快感小説

爽やか不倫 風をきって(六話)

「知らないわよ、そんなもん! 忘れたのはあんたなんだからママの
ところへ持って行きなさいよ! 謝ればいいじゃんか!」
「だってお姉ちゃんが机勝手にいじるからじゃん!」
「あー、るっさいわねー! あんたが汚くしてるからでしょう!」
「なんで叩くのー! ぅえ~ん!」
 夕食の支度をしているときだった。子供らの部屋から言い争う声が
聞こえ、上の子が手を上げたらしく下の子の泣き声が家中に響き渡っ
た。
「またはじまった・・」
 明子は、油をかけたガスを止め、子供らの部屋を覗いた。
「どうしたのよ、喧嘩ばっかり?」
「だってママ、恭子ったらさー」
「うえぇーん、お姉ちゃんが叩いたー!」
 上の子は噛みつかんばかりだし下の子はエプロンの前に飛び込ん
できて泣いている。話を聞いてみると、下の子、小学校四年の恭子
が学校でもらった父兄会のプリントを渡すのを忘れてしまい、机の上
に置っきぱなしにしておいて、それを上の娘、中一の澄子が散らかっ
ていると思い片付けてしまった。それで下の子がプリントに気づいた
ときには遅かったということだった。
「どれよ、見せてごらんなさい」
 しゃくりあげて泣きながら、妹の恭子がプリントを持ってきた。
「なになに、父兄会・・うんうん、あらやだ、明日じゃない」
 上の子、澄子が口を尖らせて言った。
「そうでしょ。恭子ったら気がつかなかったのは私が片付けてしまっ
たからだって、それママのところへ持ってって謝ってよって言うのよ」
 下の子が、それに喰ってかかる。
「だってそうじゃん! 余計なことしたんお姉ちゃんなんだから!」
 明子は、抱きつく恭子の頭を撫でながら、二人に言った。
「はいはい、わかったわかった、もうおよし。ぎりぎりセーフで間に
合ったんだから、どうってことないわよ」
 明子は下の娘に向かって、「プリントをすぐ出さなかったのはあな
たが悪い。それに机を汚くしてたのもあなたのせいね。お姉ちゃんは
それをお片付けただけ。そうでしょう澄ちゃん」
 そして上の澄子に対しては、「理由がどうあれ叩いたのはよくない
わ。それと片付けてあげたのは褒めてあげますけど勝手にいじっち
ゃいけないわよ。あなたの机を私が勝手にいじったら、あなたどう思
う? そうでしょう」
 それから二人に向かって、「はい、どっちも謝りなさい。父兄会のこ
とは心配しなくていいからね」
 澄子が先に口を開いた。
「ごめん」
「うん」
 恭子がしょんぼりして言った。
「ごめんなさいママ」
「もういいわよ、泣かないの」
 明子が二人の頭を撫でて内戦は静まった。

 今夜は天ぷら。父親のいない食卓は日々のことで、親子三人、笑い
ながら食事を済ませた。そしたら下の恭子が、「恭子、片付けるね」
とぼそっと言った。悪いことをしたと気を使っているようだ。可愛い
ことをしてくれると思う。
 済んだ食器をお盆にのせてキッチンに運ぶ恭子の姿を、明子と姉
の澄子が、互いに目配せをしながら見送っていた。
「いいところあるじゃない。あなたもお姉ちゃんなんだから面倒見て
あげないと。怒っちゃだめよ」
「だってさ」
「叩いたりしちゃだめですからね」
「ごめんなさい・・でも」
「なあに?」
「最近のママ、なんか変わったね」

「え・・」

「ちょっとやさしくなったみたい」
「そ、そうかしら?」
「顔つきがやらかくなってる。なんだかちょっと綺麗になったし」
「ああ、それは化粧品変えたからじゃない? いまちょっと高いの使
ってるのよ」
 明子はハッとした。子供でも女同士、勘は鋭い。特に何かを変えた
つもりもなかったけれど、言われてみれば苛立つことが減ってきた気
がする。知らず知らず、身なりにも化粧にも以前と違う何かが顕れて
いるのかも知れないと、明子は、テレビを見ている澄子の横顔をうか
がった。
「しょうがないわね、私も手伝おうかしら。あの子一人じゃ可哀想だ
し」
 そんな言葉が、とりあえずこの場を繕うものであったことは明子は
もちろん意識していた。

「おろろ? 娘さんがそんなことを?」
「そうなのよ、ドキッとしちゃった」
「うははは!」
「笑い事じゃないってば。油断ならん、恐るべし我が娘。むふふ」
「うははは! わっはっはっは!」
 可笑しいですよーと言うように、手を叩いて笑うマスターを見てい
ると明子も付き合うほかはなかった。ちょっと拗ねたような目で微笑
む明子に、マスターの笑いはおさまらない。
 楽しい。この店に来ることも、マスターといることも、毎日が楽し
くてしかたがない。
「でも、確かに」
「なあに?」
「明ちゃん綺麗になってるね、あの頃よりずっと。他の人にも言われ
るだろう、友だちとか?」
「言われる。若返ったみたいですって。体重も減ったみたいだし」
 マスターが両手を回しペダルを漕ぐ素振りをする。
「チャリのせいかしら?」
「うん。ジムにもチャリはあるだろう」
「なるほど」
「うははは! こりゃ可笑しい、綺麗になって痩せてどうするってか?
うははは!」
「もう、怒りますよ! くっ・・うふふ!」
 ふと真顔になったマスターが、ふたたび手でペダルの仕草。
「明日?」
「近場でどう?」
「うん!」

 はじめたのは自転車。たったそれだけのことだった。それだけの変
化が自分を変えてしまっている。その夜、明子は、遅く帰って寝てし
まった夫の寝息を聞きながら、この人はこの人で粗末にはできないと
考えていた。生活の柱。彼と仲良くしていくためにも、この人はこの
人で大切な存在なんだと。
 ずるいと思った。けれども女としての幸せのためには必要なずるさ
なのだと思うのだった。

 女の性花がよそ見で咲いたあの日から、一度だけ夫に求められた
夜がある。そういう夜も浜島との日々のためには必要なのだと考えた。
 でもそれも私の態度がやわらかくなったから? 夫が外でのサイク
リングを認めてくれたとき、明子は、これでよかったんだと自分自身に
言い聞かせた。

 晴れてはいても身を切る風を裂いていく冬場の自転車はキツかった。
環八から世田谷通りへ右折して、そのまままっすぐ多摩川を渡ってし
まい、右に折れて多摩川べりを遡上する。
 河川敷。流れを隔てて中洲があって、橋のかかるそのたもと。冬場
の平日、こんなところに猫一匹いやしない。
 自転車を二台連ねて停めておき、護岸に座って川を見ていた。多摩
川は綺麗になった。冬場のいまは透き通って、どこか田舎にいるよう
だ。

 彼の手が、ごく自然に彼女の肩を抱き寄せた。肩を抱く手が、する
っと背中を滑り降り、サイクルパンツの彼女のお尻を撫でている。
「ねえ」
「うん?」
「泊りがけのツーリング行けそうよ」
「そうか?」
「うん」
「だったら温泉のあるところがいいね」
「そうね、のんびりできるし」

「明子」
「邦雄さん」
 唇が重なった。女の手が、男の股間のふくらみを愛撫した。

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