快感小説

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女装画家ミルの女体修復(十話)

 三ヶ月が早かったですね。私がミルさんを訪ね
たときは春だったのに、梅雨が過ぎて真夏。うだ
るような暑さです。朝職場に着いたときすでにパ
ンティまでが湿っている。不快指数最悪といった
感じ。それなのに姉は日々をすっきり過ごしてい
ます。
 あれから姉はほとんど週イチペースで通ってい
る。そのたび全裸になって性器までを描き直して
もらってる。天空から赤ちゃんが降りてくる絵を
暇さえあれば見つめてる。赤ちゃんを抱くもう一
人の自分を絵に閉じ込めて現実と切り離し、自分
だけが恋愛モードになっている。姉は三十歳にな
りました。私もじきに二十八。姉はいいのよバツ
イチだから。私はそろそろ焦りだす。だから姉が
羨ましくてなりません。
 姉はミルさんにベタベタです。二度も睡眠薬を
あおったことが嘘のように生まれ変わり、恋人気
分で通っている。

 白一色のアトリエに飾ってある女豹になった自
分を見に行く。お尻を上げて這う姿はいかにも淫
らで、ミルさんにアソコを見られていると思うだ
けで濡れるのだとか。性感マッサージじゃあるま
いし、筆先で体中を愛撫されて女の子してるに決
まってます。
 絶対やってる! ベッドの高さもちょうどいい。
姉ぱっくり、彼がインしてピストンしてる。
 ムラムラします。姉とのレズを知ってからどう
いうわけか淫乱ぽくなってしまった。
 孤独なんです。怖いほどの孤独を感じる。新し
い彼とは順調ですよ。彼の下でノビちゃうほど相
性いいの。なのに独りになったとたん心に穴が空
いたように寂しくなる。
 モト彼との五年の記憶を体が覚えていないので
す。嫌いだったわけじゃない。若い頃の恋愛から、
結婚がリアルなものとなって迫ったきたとき、こ
の人でいいのかなと思ってしまった。

 うっとり彼を見つめた眸も、やさしい声を聞い
た耳も、キスに溶けた唇も、乳首を吸われて可愛
くてならなかった思い出も、蘇って来ないんだも
の。五年の空白ができてしまった。そのくせ若い
勃起に犯された性器だけは彼を覚えているんです。
 次の人が来てくれる。それはそれで嬉しいけれ
ど、モト彼の勃起も逞しかったわ。女を描き直す
恐ろしさを思い知った。そうなんですよ、性器だ
けを描き直してもらってなかった。記憶の消し方
が中途半端なのでしょうか?
 別れるときの痛みや苦しみは、やがて記憶とな
って心をあたためてくれるんですね。別れるから
って思い出までを捨て去ってリセットというわけ
にはいかないようです。
「落ち込んでるよ」
「そんなに?」
「可哀想で見てられない、ひっどい女ね」
 共通の女友だちに言われたとき胸が痛むし、だ
からと言って次の人には燃え上がっていくばかり。
 
「ほらね、あのとき念を押したでしょう。描き直
すと二度と元には戻れない。わかりました、もう
一度いらっしゃい。性器を描き直してあげますか
ら」
 週中の水曜日、電話で話していたんです。
「それで姉は? ずいぶん通ってるみたいですけ
ど?」
「週に一、二度、お見えになりますね。そのへん
のこともお会いして」
「はい。では週末に」
 それから二日が飛んで行って土曜日です。猛暑。
空が燃えてる。原宿駅から数分の距離なのにパン
ティまでびっしょりなんです。
 着いてすぐシャワーさせてもらいます。黒い部
屋の白いベッドに横になり、顔を覆ってセックス
ポーズ。細い筆先が来ると覚悟した直後、爪先で
思い切りクリトリスを弾かれた。

「ンっふ!」
 いきなりでビクンとしたとき膣からオイルがた
らりと漏れた。
「悪い女だ。苦しんで当然です」
 心を抉る言葉。それなのにアソコは洪水なんだ
から。
「モト彼とアナルセックスは?」
 ああ燃える。訊かないでくださいよ。恥ずかし
くて恥ずかしくてアソコが火のよう。体中が火照
ってる。
「あります何度も」
「うむ。では四つん這いかな。胸を着けてお尻を
上げて膝を開く」
 姉の絵と同じ女豹のポーズ。絵の具をつけない
ふわふわの筆先がアナルの周りから這いまわる。
 声を噛んで、だけど体中が震えだしてたまらな
い。イキそう。腰がくねくね揺れてしまう。
 筆先がアナルの側から性器を描く。
「あン! はぁぁーっ!」
「ふふふ、かまいませんよ、描かれることを楽し
んで。佳菜子なんて悶え狂って楽しんでる」
 でしょうね。それだけですむはずないわ。すっ
きり満たされた顔つきを見てればわかります。

「プロポーズされました」
「姉にですか?」
「そう。浮気しても何してもいいから、そばにい
たいってすがりつかれて。愛しています結婚して
って」
「ご迷惑では?」
「とんでもない。受けようと思ってますよ。それ
もあって佳代子にも会いたかったんだ」
 まさか。やられたと思いましたね。
 このときになって、私だってミルさんが好きだ
ったんだと思い知る。ヒールを脱いで169センチ。
10センチヒールを穿いてやっと同じ背丈。ゾクっ
とするほどいい女の彼女(かれじょ)。女装する
旦那ってどんなんだろうと思いましたが、姉の目
は確かだとも感じます。
「さあ、おしまい」
 いつの間に。感じていたのが、あまりの驚きで
飛んでしまった。
「そうなると佳代子は妹ってことになる。可愛い
よ佳代子」

 いきなりでした。いきなり四つん這いのお尻の
底にミルさんのキスが来る。きゃぁ!叫びます。
一瞬にしてピークがやってくる。
 このとき私は、これをきっかけにミルさんと姉
と私の三人の同棲生活になっていくなんて想像も
していない。それって3P?

女装画家ミルの女体修復(九話)

 ずっと背の高い佳菜子が小柄なミルを抱いてい
る。妹にはそう見えていたのだったが、そのミル
にちょっと髪を撫でられて佳菜子は膝から崩れる
ようにミルの足下に膝をつき、ミルの細い腰を抱
き締めてすがりつく。それは圧倒的な男に出会っ
て身を捧げる女の姿そのものだった。
 うっとりと泣き濡れた目を閉じて、腰を抱き、
黒いスカートにくるまれた小さな尻を「あぁぁあ
ぁぁ」と熱い息を吐きながら撫でまわし、女性の
ような男性の股間に頬をすり寄せて甘えている。
 あまりのことに佳代子は声さえなく見守ってい
るしかなかった。
「お立ち」
「はい!」
 あべこべの、またあべこべ。ミルに一言言われ
た佳菜子は奴隷のように男に従う。そのときの姉
の眸は少しもミルを逸れてはいなく、ただまっす
ぐ見つめていた。

 ミルは姉妹を黒い部屋へと導いた。黒一色でそ
こだけが白いレザーのベッド。診察台そのままの
ベッドの傍らに姉妹に背を向けて立ったミルは、
スカートに手をかけてブラウスに手をかけて、鮮
やかなパープルのブラとパンティ。
「子供だった頃の僕はあまり人が好きではなかっ
た。絵が好きで没頭していたものですよ」
 ねえ何よこれ? どういうこと? と妹は思い、
姉の腕を引いたのだったが、佳菜子は白く細く美
しい男の後ろ姿に見とれていた。
 ブラが消えパンティが取り払われて、ミルは少
年のような全裸を晒す。裸になると男性だった。
尻は小さく、腰は細く、なのにそれなりに逆三角
形の背中。最後にミルはカツラを外す。ごくあた
りまえの長めの黒髪。
「これが僕です」
 男らしいロートーンボイス。ゆっくり振り向く
ミル。胸はない。豊胸はしていない。女装するこ
とだけが人とは違う男性の姿だった。

 ミルの顔色がうっすら赤い。恥ずかしくてなら
ないようだ。妹が姉の横顔をちらりと見ると、佳
菜子は妹の存在などないように溶けた眸でミルを
見つめる。
 性器が小さい。萎えていると女性の手の指。睾
丸も小さく丸まっていて下腹の毛も男にしては薄
すぎる。
「発育不全じゃないんですよ。機能はちゃんとし
てるけど、でもね。ふふふ」
 弱く笑うミル。
「絵と引き換えに覚えておいてほしいんです。佳
菜子にも、それから佳代子にも」
 絵の中の女たちを見つめている。世の中のどこ
かにいる女たちがミルの体を心に刻んで生きてい
る。このとき佳代子は、ミルがなぜ知られていく
のかを思い知った。愛でできたミル。女たちはイ
カレてしまう。

 佳菜子は声もなく一歩また一歩と歩み寄り、す
っと身を沈めてミルの小さな尻を抱き、萎えたミ
ルに頬をすり寄せ、涙をいっぱいに溜めた眸でミ
ルを見上げる。
 佳代子は動けない。女の愛の本質を見せられた
ようでもあり、怖くなって動けない。打算があっ
てモト彼を捨ててしまった。心が痛くて動けない。
 ミルの小さな手が佳菜子の頬をそっと撫で、そ
の手に佳菜子はうっとり目を閉じほおずりすると、
萎えたミルにキスを捧げてほおばった。
 大きくなってもミルは小柄だ。
「むぅぅ、嬉しいよ佳菜子」
 佳菜子は身悶えするように肩を揺らして嬉しさ
を表現している。ミルは佳菜子をそっと立たせる
と、少年のように美しい身をベッドに静かに横た
えた。
 佳菜子は妹にちょっと横目をなげて恥ずかしそ
うに脱ぎはじめる。黒い下着を取り払った佳菜子
だったが、パンティを脱ぐときに裏地が糸を引い
て濡れていたことを妹は見逃さない。

 白い女が白い男にかぶさって、抱き合ってキス
をかわす。深いキス。ベッドが狭く、ミルをまた
いでいないと横に寄り添うことができない。
 真後ろから姉のヌラヌラの淫らな性器を凝視す
る妹。
「佳代子もおいで、僕を抱いて、さあ」
 女の言葉だと佳代子は思う。この人は私たち姉
妹にすべてを捧げるつもりだわ。なんという人だ
ろうと佳代子も震える心を感じていた。
 ミルは心地よく勃起して、佳菜子の口に可愛が
られて可愛い声を上げていた。男性の可愛い声?
 混乱してしまうのだったが、これってレズ?
 ミルって女?
 あたしたちは何?
 何なのよ、これ?
 
「きゃぁぁーっ」
 佳代子はベッドで飛び起きた。夢を見ていた。
姉がミルを膣に迎え、私はミルをまたいで舐めら
れながら姉と抱き合い、舌を絡めてキスしていた。
 そのときの情景がふわふわとした白い霧にくる
まれるように現れて、あのとき私も姉も悲鳴のよ
うな声を上げて果ててしまった。
 ハッとして手をやるとパンティの奥底がヌラヌ
ラしている。夢の中のセックス? 思考が歪んで
混乱していた。
「カヨ? ねえ佳代子ったら!」
「え!」
 はぁぁぁ夢だったのか。強張った体から力が抜
けていくのを感じていた。

「素敵でしょ彼って?」
「ええ素敵」
「たまらないわ、身悶えするほど好き、どうされ
てもいいと思う」
 佳菜子はベッドの横のテーブルに立てかけた水
彩画をとろんと見ていた。
「え? その絵どうしたの?」
「はー? 何言ってるの大丈夫? 今日もらいに
行ったんじゃない。あなたもあたしも夢の中で果
てていた。ふふふ、カヨなんて『きゃぁぁーっ』
だったわよ。ガタガタ震えてノビちゃったくせに」
「あ、あそ? ねえここは?」
「はー? おいおい、あなたの部屋よ。二人とも
なんだかもうふらふらであなたのお部屋に来たん
でしょ。覚えてないんだ?」

 覚えてなかった。佳代子はマジと言うように頭
を振って体を起こす。姉と二人のセミダブル。二
人ともにパンティだけの姿で寄り添っていた。
「すごい絵ね」と、妹は姉の背中に身を寄せて肩
越しに絵を見ていた。
「私の赤ちゃんが生きてるわ」
「うん」
「母親の私も生涯絵の中で生きている」
「うん」
「彼が好き」
「うん」
「愛してるの」
「うん。姉さん、あたしヘンなの。濡れてるの。
身震いするほど欲しくて欲しくてならないの」
「うん」
 身をずらして微笑む姉の手が、妹の裸身からパ
ンティを奪っていった。

女装画家ミルの女体修復(八話)

 姉の佳菜子は実家に暮らした。妹の佳代子は職
場から遠くないところに部屋を借りて住んでいる。
距離はそれほど遠くなかった。
 その夜の佳代子は仕事からまっすぐ実家に向か
う。明日は土曜日。絵ができた。ミルのアトリエ
へ取りに行くから一緒に行こう。佳代子はもちろ
んあれから電話で話していたが姉は明らかに何か
が違うと感じていた。声に力がある。話すことと
いったらミルのことばかり。
 あの日きっと何かがあった。女を描き直すとい
うだけでない何か。姉の変化は恋だと感じた。
 その夜は実家に佳菜子だけ。両親は健在で明日
からの週末を近場の温泉で過ごすということで夕
方にはクルマで出ていた。
「カヨも描いてもらえば?」
「いいわよそこまでしなくても。ねえカナ、ミル
さんと何かあったんでしょ?」
「別に」
「ほんとかなぁ。もうラブラブって感じなんだけ
ど」

 ポーズしながらも佳菜子の面色がひとりでに崩
れていく。
「で、どうなの? 変われた気がする?」
「まだよくわかんないけど楽になれた気がするわ。
嫌な夢も見なくなったし、小さな子を見かけても
可愛いなって素直に思うだけでヘンに考えなくな
れてるみたい」
「恋したい?」
「したいしたい。リセットだわよ。とにかく進め、
それで壊れかけたらいつでも来いって言ってくれ
るの。元通りの私に描き直してあげるからって」
「好きなんでしょミルさんのこと?」

 くしゃーっと崩れるように笑う姉を見ていて、
妹はあの頃と変わってないと可笑しくなった。ポ
ーズしようとする。けれど嘘のつけない人だから
嬉しさが顔を崩していく。
 どっちにしてもよかったと妹は思う。
「はぁぁぁ」と佳菜子は気の抜けた溜息をつく。
想う人がいて想いすぎて疲れたような気怠い溜息。
「三十二ですって」
「ほ?」
「独身」
「ん?」
「男らしい女の人」
「ふふふ」
「何よ、その眸?」
「だって、恋する乙女そのまんま。わかりやすく
ていいけどさー」
「そう言うあんたはどうなのよ? 彼とはおしま
い?」
「おしまい。思い出しもしないし、何だったのっ
て感じがしちゃう。あたしの場合は対象が目の前
にいたから効果絶大。ミルさんて超能力とかある
んじゃない」

「真心よ」
「え」

「心が澄み渡っている。人が好きで好きで、絵を
描くことで救えることがあるのなら誠心誠意。あ
なたには僕がいるって、きっぱり言われた。つね
にアソコを見つめてるって」
 その話は嫌というほどか聞かされていた佳代子
だった。修復を受けた女たちの絵が飾ってあり、
ミルはそれを見つめている。世の中に一人だけ、
恋い焦がれて性器を見つめてくれる人がいる。そ
う思うことが自信につながる。姉に言われ、それ
はそうかも知れないと考えた。
 スカートがちょっとはためくだけでドキっとす
るのに、下着を脱いで脚を開き、濡れる性器を見
つめられる。そんな記憶が一人の男を忘れられな
い存在に変えていき、愛された自分に胸を張って
生きていける。

 このとき佳代子は、モト彼の記憶を消してしま
ったことにかすかな後悔を感じていた。別れると
きの苦しさだって後になれば愛の記憶。あのとき
ミルは「それでいいのか」と問い返した。愛の記
憶がひとつ消えた。付き合ってきた時間が抜け落
ちたようなものだった。
 新しい恋は順調だった。想いが相手に絡みつき、
それはちょうど花を咲かせる草のツルが巻き付く
ように女としての存在を育てていって、いつかき
っと花が咲き、恋から愛へとやさしい気持ちにな
れていく。
 しかしだからといってそれまでの恋や愛は無駄
にはならない。佳代子はちょっと寂しい気がした。

 ミルのアトリエ。二人で訪ね、佳代子は奥の部
屋にはじめて入った。あられもないヌード絵が何
人も飾ってあって、女たちはミルを誘うよう性器
を開く。女の根源がここにあると感じていた。
「さあ、まずはこちらから」
「あぁぁ、はぁぁ、これが私?」
 ミルは微笑んでうなずいた。今日のミルは黒の
ミニスカ、パープルのブラウスとパープルのブラ。
ボブっぽいデザインヘヤーもブラウンアッシュに
染められていた。光の具合で青く見えるキャッツ
アイが神々しいほど美しい。

 這った佳菜子は絵の中で女豹だった。少し脚を
開いて尻を上げ、魅力のすべてを見せつけておき
ながら、振り向いて、欲しければ奪ってごらんと
挑むような面色で笑う。
 姉の頬が真っ赤になってる。妹は姉の性的な高
まりを感じていた。
「これはここに飾っておきます」
「はい。でも、嫌ぁぁ恥ずかしいわ」
 性の面色。いますぐシテ。どうにでもしてと姉
の顔に書いてある。妹だって穏やかではいられな
い。不思議な性欲が衝き上げてゾワゾワ嫌な寒気
がする。

「そして、こちらは差し上げます」
 額に入れられた水彩画。もう一枚は、青い闇を
背景に両手をひろげて立つ裸女だ。
 天空から七色の光の滲みが降り注ぎ、うっすら
透き通った白い胎児が天より授かり、降りてくる。
「ああぁーっ、あああーっ、ああ凄いーっ」
 佳菜子に涙があふれていた。絵を見つめ佳菜子
は身震いさせて泣いている。感動が佳代子に伝わ
り佳代子もまた目頭を押さえていた。
「あなたの赤ちゃんです。絵の中であなたは母だ。
揺るがない母と子の愛の絵です。失った命ではあ
りませんよ。永久に母と子は存在する。こうして
子がいる限り、母たるあなたは二度と馬鹿な真似
はできないはずだ」
 声を上げて泣き崩れる姉と、その姉をやさしく
見守るミルの姿が佳代子の心に焼きついた。

 佳菜子は絵を一度胸に抱いてデスクにそっと静
かに置くと、泣き顔をミルに向けて両手をひろげ、
自分よりもずっと小柄で華奢なミルを抱き締めて
いく。
 そしてそのとき、佳代子はミルの心を見たのだ
った。
 可愛いミルは愛に抱かれる女性そのもの。抱く
力にしなやかに身をゆだね、目を閉じてキスを待
つ。佳代子は信じられない思いがした。

 目を閉じて、わずかに顔を上げ、そしてそんな
ミルの姿を姉はたまらないものを抱くように心の
視線で見つめていて、唇を重ねていく。
 そんな佳菜子にミルは、まさに女がするように
下から両手で抱きすがり、女が愛に溶けるときの
姿となって甘い息を漏らしている。
 体から力が抜けて佳菜子にすべてを委ねている。
 姉の手がそっと降りてスカートの前にかぶさっ
た。それでもミルは拒まずに震えるように抱かれ
ている。

 佳代子の頬に川のような涙が伝った。

女装画家ミルの女体修復(七話)

「さて次だ。燃えるほどの恥辱のポーズにしてみ
ましょうか」
 男らしい口調とロートーンボイス。それでいて
ブルーレザーのミニスカ、シースルーの白のブラ
ウス。ピンクのアミストにピンクのブラ。赤毛の
ボブヘヤーが小顔をつつむ、160センチあるかな
いかの可愛い男性。
 ミルは透き通ったキャッツアイを佳菜子に向け、
佳菜子はミルに魅入られていた。光線の具合でサ
ファイヤブルーに輝く眼差しがこの世のものとは
思えない。整って美しい。
「あなたは背も高いし乳房も大きくて綺麗です。
女豹が男を誘うような四つん這いのポーズ。お尻
を上げてアナルまで晒し、性器はヌラヌラに濡れ
ている」
 言葉責めだと佳菜子は思った。
「本気で想像してくださいね。僕はあなたを欲し
がってる。勃起させて苦しんでる。しかし女豹は
誘うだけで許さない。挑戦的な眼差しで、欲しい
なら奪ってごらんよ坊や、みたいにニヤリと笑っ
ているだけで」

 ドキドキしていた。ローブを脱いで白いフロア
に四つん這い。Dサイズアップの白い乳房が重力
に美しく垂れて揺れ、どうしようもない興奮が乳
首を勃せて尖らせる。
「少し脚を開きぎみにお尻を上げてアナルを見せ
つけ、体をひねってニヤリと笑いながら振り向く
んです。まさに女豹だ。男を手玉に取る怖い女性
に描きましょう」
 ミルの言葉に逆らえない。全身震え全身燃えて
いるのに、尻が上がって背中を反らせ、左の下か
ら振り向いて妖艶に笑う女の豹。
「そうそう、アナルのヒダまでよく見える」
 心臓が凍っていた。羞恥を通り越した恥辱なの
だが、なぜか心地いい性感が湧き上がる。
 ミルが細筆を手に尻の後ろにしゃがみ込み、目
鼻の距離に眸を寄せて性のすべてを凝視する。
 子宮が蠢き、膣が蜜を分泌して、性的な高まり
がクリトリスを飛び出させていやらしい。
「綺麗ですよ、いい女だ」
「そ、そうでしょうか? あたしなんかでも?」
「いい女だ。こうして捧げたくなる女性です」

 ミルは、すっと顔を寄せて尻の底でひくつくア
ナルに触れるだけのキスをした。
「ンっふ!」
 尻が跳ね、腰が左右に蠢いて、裸身がわなわな
震えだす。一瞬にしてのアクメ。背筋に快楽が波
立って伝播した。
 水をつけた細筆が尻の谷をそろそろ描き、アナ
ルのヒダまで忠実に描ききり、佳菜子は甘い声を
上げてしなしな裸身をくねらせていた。
 濡れる。どうしようもなく濡れる。それは性的
な渇望だった。男に愛されて嬉しくて狂っていき
たい。寂しい。孤独を思い知るような性器の濡れ。
 言葉責めとアナルの描写でたまらなくさせてお
き、次には乾いた丸筆が閉じたラビアを這い回り、
佳菜子はたまらず、唇をまくりあげて牙を覗かせ、
フゥゥフゥゥと猫科の牝の興奮の息づかいを発散
する。

 筆の動きに腰を降り尻を降り、そしたらそのと
き性欲を偽ることのできなくなったラビアがぽん
と音をさせるように口を開く。膣に蓄えた蜜液を
あふれさせ、ミルの筆先が蜜を吸い取り、花の中
までを描いていく。
「あぁ! ん、んっ! ンっふ!」
「ふふふ、いやらしいが素敵な声です」
「嫌ぁぁ、おっしゃらないで。あぁぁ感じるぅ」
「よがりなさい。声を遠慮しなくていい」
「でも、でも、あぁぁーっ! いいぃ! ダメぇ
ーっ、イッちゃうぅーっ!」
「ほうら次はクリトリスだ。飛び出して可愛がら
れたがっている」
 筆先がピンクの肉芽をつつくように、包皮の中
まで精密に描くように筆の毛先が性器を描く。
「あぁん、ぁーン、ミルさんお願い、シテ。入れ
て。もうダメですおかしくなりそう」
「じゃあ、こうして」
 後ろからのキス。舌先が濡れそぼる花谷の底に
開口する膣口を舐め上げた。

「おぉぉーっ!」

 こんなことはなかった。挿入もなく浅く舐めら
れただけなのに意識が白くかすれていく。ガタガ
タ裸身が激震し、四つん這いが崩れて横倒し。腰
も腹も肩も顎も痙攣させて果てていく。
「こら淫乱。ふふふ、起きなさい」
 やさしいニュアンス。佳代子はもがくように這
い直し、次には平筆で尻の左右に水を塗られて牝
の尻を描かれていく。
 筆が肌に触れただけでピークが襲う。何をされ
ても感じてしまう。私はこうして乱れていたい女
なんだと思い知る。
 描き終わると、ミルはパレットをデスクに置い
て、ふたたびしゃがみ込んで両手で尻の肉を開き
ながらキスをする。
「お聞きなさい佳菜子」
「は、はい?」
 キューンと心が軋むようだ。
「僕がいる。生涯独りにさせはしない。どれほど
壊れても描き直してあげるから」

「ぁぁ、あぁー、ミルさん、ありがとう」
 泣いていた。わかってくれる人がいる。許して
くれる人がいる。169センチのラージサイズグラ
マーが、160あるかないかの華奢な彼女(かれじょ)
を抱き締める。母が娘を抱くようになってしまう
のだったが、ミルは女のように目を閉じて、細い
体をしならせて抱かれていた。
「僕でよければ思いのままにしなさい」
「え?」
「絵を見ながらオナニーしたりするんです。コン
プレックスがあって、ずいぶん苦しんだものです
よ。ほら触って」
 ミルの細く白い手が、佳菜子の大きな女手をミ
ニスカの底へと導いた。

 ハッとした。ペニスも睾丸も小さい。子供のよ
うで小さすぎる。佳菜子は悲しそうに弱い眸をす
るミルをたまらない思いで見つめていた。
「男友だちに馬鹿にされ、女の人も怖かった。や
さしくしてくれたのはニューハーフの子でしたね。
もともと可愛い服や下着が好きだった僕は女装し
て暮らすようになっていた。男の服など持っても
いない。女の人っていいなと思い、絵を描いてい
るうちに不思議な力に気がついたということで。
ですから」

 言葉途中で、全裸の佳菜子はミルにすがり抱き
締めてしまっていた。どこまで大きな人なのか。
睡眠薬をあおった自分が恥ずかしくてならなかっ
た。
 可愛い人。素敵だわ。騒ぎ出す母性。諦めかけ
た女の愛がふたたび佳菜子に宿っていた。

女装画家ミルの女体修復(六話)

 シャワーのあるところまでが黒い空間。ダーク
カーテンで仕切られていたのだったが、シャワー
を出る気配で「こちらへ」という声に導かれ、カ
ーテンを開けると、黒とは正反対の白一色のアト
リエがひろがった。
 古いビルのコンクリート。フロアにも壁にも荒
れが目立ったのだが、白いペンキで綺麗に塗って
ある。窓は嵌め殺しでここにもない。空調が効い
ていてほどよい気流を感じる。黒い部屋よりいく
ぶん広く感じられた。照明はすべて白熱球。蛍光
灯は肌の色を病的に見せるとミルは言う。
 カーテンを入った正面に白い大きなデスクが置
かれ、その背後の壁に十数枚のヌード絵が掛けら
れてあった。Figure(人物)の5号サイズに揃え
られ、縦35センチ横およそ27センチの、それほど
大きくはないもの。
 シャワーから全裸で出た佳菜子は、乳房を抱く
ようにしながら歩み寄り、絵の中の女たちに見と
れていた。

「水彩画なんですね」
「そうです。あまり大きくできないんですよ。絵
の具を溶くとき愛液を混ぜていますからね」
 キュンとする。描かれた一人一人の膣から流れ
た情念が絵に中で生きている。
 ここにある絵はどれもが全裸でどれもに性器が
描かれている。写真ではなく絵も小さいことから、
それほどリアルではなかったが、セックススタイ
ルのポーズがほとんど。人体そのものの彩色は絶
妙に省いてあるのだが性器のところだけは、陰毛
の質感からラビアまでくっきりと描かれてある。
「絵の説明は休憩のときにでもしましょう。二枚
描きます。最初はそこに立って。両手を柔らかく
上に向けて空を見上げ、恵みを求めるようなポー
ズから」

 白いフロアに裸足で立つ。台のようなものはな
い。ポーズを直しながらスタンドライトを動かし
て陰影を調節し、それからミルは五号サイズの画
用紙に向かう。
 一回りほど大きな紙にエンピツでデッサンを起
こし、額に収めるときにはみ出した部分をカット
する。佳菜子も絵は少し描く。風景の水彩画ばか
りだったが、エンピツの走る様子でミルのレベル
がうかがえる。プロだ。紙を走るエンピツの音が
シャープで早い。
「この一枚を差し上げます。飾って眺めてあげれ
ばいい。災いする情念を絵の中に封じてしまうん
です」
 そんなこともできそうな気がしていた。とにか
く不可思議なムードを持つミル。オーラのような
ものを感じてならない。
「色づけは後ほど。数日で仕上げておきますので。
さて、ご覧になってみますか」
 早い。十五分ほど。モデルとしてのポーズを決
めたまま、画板に挟んだ画用紙を向けられる。佳
菜子はドキドキしながら絵を覗いた。

 エンピツの線画であり、ディティールはそれほ
ど精密ではなかったが、やや横顔のライン、乳房
のライン、体のフォルムと、見事な佳菜子がそこ
にいた。手のひらを上に向けて天空に向かって柔
らかく腕を開き、舞い降りてくる恵みを授かるよ
うな女性の姿。神々しいと佳菜子は思う。
「さて、水だけ塗っておきますので動かないで」
 どうやらそこからが秘密のようだ。
 ミルは、仕切りのある水彩用の新しいパレット
に、ちょうど冷蔵庫で氷をつくるように仕切りご
とに少しずつ水を張り、丸い筆に水をつけては、
手のひらに水を塗り、その筆を洗うように仕切り
のマス目に筆を浸け、大きな瓶に満たした水でさ
らに筆を洗い、乳房、乳首、口許や目許と同じよ
うに透き通った水のパーツをこしらえていく。
「乳首には乳首の水というように、体から得た情
念でその部分を描くんです」

 そう言いながら、乳首から採った少量の水に筆
を浸して乳首を描く。しかしそう言われても色の
ない水。画用紙が濡れるだけで変化はない。
「さあ一枚はおしまい。少し休みましょうか」
 三十分もかかっていない。これからが大変な作
業になる。白いローブを羽織ってデスクの前に丸
椅子に座り、壁の絵を見上げていた。
「こうして手元に置く絵の意味はですね」
「あ、はい?」
「つねに僕に性器を見られているということなん
です」
「えっえっ?」
「欲しくてたまらず懸命に見てくれる男がいる。
つまり僕ですがね。そのことが絶対的な自信にな
る。何があろうと一人だけ一心不乱に見ていてく
れる男がいるということが」

 ゾクっとした。だから絵の中の女たちは男を誘
うようなポーズをしている。
「どう? ほしい?」「いい女でしょう?」
 そんな声が聞こえた気がした。
 ミルという人は、憧れているだけで得られない
ものを懸命に見つめている。それこそ男の心その
もの。女がもっとも求めるもの。
 佳菜子は危うく泣きそうだった。

女装画家ミルの女体修復(五話)

 白くなだらかに波打つ佳菜子の腹に平筆を這わ
せながらミルは言う。
「忘れようとするから忘れられずに苦しむ。立ち
向かうんです。いっときおなかに愛を宿した。そ
の記憶を宝として、流してしまった赤ちゃんにも
謝ったり手を合わせたりするのではなく笑ってあ
げるといいでしょう」
 泣きながらその言葉を聞き、佳菜子は我が子の
姿を思い浮かべることができていた。裸の我が子
を乳房に抱く母子の姿。それだけで心が温もる思
いがする。
「さあお腹はいいでしょう。脚を開いてすべてを
晒して。性器を描きます」
 きゅんと胸のすくむ思い。
「愛に期待して切ないまでに濡れそぼり、男を受
け入れて満たされる女のすべて。赤ちゃんが成熟
しないまま産み落としてしまった悲しい性器。し
かしそこだけを描き直しても子宮までは描くこと
ができません。ですからあなたには時間がかかる。
体だけではすまないからね」

 佳菜子は、たったいま泣いた悲しみが一気に失
せて、身悶えしたくなるほどの羞恥を感じていた。
 美しい女性のような男のミル。医者でもなく病
院でもない、こんなところで脚を開き切ってすべ
てを見せる。それはセックス以外ではあり得ない
姿だろう。乳房や乳首、腹を這った絵筆の感触が
全身の肌に思い出され、寒気のような性感が湧き
上がってくるのだった。
 ミルは丸椅子をベッドの下に移して座り、先の
細い丸筆を手に持った。
「お見せなさい。娘の性器に戻っていく気持ちよ
さを感じたままに表現すればいいんです」
「はい、でも」
「膝を立てて大きく開く」
「あぁ、そんな」
 佳菜子は、ついいま泣く目を隠したように腕で
目を覆い、顔をそむけ、膝を引きつけて腿を大き
く開いていった。

「そうそう、女性の根源。女の美というものはす
べてここに男を導くためのもの。恐ろしく醜く、
いやらしい。ゆえに女は美しい。ふふふ、もう濡
れてる。次の愛への期待ですよね」
 丸い筆先が陰唇の外側からクレバスに沿って上
下に這い、閉じた肉の花をそっとなぞって性器を
描く。
「ンふ、ぁぁん、ぁぁん、感じます」
「うんうん、濡らしましょう、もっと濡らして垂
らしていいから心のすべてを筆先に集め、愛撫だ
と思って悦ぶのです」
「はい、よろしいんですね、それで?」
 筆先が愛液を吸って絵の具の絡む絵筆のタッチ
になっていく。ミルの手がラビアをわずかに咲か
せ、肉花の表も裏も、外と内の溝の奥まで筆が這
う。

 膣口は綺麗なピンク。濡れがじぶじぶ滲み出し
て赤みを増す体の少し中まで筆が這う。
「あぁン、あン、くぅぅーン」
 腰が反って背が反ってアーチとなり、それでも
こらえきれず、性穴を上に向けて突き上げて男の
勃起に角度を合わせるような姿となる。
 筆が離れて腰が下がり、腿からも力が抜けて、
アクメのときのように白い腿肉がぶるぶる震えた。
 筆が替えられる。さらに細い丸い筆。愛液を吸
わないふわふわとした柔毛が、包皮にくるまれて
いて隠し切れないクリトリスの勃起にそっと触れ
た。
 電気が走ったように佳菜子の裸身が引き攣って、
そしたらそのとき下腹に力を入れたことで膣溜ま
りのとろりとした蜜液が膣口に流れ出す。
「ほうら垂れた。濃い蜜です、キラキラしている」
「嫌ぁぁおっしゃらないで。ぁぁ感じる、恥ずか
しいほど感じちゃうの」

「嫌と言ってはいけないな。女はすぐそれを言う
が、嬉しい、もっとよ、もっとちょうだい。そう
して求める言葉を偽ってはいけない。本音だから。
ポーズなど不要。可愛いですよ佳菜子さんは」
「はい、ありがとう。でもほんとに? ほんとに
可愛い女ですか?」
 指先で包皮を剥くようにして、肉芽の全容を現
したクリトリスに筆先がつつくように這い回る。
 佳菜子は腰を痙攣させ、腹をたぷたぷ揺らし、
乳房をたわたわそよがせて快楽の声を上げ続けた。
「気持ちいいね」
「あぁ、おかしくなりそう、いいんです、すごく
いんです。はぁぁーン」

「さあ、終わりましたよ。恥ずかしかったですね。
よく頑張ったご褒美です」
 尖らせたミルの唇が、ほんのかすかにクリトリ
スにキスをした。
「ンっふ!」
 一瞬目を見開いて顔を上げ、股間に寄せられる
ミルの顔を一目見て、佳菜子は涙になりそうだっ
た。目を閉じて慈しむような面色でキスしてくれ
た。愛を感じるキスだった。嬉しくて泣きそうだ
った。
「そちらでシャワーを。その扉の奥にあります」
「はい、ありがとうございました」
「いえいえ、これからですよ。シャワーの後、そ
のままそこがアトリエです。画家たる僕とのせめ
ぎあいだ」

 佳菜子はうなずくと、わけもなくミルを抱き締
めてやりたくなる衝動をこらえ、もう一枚の黒い
ドアを開けて奥へと入った。
 ゆるがないミルへの信頼。愛でできたような女
性のような男性。女心がミルへと流れ出していく
ようだった。

女装画家ミルの女体修復(四話)

 美しく可愛い女性のような男に見つめられなが
ら、黒いパンティを剥き下げて佳菜子は白い女と
なった。恥ずかしい。鳥肌が騒ぎ産毛が逆立って、
ベッドに上がろうとして尻を締めて見えないよう
に心を配る。
 真っ白な佳菜子は上気していた。体よりも頬が
赤らみ、さまざまあったとは言え、三十前の若い
裸身は扇情的だ。
「おおらかで綺麗なヌードだ」
「は、はい、ありがとうございます」
「もう三十でしたよね?」
「ええ、もうじき。妹とは二つ違いますから」
 ミルは、全裸となって仰向けに横たわる佳菜子
に対し、今回はバスタオルをかけようとはしなか
った。絵筆のあるワゴンを引いて丸椅子に腰を降
ろし、佳菜子のやわらかな腹にそっと手を置く。
 ぴくりと反応する佳菜子。その眸が濡れたよう
に潤んでいた。

「妹さんは懸命でしたよ。姉を救って、どうか救
ってと僕にすがった」
「はい」
「しかしもうそんなことはさせません。僕がいる。
二度とバカな真似はさせませんから。心を開いて
筆の動きに集中し、しかしお楽に」
「はい、よろしくお願いします」
 不思議な人。女装画家ミル。これほど特異な雰
囲気を持つ人はいないと佳菜子は思い、妹の想い
に今度こそ応えなければと意を決した。

「さて」
 細い丸筆が目許へ来た。
「散々お泣きになられたでしょう目許からはじめ
しょうか」
「はい」
 佳菜子は両手で陰毛を覆って目を閉じた。妹の
言うように水さえつけない細い筆先が目許を這い、
まさに絵を描くように、目頭、目尻、目の上下と
描いていく。

「周りの人たちに嫌な言葉を吐かれたでしょう口
許も」
「はい」
「聞きたくなかった言葉を聞いた耳も」
「はい」
「薬をあおって死の匂いを嗅いだ鼻も綺麗に整え
て」
「あぁ、はい!」
 時間を遡り、嫌なことを知る前の自分に描き直
されていく。このとき佳菜子は確かにそう思える
ことが嬉しくてならず、涙をツーっと流していた。
「ほら綺麗な涙だ。悲しくて流す涙じゃない。よ
ろしいですね、あなたはもう元のあなたに戻って
いく。筆を信じて」
「はい、きっと」
「両手を上に。乳房を描きます」
 佳菜子は、陰毛を隠せなくなる羞恥に固く目を
閉じて両手を頭の上に差し上げた。のびやかな肢
体がゆったりとしたカーブを描いて美しい。

 平筆に持ち替えられた。白くたわむ大きな乳房
を掃くように筆の毛が肌を這う。
「男たちに揉まれ、しかし赤ちゃんを抱くことの
なかった悲しい乳房だ」
「はい、ぅぅっ、うっ」
 嗚咽が漏れた。涙があふれ、佳菜子は差し上げ
た手を顔に降ろして目を覆う。
「男たちに吸われ、しかし赤ちゃんに与えること
ができなかった悲しい乳首」
 丸く細い筆先が乳輪から尖り勃つ色素の濃い乳
首を描く。
「ぅぅぅ悲しいです、ミルさん、なんのためにお
なかにいたんでしょうね」
「うんうん可哀想に。しかしいま娘だった頃の乳
首に戻すよう描いています。心を楽に筆の感触だ
けに集中して」
「はい」
「気持ちいいでしょう、ほうら、こうして筆が這
う。ほうら気持ちいい」

 性的な響きのある言葉に、佳菜子はいきなり襲
う性感に困惑した。どうしてしまったのか、いき
なり性の震えに襲われる。この上なくやさしい乳
首への愛撫。
「ぅ、ん、んっ」
「ふふふ、そうそう、気持ちよければ声を抑える
ことはない。ほうら這う、筆が這う、感じますね」
「ンふっ、あぁぁ感じますミルさん、どうして、
どうして急に?」
「娘の乳首に戻れたからね。これからの愛に期待
する可愛い娘心が感じさせてくれんです」
「はい、そうなら嬉しい。そうなれたら嬉しいで
す」
「なれますとも必ず。僕の腕を信じなさい。感じ
て感じて綺麗に濡らせる女に戻れる」
「はい、お願いします、妹のためにも二度と馬鹿
なことはできませんから」
「そうだ、そのとおり。美しい乳首ですよ、僕が
むしゃぶりつきたくなるほどの」

 頬が燃える。羞恥ではなく愛を感じる。女性の
ような美を持つ小柄な男性。そうよミルさんは男
だわと、佳菜子は自分のすべてが認められたよう
な想いになれた。
 荒くなる息に乳房が揺らぐ。息が熱い。
「あぁぁ、ぅぅン、感じるぅ」
「そうそう、激しく濡らして娘らしい情念を性器
から垂らしなさい」
「そんな、垂らすなんてそんな」
 佳菜子の裸身がぴくぴくと痙攣するように震え
だす。
「さあ、おなかだ。赤ちゃんが入る前のおなかに
描いてあげますからね」
「お願いします。あぁ子供を、子供を殺してしま
いましたぁ、うわぁぁ!」

 号泣した。ミルの前でならどれほど泣いても許
されると佳菜子は思う。安心して泣き崩れた。
「泣きなさい。叫ぶように泣きなさい。どれほど
泣いても泣く前の楽しい眸に僕が戻してあげます
よ」
「はい! うわぁ、うわあああーっ!」
 ミルは、あまりに哀れな佳菜子の腹を平筆でや
さしく描き直していくのだった。

女装画家ミルの女体修復(三話)

 十日ほどが過ぎていた。
 妹からそんな話を聞かされても乗り気になれな
かった佳菜子。お願いだから信じてちょうだいと
食い下がる妹にしぶしぶ腰を上げたのだった。
 苦悩が深いときには時間がかかるという。言わ
れたように、朝十時の約束に合わせて家を出て、
原宿。表参道なんてどれぐらいぶりだろうと青山
通りに向かって歩き、途中逸れて路地へと踏み込
む。空がよくない。薄かった雲が見る間に厚みを
増してくる。

 目指すビルは見つかった。見つかったも何も、
そこだけ廃墟の雰囲気で佳菜子はちょっと迷って
いた。しかししょうがない。ここまで来て帰った
ら今度こそ妹は怒りだす。
 腐ったようなコンクリートの階段を登り、MIRU
と書かれた絵馬そっくりの表札を確かめて鉄の扉
をノックした。
「はじめまして、蓮見と申します。先日は妹の佳
代子がお世話になりましたそうで」

 佳菜子は懸命に正気でいようと意識しながら話
していたが、ミルという男性は、あまりに可愛く
小さかった。妹の佳代子は165センチだったが姉
はさらに4センチ背が高い。ヒールを履いていた
から75に迫る高さ。対してミルは部屋履きのロー
ヒールサンダル。十センチは背丈が違う。
 胸も姉はDサイズ。白人なみのラージグラマー。
今日の佳菜子は最初からかすかな敵意を秘めてい
た。ひとつは男のくせに女装であり、しかも可愛
いなんてヘンだわよ。もうひとつは、あなたなん
かに私の何が直せるって言うの。妹は感化されや
すい子だから効いたのであって私は違う。
 ところが、一目見て心を奪われる女性。どこか
ら見ても女だったし、女としても格が違う。憧れ
にも似た感情が生まれてくる。

「お話はうかがっています、さあこちらへ」
 えー? 男らしい口調と声のトーン。
 なのに今日はブルーレザーのミニスカ、シース
ルーの白のブラウス。ピンクのアミストにピンク
のブラ。妹が言ったとおりの赤毛のボブヘヤー。
整った小顔をつつむ、片側がセミロングで片側が
ややショートなデザインカット。
 綺麗。嘘でしょう。それがファーストインプレ
ッション。佳菜子はミルに魅せられてしまってい
た。
 黒一色の不思議な部屋。そこだけ白いベッドに
腰掛けて、それもまた言われたようにミネラルウ
オーターのコップを置かれ、丸椅子を引いて座る
ミルに向き合う。
 つくづく綺麗。ぼーっと見とれた佳菜子だった。

 ミルは透き通ったキャッツアイを佳菜子に向け
た。光線の具合でサファイヤブルーに輝く眼差し。
「睡眠薬をね?」
「はい」
「自信を失い、それよりも赤ちゃんですよね」
「そうです。いまとなっては主人のことなんてど
うでもよくって、弱かった私のせいでお腹の子を
亡くしたことのほうがずっと。そのとき四ヶ月だ
ったんです」
 ミルはうなずき、佳菜子の眸を見つめていた。
「あの子が呼ぶんです、ママ、ママって」
「うむ」
「耐えられません。時が記憶を薄めていっても、
日頃どれほどまともでも、あるとき突然錯乱した
ようになってしまって発作的に薬を」
「うむ」
「おっしゃられたように自信をなくしたこともあ
りますね。私がいるのに何でって。どこがいけな
かったのって」

 ミルは、脚を揃えてベッドに腰掛け、膝に置い
た佳菜子の手にそっと手を重ね、そして言った。
 そのミルの右手。肌が白く指が細く、甘皮から
整えた綺麗な爪にブラに合わせたようなピンクの
マニキュア。
「少しずつ修復していきましょう。あなたにはフ
ルコースが必要でしょうね」
「フルコースと申しますと?」
「体への修復とは別にアトリエでフルヌードの絵
を描きます。悲しい心を絵の中のあなたに封じ込
めてしまうんです」
「は、はぁ」
 不思議な気分。ミルに言われるとそんな超常現
象的なことさえ、できてしまいそうな気がする。

「では、お脱ぎになられて。全裸です」

 カーっと下着の底から湧き上がるような羞恥。
女であっても男性。
 しかしこのとき、佳菜子は操られるように立ち
上がり、スカートから手にかけていた。

女装画家ミルの女体修復(二話)

 黒革のミニスカ、シースルーで胸元にフリフリ
のあるワインレッドのブラウス。アミスト。それ
に金色ラメのヒールサンダル。
 ヘヤーはシンプルボブっぽいデザインヘヤーで
肩の下ほどまでのセミロング。でもそれはヅラ?
 目鼻立ちの整った小顔。なんとなくですが青み
がかったキャッツアイ。女でも高くはない160セ
ンチそこそこのコンパクトレディ。引き締まった
ウエスト。ブラウスを衝き上げる赤いブラ。小さ
くてぷりぷりしてるお尻。
 どう見ても女性でしたし、年齢的にも落ち着い
た、知と美を兼ね備えた人。見とれてしまってぼ
ーっとしていた私です。

 窓のない黒一色のお部屋。古い建物ですが壁に
も天井にも黒の艶消しの化粧板。フロアもふわふ
わのブラックカーペット。照明は普通の蛍光灯。
 そこそこ広いお部屋でしたが、なにしろ黒一色
なので照明を反射せず薄暗い感じがした。三階建
ての三階ワンフロアをそっくり借りて、お部屋に
は奥へのドアもありますから他にも部屋はあるみ
たい。春のぽかぽか陽気の真っ昼間。空調が効い
ていて爽やかな空気の流れを感じます。
 そんなお部屋にそこだけ白い、ほんと真っ白な
レザー張りのシングルベッド。クリニックに置い
てある診察台だと思えばいい。傍らに黒いワゴン
が置かれ、ガラスのコップに絵筆が無数に立って
いた。絵の具を吸わない未使用の筆ばかり。
 そのワゴンを引っ張って、天板をテーブル代わ
りにお水の入ったコップが置かれた。絵の具でも
とくのかしらと思ったら・・。
「どうぞ」
「はい?」
「空気が乾いてますからね、ミネラルウオーター
です」
 飲むの? カクって感じでコケそうでした。

 私をベッドに座らせて、彼なのに女ですから彼
女(かれじょ)と呼ぶことにしたのですが、彼女
はキャスター付きの丸椅子を引いて腰掛けます。
 黒いミニが腿まで上がってワインレッドのアミ
ストの白い肌にゾクっとします。このとき私もミ
ニでした。脱ぐことも考えてストッキングは穿い
ていません。私だって座れば腿まで見えている。
ベッドに比べて丸椅子が高いので目線は上から。
デルタが見えることはなかったでしょうね。
「ここは僕のアトリエです。向こうがそう。こっ
ちは違う」
 やっぱり。もう一枚のドアの向こうが創作の場。
「ではほんとに絵を?」
「画家ですよ。僕にはちょっと不思議な力があり
ましてね。女性の体を描き直すことができるんで
す。あるときこういうことをはじめてみたら口コ
ミでひろがってしまい、いまではどっちが本業な
のやら」
「そうですか。それでお礼のほうはいかほど差し
上げれば?」
「ふふふ、眉唾ぐらいにしか思っておられないは
ずだ。いまここで百万と言って払う気になれます
か。描き直したあなたを自分で確かめ、その上で
お気持ちだけをいただきます。今日はタダってこ
とですね」

 自然体の話し方。お代は後ほど、気持ちだけ。
これは本物かも知れないと期待した。
 私は、腐れ縁の彼とのこと、もう一人の理想の
彼のこと、つつみ隠さずすべてを打ち明けてお話
しました。
「なるほど。前の彼を捨てないと次に行けない、
どうにかしてってことですね。いかにも都合のい
い自分勝手な発想ですが、しかしそれでいいので
しょうか」
「とおっしゃいますと?」
「描き直してしまうと戻れなくなりますよ。前の
彼に対して気持ちが動かなくなってしまう。終わ
りということです。それでもいいんですね?」
 私は怖くなっていた。もしもミルさんが本物で、
彼に対して醒めてしまえば、私は彼に対して怖い
女になると思う。そのことが怖かったのです。
 あけすけに言われてしまったことにも、ちょっ
とムッとしていたし。

「そのつもりで来ました。ずるずるでは苦しくて」
「わかりました、はじめましょうか。あなたの場
合は簡単だ。彼を見つめてきた眸、声を聞いた耳、
匂いを覚えた鼻、キスを重ねた唇、お顔を直せば
ほぼ完成だが、肝心なところがもう一か所。上だ
けお脱ぎになってブラを外してくだされば」
「は、はい」
 彼女は男。でも女。もちろん恥ずかしいのです
が同性ならどうってことない。男だったら恥ずか
しい。思考がうにゃうにゃになっています。
 シャツを脱いでピンクのブラを取る。私はCよ。
そこそこ豊かで形もよかった。スカートは穿いた
ままベッドに横になりました。そしたら彼女がワ
ゴンに置かれた白いバスタオルをひろげ、乳房の
下まで縦にタオルをかけてくれます。膝まである
からスカートを気にすることはない。

「彼を見つめてきた眸」
 細い丸筆。水もつけないやわらかな毛が、瞼か
ら目の周りをくすぐるように這いまわる。
「声を聞いた耳」
「匂いを覚えた鼻」
「キスを重ねた唇」
 筆の先が見えない絵の具を塗っていくように顔
を描いていくんです。くすぐったいよ。
「さあ、これでお顔はできた。彼を知る前のお顔
に戻れていますので、もはや感情は動かないでし
ょう」
「あ、はい、そうなんですね?」
「さて、では最後に乳首です」
「乳首?」
「エッチのとき吸われてませんか? 乳首を吸っ
てくれる彼の頭を抱いてあげて、たまらない想い
がしたはずです。母性の根源。甘える彼が可愛く
てならないはずだ」
「それは、はい、そうですけれど」

 筆を持ち替えて、さらに先の細い丸い筆。乳輪
から乳首全体、愛撫するよう描いていく。刺激に
キューって乳首が尖り、ゾワゾワと感じてくる。
不思議な快感。アソコが濡れだす感覚が確かにし
ました。
「はい、おしまい」
「もういいんですか?」
「ほんとは性器もなのですが、そこまですること
もないでしょう。記憶としてパンティの中に留め
ておかれればいい」
 その言葉が心に刺さって抜けません。ペニスの
記憶。愛し合ってつながった記憶。私はひどいこ
とをしてしまった。

 さっそく彼に会いました。半信半疑。そんなこ
とってあるんだろうか。

 そのときこそ寒気がしたわ。あれほど愛した人
なのに、あなた誰よ? 私の何なの? 可愛くも
ありませんし、カッコよくも見えてこない。声だ
って素敵じゃない。匂いもタバコ臭いだけ。
 彼への想いが抜けてしまった。うまく言えませ
んが、抱いてあげたいと思う気持ちが失せている。
「じゃあ、そういうことで。ごめんなさいね。さ
ようなら」
 別れを突きつけて涼しい顔で歩いてる。良心の
呵責ナシ。すっきりさっぱり次行くぞー、みたい
な気持ちになれてます。
 ミルさんて凄い。
 姉を助けたい。描き直してもらえば、もう大丈
夫。さっそく姉のところへ行き、お礼を持ってミ
ルさんを訪ねます。

「ベッドに手を突いてお尻を向けて」
「えっえっ?」
 パァン!
 平手でお尻をひっぱたかれた。やっぱり男よ、
力あるし。
「僕を試した罰です。ふっふっふ、わかりました、
連れてらっしゃい」

 こいつ、いいヤツ? ドキンとして、キュン。

女装画家ミルの女体修復(一話)

 傷んだ絵を修復するように生きた女を描き直す
画家がいる。
 女装画家ミル。
 そんな話を友だちから聞かされた。話の出どこ
ろは定かでなく、だいたい誰が信じるものですか。
まともなら信じませんし取り合う気にもならない
でしょう。

 それでも私は一筋の光を見ていたわ。姉のため。
二つ違いの姉でしたが、この一年の間に二度も睡
眠薬をあおってしまった。二年前に家を壊して別
居。そのまま離婚。性格の不一致だと本人は言う
のですが、どうやら旦那の不倫らしい。
 そのとき姉は身ごもっていて、精神的な不安定
から赤ちゃんを流してしまった。姉がおかしくな
ったのはそれからです。
 このままでは、いつまたバカなことをするとも
知れない。クスリならまだしも手段が進めば取り
返しがつかなくなる。

 でもね、思い詰めている姉を眉唾なところへ連
れて行って逆効果になったらタイヘン。
 じつはこのとき私も悩みを抱えていたのです。
私はいま二十七。結婚を考えた彼がいましたが、
もう一人別な方から告白された。彼は同い年で五
年の付き合いでしたが、つまり二十二だった頃の
彼を知ってるわけで、いまだに彼は子供です。
 男の人って知り合った頃の精神状態を引きずっ
てしまうものだと友だちも言いますし、母性だけ
で結婚するのもなあと思っていたとき、別の方か
らアプローチ。歳は三つ上ですが、いい意味でク
ラクラするほど大人です。どうでもいいことは私
本位を許してくれて、イザというとき彼がガツン
と決める。理想だった男性なんです。
 だけど彼の顔を見てしまうと可哀想だし可愛い
し、別れを言えなくてもがいていたんですね。

 予行演習ではありませんが、まず私がミルって
人に会ってみて、本物そうなら姉を連れて行こう
と考えた。姉に比べれば私の悩みなんて深刻なも
のじゃない。その程度の悩みを解消できなければ
姉のことなど任せられない。
 それとこれとは違うとわかっていても、とにか
く昔の姉に戻ってほしい。ワラをもつかむと言い
ますが、そんな心境。
 だって女装画家なんですよ。男の人が女の姿で
絵を描くように生きた女性を修復する。友だちの
話では、そのときモデルはヌードだそうです。
 バッカくさ。普通ならそうでしょう。私でさえ
そんなところで裸になりたくありません。
 でも姉を思うと、いま何かをしなければ、きっ
と一生後悔すると思うんですね。

 原宿です。表参道を逸れて入り込んだ路地に建
つ廃墟ほども古い三階建ての三階。エレベーター
なんてもちろんなくて、階段も薄汚れてイメージ
最悪。眉唾で売れてないからこうなんだわと思い
つつ階段を登って行きます。
 古い鉄の扉です。MIRUと描かれた絵馬のような
サインが提がる。やめておけばよかったと後悔し
つつ、会わずに帰るでは悩んだ時間が無駄になる。
 お話してみて胡散臭ければとっとと帰ろう。そ
う思ってノックしました。チャイムさえない。

 ところが。

 ドアの内側は古いなりに綺麗にされて、メルヘ
ンタッチのヌード絵が飾ってあった。
 女装画家ミル。一目見て女の私がゾクっとする
ほど可愛い女性。ん? 男性?
 私は165センチですが、彼女はずっと背が低い。
160あるかないか。そんな人なのに赤毛のロング
ヘヤーがサラサラしていて、スタイル最高。色白
で整った顔立ちで、どこから見てもお人形のよう
な人。お化粧も嫌味がなくて綺麗だわ。

「どうぞ、こちらへ」
 えー! 声が男性。ちっとも女性じゃありませ
ん。
「ふっふっふ、なるほどね」
 彼女(かれじょ)は笑って首をすくめた。
「勘違いだ。女装とソッチ系を誤解されてる。僕
はまったくノーマルです。ただ女性のスタイルが
好きなだけ。男の服などつまらんでしょ」

 じゃあコスプレ? でもなさそう。
 お歳は三十ちょっとかな。穏やかで知性の滲む
話し方。ルックスから、このときちょっと混乱し
たけど、もしやと思える人でした。

ピックアップ!


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