いながら彼・・・服を脱ぎだし、ブリーフだけの裸になって・・・。
「あんたらも脱ぎな。極力汗をかかないように、水でも浴びてないと持たな
いぞ・・・なんてこった・・・ちくしょう・・・」

それから彼は・・・リュックに一度結んだ紐を解きはじめ、私の持っていた
飲みさしのジュースの小さなペットボトルの首に結び・・・中にジュースを
入れたまま口を固く締め・・・岩盤の割れ目に引っかかっていた枯れ枝
に向かって投げ上げて・・・いとも簡単に、枯れ枝を引きずり落とし、ナイ
フで小枝を削ぎ落としていったのです・・・。
「薪にするんだ。煮炊きもそうだが煙で人を・・・こんなところに船なんてい
るのかどうか・・・ちくしょう・・・あーくだらねえ!」
彼はつまり、こんなところに行きたがった彼女への嫌味を言いたかった
のでしょうが、聞いていて気分のいいものではありません。二人の間は険
悪そのもの・・・気まずいったらありゃしない・・・。
それに・・・私たちにすれば、上下の下着姿になった私たちへの性的視
線も気分が悪く・・・まして、トイレのことなど最悪です。
鍾乳洞には大きく育った石筍もあり、しゃがんだときの腰から下を隠す場
所はあるのですが、ポケットティッシュなどはすぐになくなり、それからは
ハンカチで拭いては傾斜の下に降りて海で洗う、そんなありさま・・・。
広いといっても狭い洞窟・・・穴があって風が抜けるといっても匂いはこも
る・・・考えないようしようとしても、男の人の気配はどうしようもありません。

便は捨てずに置いておき、彼が枯れ枝を箸のようにして、便を取っては
リュックの中に入れ、海に沈めて罠にする・・・女にとってそれがいかに
恥ずかしいことか・・・臭いし汚いし・・・
でも・・・その罠の効果はそこそこあって、小さなカニやエビが獲れたので
す。一日に一人数匹のカニとかエビとか・・・それと水は、地震のあった
翌日に雨が降り、洞窟の低いところに水たまりができていた・・・。
なんとか死なずにいられる・・・そんな日々が続いていました。
「うるせえ! だいたいてめえが言い出さなきゃ、こんなことにはならなか
ったんだ! こんなところで死にたくねえぞ、くそったれ!」
彼の苛立ちはますますひどく、私たちが裕美枝を守ってあげなければ、
殴る蹴るの暴力になりかけて・・・。
裕美枝が私たちのそばで呟きます。
「私もう・・・」
「え?」
「彼とはダメ・・・ここを出られたら・・・もうイヤ・・・」
「そうね・・・男らしくないというのか・・・」
「お二人ともごめんなさい・・・彼、ああゆう人なんです・・・」

裕美枝は、彼とのことに迷いがあったと打ち明けました。暴力的なところも
あって・・・でも年下だからと我慢してきたと言う・・・。
そしてそれは私たちに対する態度もそうでした。最初のうちの遠慮もなく
なり・・・私や姉がトイレでしゃがんでいるのに平気で覗くようになっていた。
私たちだって空腹で・・・喉が乾いて・・・洞窟が臭くて臭くて・・・イライラし
ていて・・・。
「ちょっと、見ないでよ!」
姉の声に私と裕美枝が振り向くと、姉はトイレ・・・ウンチでした。
「ふふん・・・しょうがねえだろ、閉じこめられちまってるんだから。しかしよ、
あんたら二人、いい女じゃん・・・いいカラダしてる・・・ふふふ・・・」

裕美枝が可哀想です・・・私たちに気を遣い、小さくなって、謝ってばかり
だし・・・。
精神的にもそうですが、肉体的にも、もはや限界・・・罠に何もかからなけ
れば食べるものがありません。水だって、雨でできた水たまりは減ってい
き・・・このまま雨がなければもう・・・。


「おおい! 中に誰かいるのか!」 と怒鳴っているらしいのですが現地
の言葉はわかりません。
煙でした。煮炊きの煙を、通りがかった船が見つけてくれたのです。
「助けてー! ヘルプ! 助けてぇー!」
「誰かいるぞー! おい、無線だ無線! ロープ持って来い!」
現地の言葉の怒鳴り声です・・・助かった・・・そう思ったとき、私たちは抱
き合って泣きました・・・。

地震から一月ほども過ぎていた・・・助かったのが奇跡です。

女の口(一話)

ベッドで裕美枝は子犬のように裸身を震わせ達していきます。私との性、
姉との性、そして私と姉に裕美枝を加えた三人での肉欲・・・裕美枝は
私や姉に見守られていることがすべてのように裸身を震わせ果てていく。
生存の瀬戸際で生まれた絆がいかに強いか、私も姉も、貪欲に乱れる
裕美枝の女体を見ていて思うのです。
乳房を揉まれ乳首を吸われるだけで果てていき・・・女の花芯をいじられ
て果てていき・・・私や姉の腰につけたゴムのペニスに犯されて、狂うよう
に果てていく・・・。
そしてそれは、私や姉もそうなので・・・私に犯され姉は果て・・・姉に犯さ
れ私が果てて・・・裕美枝に愛されて私も姉も達していく・・・。
女三人の性生活はやさしく深く、そしてある忌まわしい想いを共有する
私たち三人にとっては、それこそが精神的にも救いとなるものだったの
です。

半年前まで、私も姉も、裕美枝に対する面識などなく、なのに初対面で
いきなり心の淵でつながることができていた・・・それもこれも生存の瀬戸
際でできた、まさしく命の絆と言えたでしょう。


いまから半年前・・・。

私の離婚で、姉が気晴らしを考えてくれ、私たちはインドネシアのバリ島
へ出かけたのです。私も姉もパスポートのいる旅なんて独身時代以来の
こと。姉には家庭があって子供もいますが、旦那の実家ということで、子
供を任せて比較的自由に家を出ることができたから・・・今回は妹の傷心
旅行ということで、姉妹揃って大手を振って一週間の滞在型の旅にした。
観光地をうろうろせずにバリから動かない予定だったのです。
このとき、別の旅行会社のツアーで、裕美枝とその婚約者の二人がバリ
に来ていた。ホテルも違えば旅の内容も違う二人と、あのことがなければ
出会うこともなかったはず・・・。

そして、私たちの滞在三日目、裕美枝たちにとっては滞在二日目のこと
ですが、せっかくここまで来てホテルに缶ヅメというのもなんだねというこ
とになり、私たちはオプションツアーに出ることにしたのです。
オプションといっても旅行会社の用意する正式なものではなく、現地調
達のオプションツアー。インドネシアは島の連なる国土です。その中に
旧日本軍の遺物のある無人島があるらしく、現地の漁師さんが私たちの
ような日本からの観光客目当てに勝手にやっているものでした。

で、その島に向かう漁船の上で、私たちは裕美枝ら二人と出会うことと
なったのです。
気晴らしにここまで来て、なにが悲しくて日本人カップルと一緒なのって
思いはありましたが、それは偶然のなせることで仕方がありません。
小さな漁船にお客は私たち姉妹と裕美枝とその婚約者の四人だけ。現
地人のガイドさんがついてくれ、後は船の船長さんの六人です。
そのガイドさんの妙な言葉が面白く、私たちは日本人と同舟の煩わしさ
を忘れていました。もともと行き先に期待したわけでもなくて、バリ島を船
で出て、岸沿いにエメラルドグリーンの穏やかな海をゆく。それだけでも
充分な気晴らしになったのです。
ガイドさんは三十前後のまだ若者。船長さんは五十年輩の、どちらも気
のいい人たちでした。

「あー皆サン、今日は乗ってもらってありがとござます。これからご案内せ
る島は、小さくムジン島ですが、ニッポン軍の残した聴音所跡があります
る」
「聴音所?」 思わず私が訊きました。
「はいはい、聴音所です。海の中の音を聴くですよ。スクリュー音ね、そ
れから潜水艦のソナー音とか、海軍の施設なんでする・・・でもですが、
じつはそんなもんはどーでもよくて、そこには地下壕がありまするが、そ
こから地下にひろがる素晴らしか鍾乳洞に入っていけまする。そこがす
ごく綺麗なのね。なので、おすすめしたいわけでする・・・なははっ!」
聞いているといつの間にか笑ってる。それは裕美枝たち二人もそうでし
た。私は柴田律子、三十三歳、姉は藤城涼子、三十六歳ですが、小坂
裕美枝は三十歳でも見た目が若く、後になって婚約者だと知らされた
平井洋一など、まだ二十八歳の、そんなカップルの笑顔でした。

バリ島から船に揺られて三十分ほどだったでしょうか・・・絵に描いたよう
な、ほんとに南海の孤島に着きました。ガイドさんを含めた五人を降ろす
と、船は一旦引き返してしまいます。島での所要時間を逆算して終わる
頃に迎えに来る手筈のようで・・・。
島は小さく、いまでは無人島になっていて、潮騒と風の音ぐらいの静かな
ところ。海原に飛び出した岩礁のてっぺんに木が生えた、日本でも見か
けるほんとにいい感じの島なのです・・・。

聴音所の施設跡は、その生い茂る木の下にコンクリートブロックでちっ
ぽけな建物が造られてあり、窓にガラスなどははまってなくて、中はもぬ
けの殻・・・そして建物横に、やはりコンクリートで固められた地下壕への
口がありました。
人一人がやっと通れる口を入り、コンクリートではなく自然のままの岩石
を削った階段を下りていくと、中は薄暗く、照明さえなく、でも岩礁の割
れ目から射し込む明かりだけで充分明るい、まさに穴場といったような
場所だったのです。
階段を少し下りると、そこはおそらく弾薬庫跡・・・コンクリートで固められ
た四角く狭い空間が広がって、その先に、さらに下へと向かう岩の割れ
目が口を開け・・・。
地下なのでしょうが、島の岩礁に割れ目が多くて光が射し込み、ライトが
なくても充分中が見渡せます。

そこからは階段のない自然のままの岩礁の中を行き、あるところから景色
が一変・・・乳白色の鍾乳石の洞窟に出たのです。洞窟の天からは大き
なクラゲのような鍾乳石が幾重にも折り重なって、足下にもタケノコみたい
な石筍がにょきにょきと生えている・・・洞窟の天に岩の裂け目が口を開け、
青い空が見渡せます。
鍾乳洞はそれほど大きなものではありませんでしたが、それでも大人数
人が広がって歩けるほど。奥行きも深く、奥に向かってなだらかな傾斜に
なっていて、鍾乳洞そのものが地底から続く黒い海へと落ち込んでいる
のです。

ガイドさんは、持ち込んだリュックサックを置くと、あたりの鍾乳洞を指差し
ながら言いました。
「あー、鍾乳石は海の中ではできませんです。このへんは昔々、陸地だ
ったですけれども、地殻の変動と海の上昇で沈んでしまい、こんなように
なったでする」
なるほどと思いながら説明を聞いていて・・・でもそれこそそんなことはどう
でもよくて、私たち姉妹は美しい地底の景色に見とれていたのです。

足許から衝き上げる揺れが襲ったのはそんなときでした・・・地震です。

立っていられないほどの縦揺れが来て、ほとんど一瞬にして状況が一変
しました。柔らかい鍾乳石がボロボロと崩れ落ち、悲鳴を上げる間もない
ぐらいの一瞬で・・・崩れ落ちた巨大な鍾乳石が先頭に立っていたガイド
さんを直撃し、暗い海の中へともろとも引きずり込んでいったのです。
揺れはほんの一瞬でしたが・・・地盤が崩れ、退路を断たれた私たち四
人は、そこだけ崩れなかった鍾乳洞の空間に閉じこめられてしまったの
です。

岩礁の割れ目から射し込む光だけが平和であって、私たちにとっての地
獄が、この瞬間からはじまったのでした・・・。

話術(終話)

人生という長編小説のような女の綴りに、主人には見せられない
性欲のページができてしまった。
彼は言うわ、その著者はあくまでおまえでなければならないと。
だからこそ、俺の前では「だってだって」を許すのだと・・・。

深いと思う・・・やさしいと思えるし。

そんな彼に応えるために牝になってく・・・本能のまま乱れる牝に・・・。

愛なんて文明の後付け解釈・・・確かにそうね、本質は肉欲ですもの。

貫かれ、衝かれ衝かれて・・・彼は言う。
「おまえにアクメなどは早い。しゃぶれ」
もう何が何だか・・・思考が壊れてしまった私・・・SMかしら?
抜かれるとき・・・おあずけされた気持ちになって・・・だから感じて。
ズボンの前を開けて立ちはだかる彼の下にうずくまり、むしゃぶり
ついて、ほおばって・・・自ら喉の奥まで貫いて・・・射精。

「いい子だ」
「はい」
「たっぷり飲んだか」
「はい」

「好きだ」
「はい!」

彼の本気を感じていたの。やさしくされて、でも最後までやさしい
だけなら、いつかきっと男は変わると思うから。
心地よい支配・・・そのために女は受け身の言葉を好むもの。
そこのところを憎いほどわかってて、だからあえて、私を牝に扱うの。

ガツンと抱かれた。苦しいぐらいに抱き締められて、直後に力が
すっと抜け・・・背中をぽんぽんしてくれて・・・。
相手は牡よ、とても勝てない・・・夢に溶ける言い訳を
彼がつくってくれている・・・そんなことを腕の中で感じていたわ。

綺麗な白紙のページに最初の言葉が記された。いいえ記した。
これからページに書かれることは、愛より性の物語・・・マゾの愛かも
知れないと、ふと思い、私は私がいとしくなるの。
私の中に、これほど燃える女の私が残ってた・・・その実感。

「SM?」
「だって・・・」
「そう思うか?」
「だって・・・」

「マゾだもんな、おまえ」
「だっても・・・」
「ふふふ」
「もう知らない! うふふ・・・うふふっ!」

言葉の応酬・・・話術の妙・・・それに踊らされて、楽しい私・・・。

マリオネットの操り糸を彼に委ねた悦びが私の中に満ちていました。
遊んでくれないマリオネットは哀しいわ。動かず踊らず、腐ってく。

「次は混浴」
「こ、混浴?」
「男だらけの真っ只中に、タオルさえ許されず歩いてく・・・」

「そしてその次・・・露出かな。ぴったりの山がある。登山道を
素っ裸で歩かされ、感じてしまって濡らしてる・・・ふふふ・・・」

そんなことも、こんなことも、操られる女の悦び・・・なかった時間。
ああ白紙が埋まってく・・・新しいページが育ってく・・・。

「うふふっ!」
「うん? 何が可笑しい?」
「だって・・・」

「だって」の使い方も、彼に教わった気がします・・・。

「勝手に忘れた性欲を思い出し・・・か?」
「・・・」

沈黙の使い方もね・・・うふふ・・・。

話術(四話)

堤防の手すりにカラダをあずけて海を見ていた。
そんな私の後ろ姿に彼がぴったり寄り添った・・・ビクッってして・・・。
スカートのヒップが硬くなるほど、お尻がキューって締まる感じ・・・。
だって・・・だって・・・あたるんだもん・・・彼のアソコが・・・。

「ホテル直行なんて、いかにもだからね」
「う、うん・・・」
「でも時間が足りない」
「そうね」

彼とはこれで何度か会ってきたけど、家に戻った私が、苦しいことを
言わずにすむよう、黙っていても時間を計算してくれる。
男の女の・・・そのためには、ホテルに直行するしか時間が取れない。

「ほらな」
「・・・うん」

彼が硬い・・・ズボンの中で勃起した男性が・・・お尻の谷に・・・。

「スカート、いいよ」
「ほんと?」
「似合ってる」

平日の昼間・・・堤防には人がいなく・・・でも、真っ昼間・・・。
耳許で熱い息の声がする・・・私も熱い・・・でもどこが?

「手を回して」
「・・・」
「まさぐって」
「・・・」
「ズボンの中へ」
「・・・」

そんなことを言いながら、彼の手が前にスカートの前を上げて・・・。

「次からはノーパンだぞ」
「・・・」

指先が・・・パンティの上から私をなぞり・・・もぞもぞと・・・。
私の手が・・・躊躇いを振り切ってズボンの中へ・・・。
彼が熱い・・・熱くて熱くて・・・丸くふくらむその先が柔らかく・・・。

彼の手がパンティの脇から滑り込み・・・燃える私を愛撫する・・・。
ああ溶けそう・・・感じるわ・・・ゾゾゾって悪寒みたいな震えがはしる。

「濡らしてる・・・ふふふ」
「・・・硬いね」
「オナニーしてるか?」
「うん」
「俺をしごくつもりで?」
「・・・」

私・・・後ろ手の親指で、ふくらむ鬼頭を撫で撫でしていて、
そしたら彼が耳許で喘ぐみたいに・・・。

「俺もさ。濡れるココを嬲るつもりでオナニーしてる」
「それで感じる? 私なんかを想像して?」
「馬鹿者」

語尾の下がる、やさしい馬鹿者・・・その罰なのか、彼の指がカラダの
中に入ってくるの・・・私のヌメリを笑うみたいに・・・入ってくるの・・・。
腰を退いて逃げようにも、彼のアソコが押しつけられて・・・。

「ふふふ」
「な、なあに・・・」
意識がトロンと溶けていて・・・ああ感じる・・・お汁を噴きそう・・・。
「くちゅくちゅ、エッチな音がする」
ノーパンでなかったことを後悔したわ。穿いてなければ、ここまま
貫いてくれたでしょうに・・・彼の先もヌメリを垂らし・・・私を欲しがり。

「ねえ・・・ねえ・・・」
「パンティは赤」
「はい」
「降ろせ」
「はい」

赤い布を巻き取って、腿まで下げて・・・私はお尻を突きだした。

「ぁっ」

こんなところで、それも白昼・・・貫かれた一瞬、気が遠くなっていく。

話術(三話)

なによなによと思いながら言うことをきいてしまう・・・不思議な感情。
それまでになかった何かを見せてくれそうな、彼って、そんな人だから。

「ミニ、ナマ足、赤いパンティもしくはノーパン」

困らせることばかり意地悪に笑って言う・・・子供っぽさが好き。
調教されてる感じがする。SMチックがいいのかな・・・とも思ったり。
でも・・・すっかりその気になってる私がいる。浮き立ってる。
変わって実感が・・・肌に艶が戻ったような、嬉しい錯覚?
あの頃のミニが穿けるというのと、似合うというのは違うのよ。
けれどね、似合う自分に戻りたく、似合うと言ってもほしいもの・・・。

女になってる私を感じる。

「ミニ、ナマ足、赤いパンティもしくはノーパン」・・・ノーパンは
ちょっとだけど・・・会ったらどうしようと、そればかり考えて・・・。

で、ドライブ。助手席に乗ってみて、運転の巧さに驚かされる。

「スポーツは?」
「中高テニス、大学ワンゲル」
「ワンゲル・・・山? またずいぶん違うね、テニスとは?」
「勝ち負けに疲れてね。おまえは?」
「スキー。一級もってる」
「なるほど・・・だからバランス感覚がいいわけだ」
「バランス感覚って?」
「ふふふ」
「なによ?」
「いや、いい・・・やめとく・・・」

「ねえ、なによ?」
「ベージュと赤の使い分け」
「・・・」
「さすがにノーパンはムリなようだが・・・ふふふ」
「・・・だって」
「はじまった・・・だってだって、もう知らない・・・か?」
「わかる? 穿いてるの?」
「スカートにラインが出てる」
「・・・」
「もったいない」
「もったいない?」
「可愛いヒップしてるのに・・・Tにしろ」

頭のいい人・・・それに、この人、こだわりが凄いと思う。
クルマに乗って気づいたこと・・・クルマの中がすっきりしてる。
それだけで何となく、スキがないと思えてしまって・・・。
駐車イッパツ。区画にまっすぐ、きっちり停める。
降りたとき、彼の手がスカートに・・・後ろのすそを引っ張って。

「え?」
「めくれてた」

「それにおまえ」
「うん?」
「髪切ったな」

ほんのちょっと揃える程度・・・なのに気づく。見てくれてる。
ただそれだけのことなのに、女は嬉しい・・・ドキドキしてる・・・。

海だった。岩場から堤防につながるような。遠くに船が浮いている。
「ここには釣りでね」
「よく来るの?」
「うむ。ちょっとやるか?」
「はい? 釣りを?」
トランクに短い竿が積んであり・・・ワームって言うらしく、
ミミズみたいなゴムのオモチャを針にくっつけ・・・ポチャン。
二度投げて、すぐ釣れた。
「わあ、すごぉい・・・なになに、それ?」
「カサゴ。旨い魚だが、ちっちゃい」
せっかく釣って、ポチャンと放して、逃がしてしまう。
「逃がすの?」
「ああ。今日は違う」
「違うって何が?」
「魚は命がけ、こっちが遊びじゃ失礼だ。おまえと同じ」
「私と?」
「そ。遊びじゃ失礼・・・」

ハッとして目を見たとき・・・風みたいに彼のキスが通過した・・・。

話術(二話)

「俺をしゃぶるつもりでオナニーしろ」・・・その声が・・・、
言葉ではなく、そのときの彼の声が耳に残って消えてくれない。

独りになって冷静になれたとき、カラダの熱はひいているのに、
心が騒いでしかたがない・・・私はもう抱かれる支度はできていた。
抱かれて乱れる私の姿が想像できて、でもだから、
ちょっと腹も立っていた。わけもわからず口惜しくて・・・。

誘われてもちょっとやそっとじゃのらないぞって思ってる。

ところがね、そんなガードも、脆くも崩れ去っていた。

「呑まないか。七時から八時まで。赤いパンティ穿いといで」
そんな誘い方しないよね・・・。お酒に誘ってダラダラ過ごしが
普通なはずだし・・・赤いパンツ・・・ふん、八時からどこ行くの?
なんてナナメに考えて、でも、断る理由が見当たらなくて・・・。

会いたくて・・・。

「俺をしゃぶるつもりでオナニーしろ」・・・会うと決めたとたん、
その声が、声ではなくて意味を持った言葉になって・・・。

「下は赤だな」
「・・・」
「オナニーしたか」
「・・・」

応えようのないことばかりをいきなり言われ・・・上目がち・・・。

「いい目をしてる」
「そ、そう・・・?」
「女の目だ、濡れてるよ」

オマエねー、いっぺん殴るよ! なんて、ちょっと、思ってみたり。

口だけだったの・・・五分前に駅で会い、七時ちょうどから
八時ちょうどになるまでの・・・デートのような、違うような・・・。
エッチなことばかり言うくせに紳士だったりするからさ・・・。
呑もうと誘っておきながら、ほろ酔いなのは私だけ。
お酒に強いのではなく、ほとんど口にしない人・・・嫌いみたいで。

「呑みたいのではなく会いたかった」

別れ際・・・スカートのお尻をぽんと叩いて笑ってる・・・。
八時ちょうどにお店を出てね・・・五分歩いて駅で別れた・・・。

赤いパンティ穿いていたのに・・・ふん、なによ・・・。
彼のことが好きになる・・・私の中でどんどんふくらむ・・・。

別れ際・・・ちょいちょいと手招きで、女の耳を呼びつけといて・・・。
「俺をしごくつもりでオナニーしろ」
小声だけど駅の中・・・聞き耳がないとは言えない・・・。

次のデートでドライブを約束した。でもそれも、
応えようのない言葉だった・・・シゲキするだけシゲキして・・・。
「ミニ、ナマ足、赤いパンティもしくはノーパン」

改札で、上りと下りに分かれてしまって、独りになった。
「俺をしごくつもりでオナニーしろ」
その声が耳鳴りするよう、私の中で響いていたわ・・・。

私ならよかったのに・・・八時じゃなくてもよかったのに・・・。
でもなぜか、流れてく街の夜景が輝いてたわ・・・昔みたいに・・・。
若かった娘の私が遊んだ夜を思い出していたのかも・・・。

彼は、そこらの人ではないと思った・・・どこか違う・・・。
そんなとき・・・バッグの中で携帯がバイブした。メールかしら?

 邪魔な赤を脱がせ
 てやって、脚を開
 かせ、顔をうずめ
 る俺の姿が想像で
 きた。
 おまえの蜜は甘か
 った。

一行八文字の、なんというメール・・・こんなのはじめて・・・。
ああ私がおかしくなってく・・・女体の底が湿りだしていたようで・・・。

話術(一話)

なっちゃった・・・が口癖でした。

「こんなことになっちゃうなんて」

だって言えなかったんだもん・・・そんなことを、いつものように
考えもせず口にして、あの人にチクリと言われてしまったの。

「言わなかっただけだろう」
「だって・・・」
「こんなことにシタんだよ、なっちゃった・・・のではなく」
「だって・・・」

こういうときの私の反論は、だって、だって・・・もういいわ!
で、キレて終わることがほとんどで・・・でもそれって、
女はだいたいそんなものだと周囲を見ていて覚えたわけで・・・。

「オナニーしてるか」

突然何を言い出すの・・・それもあの人の会話の特長。
「してません、そんなこと」 と私は、ちょっと怒ったそぶりで応え。
でも・・・それから私は、あの人にのめり込んでいったのです。

「もっと自分を可愛がっていいんじゃないか」

頑張ってきたし頑張ってるつもりの私・・・その私にあの人は、
ご褒美にもっと快楽をあげなさいと言うのです。
言葉でも気持ちでもない、くっきりカタチのある快楽を・・・。

「だって、だって、もういいわ・・・か?」
「え?」
「いつまでくだらん女をやってる」

受け身がラクなの! ・・・とそのとき言葉を噛んで、
いつものように攻撃姿勢を見せたのですけど、あの人は・・・。

「可哀想な女になるな。おまえにはそうならない資格がある」

断言された・・・そのことが、私を認めてくれた男の心?
「あの人」が「気になる人」になっていき、
このままでは「彼」になると思ったときに、女の私がそこにいた。

思春期の頃、夢のための性を知り、恋のための性に溶け、
生殖のための性に至って・・・けれどもそれを、
愛のための性と言い切る自信が持てなくて、ここまできた私です。
彼は言うわ・・・愛のための性とは自分のための性であり、
エゴイストだけが愉しめる、わがままな性なのだと・・・。

「うふふ・・・それで、つまるところオナニーなわけ?」
「そう。おまえを欲しがる男どもが勃起させる、その可哀想な
ペニスを本気で想像してオナニーしろ。おまえを見せつけ、
イケなくて苦しむペニスを思い浮かべ・・・」

ジョークのつもりのお話が・・・だんだん私をおかしくしていた。
自信がないの・・・私にそんな自信は持てないの・・・。
そしたらあの人・・・いいえ、彼が笑うわ・・・やさしい目だった。

「だって自信がないもん・・・か?」

返す言葉が見当たらず、黙ってまっすぐ目を見てた・・・。
だって・・・カフェで話していたでしょう・・・それ以上のことを
考えさせないで・・・気持ちが濡れてきちゃうから・・・。

「たとえばだが」
「うん?」
「俺をしゃぶるつもりでオナニーしろ」

ウッって、息がとまったわ・・・ああダメ・・・濡れてきちゃう。

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