archive: 2015年03月  1/4

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着せたい男と脱ぎたい女(終話)

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「ああ、それと」 知明の面色から翳りのようなものが消えていた。 いつものように、まったく普段どおりに穏やかに笑う。家族の内情に引き込んでしまったことよりも、正直にすべてを告げて、新しい関係に傷をつけたくないという気持ちが手に取るように見通せた。「娘の部屋だが」「あ、うん? 何か言ってた?」「自由に使っていいですよって言っといてって。美香はメロメロだよ君に。あんな清々しい人はいないって背中を引っ叩か...

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着せたい男と脱ぎたい女(十九話)

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 翌日は日曜。休日でもくるみ茶房はやっていて、美香は美香で、こっちへ来たついでに友だちと約束があると言う。 一夜を女二人で過ごし、朝には美香は家に戻る。パパに朝ごはんを作ると言って張り切っていた。 休日のくるみ茶房は平日より少し遅い十時半開店。仕込みがあるから知明は九時半には入り、亜紀は開店少し前に店に出る。亜紀は十五分前に入ったのだったが、亜紀が覗いたとき店にはマスターしかいなかった。いつもなら...

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女は字間に

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見分けようとする限りM女なんて得られない。下心だったりするんだが、あべこべに見分けられてしまうだろう。行間に心があると言うだろう。女たちは字間にいる。S字とM字のどっちつかずに、ほとんどの牝はいて、男が良ければ女体はS字にしなるものだし、行き着くところはM字開脚、セックスだろう。お馬鹿さんは「お」をつけて口説くのさ。おコラ、おてめえ、おケツ上げろ お突っ込むぞ。女はね、嘘くさいお敬語なんてとっぱら...

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着せたい男と脱ぎたい女(十八話)

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 美香と亜紀は全裸のままで部屋へと戻った。一歩先を亜紀に歩かせ、美香は亜紀のすべてを確かめようと舐めるように体を見ている。 ベッドには亜紀が先に腰を降ろし、その足下へ、ちょっと残酷とも思える幼い瞳を煌めかせて美香が膝を着き、脚を揃えて座っている亜紀の腿へと体をあずけた。「見せて。ごめんなさい。でも見たい」 亜紀の尻に手を回して抱き撫でながら、美香は亜紀を見上げて言った。 亜紀は、そんな娘の頭を撫で...

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着せたい男と脱ぎたい女(十七話)

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 触れ合うキスをそっとほどき、そのとき美香は何を思ったのかパッと笑顔を見せて亜紀の手を引く。 部屋から連れ出し、ダイニングに座ったままの父親のもとへとずいずい亜紀を運んでく。「ねえパパ、亜紀さん家へ行ってもいい? ちょっと二人になりたいんだ。そのまま泊まってくるかもだけど」「それはかまわんが?」 どうしたと言うように知明は亜紀へと目を流し、亜紀はちょっと首を傾げて曖昧に微笑んだ。 知明だけを残して...

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着せたい男と脱ぎたい女(十六話)

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「そうなんだ。運命よね、それ」 ピザをほおばりながら美香は言う。 知明の家は古いタイプの2DKで、部屋が二つにDKなのだがLDKと言えるほどリビングが広くない。三人でいると狭い。ダイニングテーブルに揃って座る。 中学の音楽教師だったことから話がはじまり、そもそもの出会いの場面になったとき、美香の方からそれを運命だと言う。中学生を相手にしていていまの子たちの発想がわからないわけではない。しかし美香の...

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着せたい男と脱ぎたい女(十五話)

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 結婚を前提にしない。それは次の相手が誰であろうと、そこから引き返したときに決めていたことだった。夢ではない現実にある女のワンステップ。三十歳まで遠くない亜紀にとって結婚がそういうものであっただけに、考えてしまうと打算につながらないとも限らない。遊びではない想いだけで充分だったし、むしろその方が気が楽だった。 数日が過ぎていく。店が楽しい。二人で創りあげる作品のような時間が嬉しい。マスターとのこと...

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着せたい男と脱ぎたい女(十四話)

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 ミルク色した霧が流れていくような朝だった。 身動ぎしたとき自分とは違うぬくもりに触れ、亜紀は、そういえば今朝は独りじゃないと昨夜の愛の時を思い出す。知明はまだ眠っていた。けれどもその寝姿に知明の背負った痛みがどれほどのものであったのかを思い知る。 子供が眠るように裸身を丸め、両手で拳を握って胸に抱くようにする。それはかつて私自身がそうだったと亜紀は記憶をたどっていた。怖い夢を見ることがあって目が...

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着せたい男と脱ぎたい女(十三話)

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 軸のない女心に強い芯が刺さるように知明の勃起が体の奥へと入ってくる。 ベッド。鋼のような男の体は腿を開き切った亜紀の上にかぶさって、亜紀はあまりの悦びにあえぎながら腕をまわして抱きすがる。意識が消えていく快楽。二十九にもなってはじめて味わう絶頂だったが、亜紀には浅くしか達しなかった理由はわかりきっていた。 子犬が震えるように小刻みに揺れた女体に引き攣るような力がこもり、背を反らせて乳房を突き上げ...

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着せたい男と脱ぎたい女(十二話)

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「なんで中央高速?」「ううむ、しまったことをした」 海へ行くはずだった。この時刻、府中あたりからなら中央道が近かった。間が抜けていると亜紀は笑う。「あの夜を思い出してね。あれだけの海を見たんだし、そこで亜紀と出会えたんだ。都会の海など悲しくなるだけ」 意識して海をはずした。一度は笑った亜紀だったが、知明の想いの深さを感じたような気がしていた。 季節がよければ富士五湖あたりもよかっただろうが、冬の雨...

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