archive: 2015年04月  1/4

女装画家ミルの女体修復(十話)

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 三ヶ月が早かったですね。私がミルさんを訪ねたときは春だったのに、梅雨が過ぎて真夏。うだるような暑さです。朝職場に着いたときすでにパンティまでが湿っている。不快指数最悪といった感じ。それなのに姉は日々をすっきり過ごしています。 あれから姉はほとんど週イチペースで通っている。そのたび全裸になって性器までを描き直してもらってる。天空から赤ちゃんが降りてくる絵を暇さえあれば見つめてる。赤ちゃんを抱くもう...

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女装画家ミルの女体修復(九話)

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 ずっと背の高い佳菜子が小柄なミルを抱いている。妹にはそう見えていたのだったが、そのミルにちょっと髪を撫でられて佳菜子は膝から崩れるようにミルの足下に膝をつき、ミルの細い腰を抱き締めてすがりつく。それは圧倒的な男に出会って身を捧げる女の姿そのものだった。 うっとりと泣き濡れた目を閉じて、腰を抱き、黒いスカートにくるまれた小さな尻を「あぁぁあぁぁ」と熱い息を吐きながら撫でまわし、女性のような男性の股...

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女装画家ミルの女体修復(八話)

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 姉の佳菜子は実家に暮らした。妹の佳代子は職場から遠くないところに部屋を借りて住んでいる。距離はそれほど遠くなかった。 その夜の佳代子は仕事からまっすぐ実家に向かう。明日は土曜日。絵ができた。ミルのアトリエへ取りに行くから一緒に行こう。佳代子はもちろんあれから電話で話していたが姉は明らかに何かが違うと感じていた。声に力がある。話すことといったらミルのことばかり。 あの日きっと何かがあった。女を描き...

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女装画家ミルの女体修復(七話)

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「さて次だ。燃えるほどの恥辱のポーズにしてみましょうか」 男らしい口調とロートーンボイス。それでいてブルーレザーのミニスカ、シースルーの白のブラウス。ピンクのアミストにピンクのブラ。赤毛のボブヘヤーが小顔をつつむ、160センチあるかないかの可愛い男性。 ミルは透き通ったキャッツアイを佳菜子に向け、佳菜子はミルに魅入られていた。光線の具合でサファイヤブルーに輝く眼差しがこの世のものとは思えない。整って...

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女装画家ミルの女体修復(六話)

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 シャワーのあるところまでが黒い空間。ダークカーテンで仕切られていたのだったが、シャワーを出る気配で「こちらへ」という声に導かれ、カーテンを開けると、黒とは正反対の白一色のアトリエがひろがった。 古いビルのコンクリート。フロアにも壁にも荒れが目立ったのだが、白いペンキで綺麗に塗ってある。窓は嵌め殺しでここにもない。空調が効いていてほどよい気流を感じる。黒い部屋よりいくぶん広く感じられた。照明はすべ...

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女装画家ミルの女体修復(五話)

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 白くなだらかに波打つ佳菜子の腹に平筆を這わせながらミルは言う。「忘れようとするから忘れられずに苦しむ。立ち向かうんです。いっときおなかに愛を宿した。その記憶を宝として、流してしまった赤ちゃんにも謝ったり手を合わせたりするのではなく笑ってあげるといいでしょう」 泣きながらその言葉を聞き、佳菜子は我が子の姿を思い浮かべることができていた。裸の我が子を乳房に抱く母子の姿。それだけで心が温もる思いがする...

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女装画家ミルの女体修復(四話)

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 美しく可愛い女性のような男に見つめられながら、黒いパンティを剥き下げて佳菜子は白い女となった。恥ずかしい。鳥肌が騒ぎ産毛が逆立って、ベッドに上がろうとして尻を締めて見えないように心を配る。 真っ白な佳菜子は上気していた。体よりも頬が赤らみ、さまざまあったとは言え、三十前の若い裸身は扇情的だ。「おおらかで綺麗なヌードだ」「は、はい、ありがとうございます」「もう三十でしたよね?」「ええ、もうじき。妹...

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女装画家ミルの女体修復(三話)

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 十日ほどが過ぎていた。 妹からそんな話を聞かされても乗り気になれなかった佳菜子。お願いだから信じてちょうだいと食い下がる妹にしぶしぶ腰を上げたのだった。 苦悩が深いときには時間がかかるという。言われたように、朝十時の約束に合わせて家を出て、原宿。表参道なんてどれぐらいぶりだろうと青山通りに向かって歩き、途中逸れて路地へと踏み込む。空がよくない。薄かった雲が見る間に厚みを増してくる。 目指すビルは...

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女装画家ミルの女体修復(二話)

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 黒革のミニスカ、シースルーで胸元にフリフリのあるワインレッドのブラウス。アミスト。それに金色ラメのヒールサンダル。 ヘヤーはシンプルボブっぽいデザインヘヤーで肩の下ほどまでのセミロング。でもそれはヅラ? 目鼻立ちの整った小顔。なんとなくですが青みがかったキャッツアイ。女でも高くはない160センチそこそこのコンパクトレディ。引き締まったウエスト。ブラウスを衝き上げる赤いブラ。小さくてぷりぷりしてるお...

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女装画家ミルの女体修復(一話)

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 傷んだ絵を修復するように生きた女を描き直す画家がいる。 女装画家ミル。 そんな話を友だちから聞かされた。話の出どころは定かでなく、だいたい誰が信じるものですか。まともなら信じませんし取り合う気にもならないでしょう。 それでも私は一筋の光を見ていたわ。姉のため。二つ違いの姉でしたが、この一年の間に二度も睡眠薬をあおってしまった。二年前に家を壊して別居。そのまま離婚。性格の不一致だと本人は言うのです...

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