流砂(終話)

ひらひらフレアの裾から手を入れパンストから脱いでゆく・・・パン
ティを脱ごうとしたら・・・。
「それじゃダメだ、こっちへおいで」
小路から白樺の森に分け入った日溜まりだった。木が茂っていて
も幹の細い白樺の森はスカスカなんです。小路からかなり歩いた
はずなのに、目を凝らせば見える距離・・・。
「マゾドールを着替えさせるとき、下着一枚脱ぐにしてもまずは裸
になることだ。どこにいても一度脱いで羞恥を愉しみ、それから着
せていくように」
「はい!」

ご主人様と白樺と、そして姿を隠して啼く鳥たちに見つめられて脱
いでゆく・・・日溜まりの中の白い女は、きっとエロチックに見えたで
しょう。
恥ずかしさに燃えるようだから、森の冷気がすがすがしくて心地よ
かった。
パンティの布地から解放された下腹の翳りがざわざわと風に揺れ
たわ。

支配されることへの悦び。上下の下着を最後に脱いで、くるってそ
の場で一回り、ご主人様に裸のドールを愉しんでいただいて、いい
え、火の出るような恥ずかしさを私自身が愉しんで、それからまた
タンクトップとミニを穿く。
ふと思いついたことがあり、脱いだ下着を私は白樺の木の下に飾
るように捨てたんです。買ったばかりの淡いワインのランジェリー。
でもそれが決心の証にはふさわしい気がしたから・・・。
「なぜ捨てる?」
「マゾドール生誕の森の神様にお誓いしました、二度とパンティは
つけませんと」
「そうか・・・いい心がけだね」

ご主人様に言われるままに数歩先を歩いていたわ。マゾドールの
誕生をお祝いしてか、小路にエッチな風が舞っていた。柔らかなフ
レアが開花を喜ぶ花のようにふわりふわりと開いていた。
初夏の土曜日、人出は海に流れたようで森は静かだったけど、す
れ違う人がいないわけじゃないでしょう・・・。
開きたがるスカートの花を身をくねらせて閉じる仕草も可愛いもの。
どうすればいいのかしら・・・考えながら歩いていた。
「ひらひら尻が見えてるぞ・・・ふふふ」
意地悪なご主人様・・・でもダメ、疼くように感じてしまって・・・。
濡れちゃってる・・・女の性器が悦んでるって思ったわ・・・。

緩やかな登りになった小路の先に大きなログハウスが見えてきた。
お泊まりする山荘なのね。まるでここが、カナダかどこかの異国の
ように、そこだけ森の拓けた日溜まりの中に可愛らしいお家が建っ
ていた。
時刻は三時に少し前。宿に入って荷物を置いて、それからまた山
を歩くとおっしゃられたの。ご主人様は小振りのトラベルバッグを
提げておられた。

お部屋は二階の角部屋で明るいバルコニーが付いていた。ベッド
はツイン。お部屋の中は床まで全部が木の素肌。お部屋に入って
バッグを置いた私にご主人様がおっしゃられたの。「よくやった、ご
褒美だ」って。
スカートの開花を花任せにしておいたご褒美かも・・・ご主人様は
振り向く私に歩み寄られ、すぽんと抱かれた。
嬉しい・・・意のままに従い、可愛がられることの悦びが、お爺ちゃ
んのあの嬉しそうなお顔に重なるの・・・。
「さあ出るぞ。森を裸で歩くんだ」
「はい!」
「うん・・・嬉しそうだな?」
私弾んでいたんです。お爺ちゃんのあの姿がとても純粋なものに
思えてしまって、私もそうなれると思うと嬉しくて嬉しくて・・・。

そしたらご主人様の手の中にピンク色したイチジクが・・・。
「尻を突き出して、自分の指でアナルを開くんだ」
「はい! ぁぁ・・・ご主人様ぁ・・・」


SMのうわべしか見ていなかったと感じたものです。お尻に辛い
辛い液体を注がれて、明るい森を裸で歩く。全裸でいることよりも、
いずれ我慢できなくなるその瞬間への激しい羞恥が裸の私を震
わせました。
歯を食い縛ってこらえても、アナルがひくひく緩みだして歩けなく
なっちゃうの・・・。
「ほらほら立ち止まるな。いやらしく尻振って歩け」
「はい・・・ぁうう・・・」
「まだまだ! 我慢しろ!」
「はい、ご主人様ぁ・・・ぁぁん・・・」
でももう・・・限界だったんです。お尻を締めても、どうしてもダメ・・・。
ゾクゾクして寒気がしだして鳥肌がざわめき立つ肌に脂汗が浮い
てくる。
どうかしてるわ私って・・・感じてる・・・Mな私がよがっているのよ。

泣いてお許しを乞い、白樺の木に両手をついて・・・ご主人様に
お尻を向けて・・・脚を開いて立ったまま・・・。
「考えるな、マゾの悦びに打ち震えろ」
「むううッ! いやぁーッ! 見ないでぇぇーッ!」
頭が白くなったまま、中腰に腰を下げ、蛙みたいながに股でお尻
をもっと突き出して・・・。

SMって、縛りだとか鞭だとか・・・針もあるし・・・知識としてそん
なものだと思っていたけど、ご主人様のスタイルは、羞恥で責め
るタイプなの。
二人きりの密室で何をされてもそれは愛のカタチだけれど、私は
こういう羞恥が苦手・・・いいえ、それは女であれば皆そうだと思う
んですよ。
そしてそんな女の想いなど、ご主人様はもちろん見抜いておられ
てね、私から女のプライドを剥ぎ取ろうとなさっているのかも・・・。

恥ずかし過ぎる排泄を、震えながら、草の上にボタボタとはじめて
しまったとき・・・ああ私が崩れていくと感じたわ・・・乾ききった砂の
心が、愛という潤いに湿らされ、生きる生気を吸い取って泉となっ
て、流れるように砂を崩していくんです・・・。
アソコが熱い・・・濡れている・・・牝の花が歓喜している・・・。

「もういいのか」
「・・・はい」
「ずいぶんたくさん出したものだな」
「はい」
「はらわたの汚れを吐き出したか」
「はい!」

「圭子よ」
「はい?」
「愛されることを待つな。女の愛は受身ではいけない。命じられた
ことをすべてとして、この俺に進んで仕え、俺の愛情のすべてを根
こそぎおまえに向けさせろ。愛さなければいられない、狂おしく可
愛い奴隷になっていけ」
「はい・・・誓って・・・はいご主人様!」

ご褒美がいただけました。お尻を臭く汚したまま、私はご主人様の
足元に這い寄って、ズボンの前から取り出された素敵なペニスの
頭のところに口づけし、舐めて差し上げ、そしてほおばり、奉仕され
て充血していくご主人様を喉の奥までいただいた・・・眉間に寄せた
苦しげな縦ジワも、そのままマゾの悦びの深さの分、深いシワ・・・。

ビクンビクン、ご主人様が脈動し、血のように熱い樹液がお口の中
に撒き散らされた・・・私はそれを大切に舌の上に蓄えて・・・いつ
までもいつまでも味わっていたんです・・・。
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