快感小説

爽やか不倫 風をきって(三話)

 十月最後の木曜日、空は晴れ渡っていたけれど下の娘の都合でど
うしても学校に行く用事ができてしまい、それから自宅に戻って着替え
なければならなくて、スタートが予定したより遅れてしまった。
 小さな子供がいると縛られることが多く、平日しか時間がないにも
かかわらず、それさえ狂ってしまいがち。もちろん浜島さんには連絡
だけはしてあって、やきもきさせることはなかったと思うのですけど。

 浜島さんとは彼のお店で待ち合わせることにしていた。お店でお茶
でもしてるからと言ってくれる。着替えて家を出たのが十時過ぎ、お
店には十時半に着いていた。店の前に本格的なサイクルファッション
で現れた私に、彼はよほどびっくりしたようです。
「おっ! そうなりましたか、あははは!」
 そうなりましたかとは、どうなりましたの? その言い方がまた彼
らしく、遅くなっても怒る素振りもなく笑ってくれていることに、私
はますます彼のことが好きになった。

 そうして十一時前にスタートしたのですけどね、羽田は近いって彼
の言葉はその通り。しかも私のペースに合わせてくれたはずなのに、
お昼過ぎには着いていた。あの日と同じ環八ルートで、途中左に折れ
て羽田の滑走路を見渡す公園に出る、そんなコース。彼の後につい
てなんとか止まらずに走ってきたけれど、私はまだまだ弱かった。
 長距離を通して走るのははじめて。緩い坂が少し続くと歯を食い縛
ってペダルを踏んだ。浜島さんは、もちろん何度も振り向いて気にか
けてくれたけど、だからこそ負けたくないとふんばれたのです。

 あとちょっとで目的の公園というところで、コンビニに寄って軽い
昼食の買い物をし、そこからはペースを落として流して行った。コン
ビニの店内で、自転車を降りた私の脚がかっくんかっくんしていたよ
うで、情けないったらありゃしない。
 空港の対岸の公園に着いて自転車を停めたとき、ジャンボジェット
の巨大な機体が滑走路に着地して逆噴射。ものすごい轟音が響いて
きていた。
 海というのか水路というのか、それを隔てて滑走路が見渡せるベン
チに座り、次から次に離陸そして着陸する飛行機を見ているうちに、
私はちょっと不思議な気持ちになっていた。日常ある街並みからこう
してわずかに離れただけで、まるで違う世界がある。日々に縛られて
いてはいけないと思えたのです。

 ベテランの浜島さんはそうでもなかったようですが私はもう全身汗
だく。上着は長袖、ボトムも足首までの冬のウエアを揃えてみたけど、
まだ夏用のものでよかったかも知れません。ペットボトルのスポーツ
ドリンクをがぶ飲みしながら汗を拭く私に、明るく笑って彼が言った。
「それにしても頑張りましたねー、ノンストップで来ちゃいましたよ。
はじめて間もないのに、あれから密かに走り込んで鍛えていたなと
思いましたよ。うんうん、すごいすごい」
「いえ、走り込むと言うほどのことはないんですけど、近所を少し。
でもまだまだですね、脚がもうがくがくで」
「いやいや、よっく頑張ったと思いますよ。そうやって走っていれば、
すぐに慣れてきますから。よく頑張った頑張った」
 嬉しかった。私のことを認めてくれた。そんな気がした。何かをや
り遂げた者同士の連帯感のようなもの。スポーツっていいとつくづく
思った私です。

 ところが・・コンビニで買ってきたものを広げようと、一度ベンチ
を立とうとしたとき・・。
「あ、あ・・あぁん」 
 私は膝が抜けてしまい、そのまま草の上にぺたんと尻餅をついてし
まったの。正座が崩れてお尻をつく女の子座りという姿。そしたら、
呆れてぽかんと見ていた浜島さん。横目使いの私と目が合い一拍お
いて・・。
「うははは! 可愛いー! こりゃ可笑しい! うははは!」
 大口を開けて笑い転げてしまってる。私は恥ずかしくてしかたがな
かった。酷使した筋肉が、少し休んだことでバカになっていたらしく、
立つに立てない。
「膝が抜けちゃいましたねー、あっはっは!」
 ばんばん手を叩いて笑ってる。
 と、笑いながらベンチを立った浜島さんが・・。

 私を抱き起こしてベンチに座らせ、私の前に膝をついて脚を揉んで
くれるのです。足首のアキレス腱のところから、ふくらはぎ、それか
ら太腿、腿の裏側・・薄くて体に張りつくウエアの上から彼の手が揉
んでさすって、行ったりきたり。
 それでも足りず、私はベンチにうつ伏せに寝かされて、腿の裏も腰
のところも揉まれたりさすられたり・・太腿の筋肉をぶるぶる震わす
マッサージの振動がお尻までを震わせて、女としての羞恥の思いを
呼び覚ましてしまうのです。
 サイクルウエアはレオタードのようなもの。裸の私を一枚包んでい
るだけで。お尻を揉まれたらどうしよう・・そして、あんなこともこ
んなこともされたりして・・きゃぁあーっ!
 だけどそれは、まったく自分勝手な妄想で、太腿からお尻をとばし
て腰に来る。彼に変な素振りはありません。

 その日の夜。私は心地いい疲労に、子供らをほっといて九時半に
は横になる。腰から下が自分の体じゃないみたい。すでに筋肉痛が
はじまっていて、明日ちゃんと起きられるのか心配だった。
 ストレスのない夜。明かりを消した寝室で疲れているのに目だけが
冴えて、なぜだかちっとも眠れない。羽田からの帰りのルートは環七
経由。私を先にスローなペースで走ってくれた。けれども私は恥ずか
しくてたまらなかった。私は中肉中背で背丈も普通でしたけど、ウエ
ストはすっきり細く、くびれの目立つ体つき。それをぴっちぴちのサ
イクルパンツが包んでいる。

 後ろからなら、ブラのラインがそのまま透ける背中もそうだし、く
びれたウエストから腰のところでばんと張り出し、小さなサドルから
は蠢くお尻がはみだして。それをずっと見られている。
 そんな想いが女心を掻き乱してしまうのです。そうすると今度は、
行きのルートで後ろから見ていた逞しい男性のヒップが脳裏に浮か
ぶ。
浜島さんはそこそこのオジサマですけど、自転車で鍛えた体は若々
しい。お尻のラインが引き締まり、太腿には躍動する筋肉が浮いて
いる。

 白昼のベンチで私は男の人に触れられた。そのときの不思議な感
覚も、ごまかしようのない記憶。夫以外の男性に体に触れられたこと。
それが、言葉にできない心地よさとなってよみがえってくるのです。
 そしてよみがえってきたときに、恥ずかしいより怖いより、嬉しくて
たまらないこの気持ちは何なのか・・いつもと同じベッドの上で、今夜
はドキドキしていたの。

 浜島さんに、いつかきっと抱かれそう・・どうしよう・・。

 ドアの向こうに子供らの声がする闇の中。私はそっと乳房の先に触
れてみた。ビクンて電気が走るよう・・感覚が鋭くなってる。でもどうし
て? サドルにこすりつけていたからかしら・・どこを?
 え! 違う違う! 馬鹿なんだからもう・・。 
 思考が飛躍しすぎて可笑しくなって、笑っているうち寝てしまった。

 翌朝、筋肉痛はいよいよひどくなっていて、子供らを学校にやった
後、家事をするのも辛くなって座り込んでしまっていた。ふくらはぎ
がかちんかちん。お風呂に入ってマッサージしてみようと思い立ち、
浴槽にお湯を張ってのんびり浸かった。モミモミした。午前中のこん
な時間にお風呂なんて滅多にないこと。自転車をはじめたことが、こ
んなところでも暮らしのリズムを変えている。意識が家の外に向きは
じめたことで私は変わるかも知れないと、漠然と考えていた。

 外の明かりが差し込む明るい脱衣場。お風呂からあがった私は、ふ
と鏡の中の自分を見た。目の周りに小ジワ。首筋にも横にラインがく
ぼんでいる。誰もいない家の中で裸のままで寝室へ。ドレッサーの大
きな鏡にヌードの私を映してみたのね。
 大きくはないけれど形のよかった二つの乳房が、いくぶん張りをな
くして垂れてきている? おなかには私が二人の娘の母である印がは
っきり残り、私はちょっと肩を落とした。こんな姿を浜島さんには見
せられない。がっかりされて嫌われる。
 夕べ一時でも彼との性を想像したのは、やはりできないことなのね。
そうよ、あってはならないことでもあるし・・。

 ため息をつきながら、私はベッドに全裸の体をなげだした。

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