陵辱官能 鬼祭(三話)

「よし行くぞ!」
「おおう!」

 藪の中に迷いに迷い、ずいぶん走った気がしていた。なのに男たち
の歓声がすぐ後ろに聞こえる気がする。
 背丈ほどの高さの藪は鬱蒼と深く、迷い込むとどっちへ向いて歩い
ているかもわからなくなる。夢中で歩き、一度海に出てしまう。藪が
なくなると鬼から見通せ、すぐまた引き返して藪に踏み込む。
 ここまで来るその間にすでに数カ所トゲにやられた。Tシャツに隠
れない二の腕に浅い引っ掻き傷ができていて血の筋が滲んでいる。
 あの子もこうやって逃げたんだわ。裸にされてそれでも逃げた・・。
 美由起はそんなことを考えた。

 それからまたしばらく経って、ガサガサと藪を分ける音がした。す
ぐそばに鬼が来ている。怖くて震え、身を沈めて赤い藪に隠れていた。
 山刀の先で藪を倒し、踏み込んで身を沈め、倒した幹を立てて塞い
でしまう。鬼の気配が消えていき、それからまた藪に迷う。青い藪か
ら二色の入り混ざった藪に差しかかる頃、歩いてきた青い藪のすぐ背
後にガサガサと気配がした。

 ハッとして振り向くと若い鬼がこちらを見ている。数メートルの距
離だった。若い鬼は・・十代・・いや十四、五歳にしか見えない少年
だ。頭は丸刈り。そしてもちろん素っ裸。その裸の若い鬼が足を速め
て歩み寄り、美由起はたまらない恐怖に襲われた。
「女神様どうか逃げないで、お情けを・・痛いよ・・」
 少年らしい綺麗な肌の胸にも腹にも、腿や尻や、鋭いトゲの傷で血
が滲み、美由起は見ていられない。
「お情けを・・心からお慕いします。どうかお情けを・・」
「いやよ! あっちへお行き!」
 美由起は刀を振って若い鬼を遠ざけた。
「逃げないで!」
「来ないで! あっち行って!」
 若い鬼は、それでも両手をひろげて歩み寄る。美由起は山刀で赤い
藪を切り払い、背後の藪に踏み込んで、その切った茎を刀の先に引っ
かけて若い鬼に投げつけた。
 若い鬼は両手で顔だけとっさに覆い、飛んでくる枝葉のトゲ茎をま
ともに浴びた。素っ裸の若い体をトゲが襲う。
「あうう! 痛いぃ! 痛いよー!」
「ああそんな・・ごめん、ごめんね、お願いだから来ないで」
 赤い藪を切っては進み、切った藪を道筋に重ねておいて道を塞ぐ。

 ガサガサとすぐにまた音がする。三十代の大人の鬼。体中血だらけ
だった。藪に潜む美由起に気づかず通り過ぎた。

 ガサガサと音がする。

 ガサガサと音がする。そこらじゅうで音がする。

 ハッとした。すぐそばに、また別の若い鬼。二十代の青年だった。
そのとき美由起は青い藪の中にいて、刀を振り上げるまでもなく組み
伏せられて、Tシャツを毟り取られて抱き締められた。
「女神様、ああ好きです女神様」
「美由起は暴れ、体の間に刀を差し込み、刀の先で胸を突き、若い鬼
を引き離して蹴り飛ばす。若い鬼は激しく勃起させていて、蹴り飛ば
されて背後の赤い藪に突っ込んで・・。
「うあぁー痛いぃ! んむむーっ!」
「ああ・・ごめんなさい。でも・・ごめんね!」
 若い鬼はトゲの藪に突っ込んで、体を抱いて悶え苦しむ。

 その直後、今度は大人の鬼二人に組み伏せられて、ジーンズまで脱
がされて、真っ赤なブラとパンティだけの姿にされ、それでも刀を振
って鬼どもを遠ざけて・・。
 拒まれれば強制しない、下着だけは奪わない、それが祭の決まりだ
った。その場は一度退くけれど、またすぐに迫ってくる。
 二色の藪に迷い込み、右を見ていて左の尻をトゲに突かれ、飛び上
がって身を翻すと、ブラの背中をトゲに引っかけ・・。
 痛い・・トゲに毒でもあるらしく痛みが普通でないのである。

 太腿を引っ掻いた・・腕を刺され、尻を引っ掻き・・それでもまだ
美由起の傷は少なかった。鬼どもにくらべれば。
 ガサガサと音がする。ガサガサと音がする。
 囲まれた。鬼たち数人に囲まれた気配がする・・。

 青い藪が掻き分けられて、さっきの若い鬼が歩み寄る。十代の子供
の鬼。あのとき投げた赤い藪の鋭いトゲが顔を覆った腕の間から額を
襲ったのか、若い鬼は、額から片目の瞼にかけて血が流れ、泣きそう
な顔をする。

 すぐそばの二色の藪から呻き声を上げながら大人の鬼が現れた。
 背後から若い鬼。またそばから大人の鬼、大人の鬼、大人の鬼。
 数人の鬼どもに囲まれた。囲む輪が絞られる。
 その中の年少の血だらけ鬼が女神に言った。藪を投げつけた少年だ。
「女神様、どうか女神様、願いをきいて、お願いです、痛いよ」
「女神様、逃げないで。苦しいよ」
「女神様、痛いよ、痛いよー」
「お慕いします心より。ですからもう、お許しを。体中が裂けてしま
います」

 年少の血だらけ鬼は泣いていた。痛みとそして願いが届かない悲し
みと・・鬼は誰もが傷だらけ。血だらけで、そうまでして私の情けを
求めてくれる。
 美由起は胸が熱くなり、たまらない母性が衝き上げて、一度は振り
上げた山刀を降ろしたのだった。

「わかったわ・・もういい、海に出ましょう、皆を呼んで。ひどいわ、
血だらけなんだもの」
 若い鬼が泣きながらうなずいた。
「おおい、お許しがでたー、海へ出ろー!」

 島の外周の岩礁帯の間にできた、わずかばかりの砂浜に降りていた。
 下着だけの美由起を囲み、ところが鬼たちは女体を見回し、言うの
だった。
「あっちこっちやられてる、可哀想に・・」
「うん血が出てる・・」
「背中がひどいな、ひどいことをしちゃったよ・・」

 美由起は涙を溜めていた。自分の体を血だらけにした二十二人の鬼
たちが、ただ女神をいたわってくれている。

「私は女神よね」
「ああそうだ、素晴らしい女だよ」
「うん、ならひとつ願いを聞いて」
「言ってみろ」
「最初はこの子、次にこの子・・」
「ああ、いいだろう」
 美由起の言葉に、それぞれ違う鬼たちが答えていた。

 あのとき赤い藪を投げつけた少年。次に、蹴り飛ばして赤い藪に放
り込んだ青年。それからはもう・・美由起はそう思っていた。

 ブラを外す。きらびやかな南の海の煌めきが白い乳房を妖しく見せ
た。パンティに手をかけた・・けれど手が止まってしまう。

「鬼さんたちはしもべよね? 女神様のしもべでしょう?」
「そうだよ。心から女神を慕う者たちだ」
「わかった・・うふふ・・」
 パンティに指を滑らせ、そっと下げて脱いでいく。少し傷はできた
けど・・美由起は美しくやさしい女神となった。
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