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大江戸変態事件帳(序章)

 江戸は深川、路地裏長屋。

 
「おはよーさん」
「あらまー、伊香瀬の旦那じゃござんせんか。今日も今日とて
すかんぴん? あっはっは!」
「うっさいわ、どうにか生きてら」
 てなことを言いながら尻でも揉んでやったりすりゃぁ、女は
みんな大はしゃぎ。

 オイラの名前ぇは、伊香瀬安範(いかせ・やすのり)。
 長屋住まいの素浪人だが、自慢じゃねえけどお人よし。

 
 そんなオイラのお隣りさんに気のいい町娘がやってきた。
 エッチな名前ぇだ、お実(さね)ちゃん。
 花も恥じらう十七で、深川きっての三味線屋の末娘。気立て
はいいのにどういうわけかおっ父相手に喧嘩ばかりで勘当さ
れた。

「おーおー、そうかいそうかい、親元離れてシングルらいふ?
そんじゃまぁ、オイラの仕事を手伝っちゃくれめえか」
 そんなこんなで意気投合。いまじゃ夕餉ぐれえは差し向かい
で喰う仲よ。

 さてと、あるとき。

 どこぞの番頭が訪ねてきやがった。お実ちゃんがフロント係。
「あのう、もし。こちらが逝かせ屋アハン様のお住まいで?」
 おいこらてめえ、ぶった斬るぞ! あっはっはっ!

 そうよ、オイラが巷で噂の逝かせ屋アハン。伊香瀬は逝かせ、
安範を音読みしてみ、アハンじゃねえか。
 親にもらった名前ぇだけにどーにもならねえ。

「ほうほう、廻船問屋のお内儀かい?」

 今宵もまた逝かせてほしい女のもとへと駆けつける。
 性戯の味方よ変態侍、伊香瀬安範。寂しい女を救いに行くぜ。

 今回こりゃまたプロローグ。時代混乱、一見ハチャメチャ、
半パロ半マジ時代劇は次回からということで。 予告編までと。
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