愛マスク(二話)

デッサンは数時間では終わりません。降って湧いた話でモデルに
なった私は、あの子に時間を合わせてあげて、二度三度と
裸になって一枚のポーズを仕上げていった。
お店のシフトは二週間毎の自己申請。最初のうちは時間合わせに
苦労したのですが、十日を過ぎる頃から、簡単に合わせることが
できるようになっていた。
土日は私にも家があり、平日の二時過ぎから四時頃までがあの子との
時間。脱ぐことへの抵抗も薄らいでいったのです。

そうやって二枚、デッサンを仕上げ、墨絵の私があの子のお部屋に
飾られた・・・上手に描けていると思いましたよ。
絵の中の私は楚々として、自分ではないような美女の香りを放って
いた・・・私ってこんななのだと可笑しくなります・・・修正しすぎ(笑)。

そして三枚目のポーズをつけられ・・・。

「テーマを与えてみようと思うんですよ、ただ描くだけじゃなく」
「あら、どんな?」
「ベッドに四つん這いなんてどうかなぁ・・・熟女が愛を求めるような
姿がいいと・・・きっと素敵・・・」
まさかお尻を向けるのではとドキドキしました。
「こうやって四つん這いになって、お尻を振るような感じで、腕を少し
曲げて、上目遣いに男を誘うような・・・」
ああよかった・・・あの子がしてくれたポーズが、キャンバスに顔を向け
る姿だったから・・・。
それにしても全裸です・・・後ろへ回られたらおかしくなっちゃう。

「そうそう、もっとお尻を上げてみて」
「こう?」
「そうです、そうそう! それで腰を艶めかしく反らして・・・」
「こんな感じ・・・エッチ過ぎない?」
「いいえ、素敵・・・すごく綺麗」
すごく綺麗・・・私って、まだそう見えるのかしらって思ってしまった。

それでも気に入らないらしく、あの子が歩み寄って、カラダに触れて
ポーズを直してくれるのですが・・・その手が・・・。
若くてすべすべした冷たい手が、背中を這い・・・髪の毛を掻き上げ
て・・・顔の向きを少し横に、顎だけ上げて上目遣いに見上げるよう
に私をつくる・・・。
「うん、できた。妖艶な女って感じが素敵っ」
「妖艶ね・・・そうかしら・・・」
「ええすごく・・・男ならむしゃぶりつきたくなる女・・・上品で、でも本質
は淫乱で獣みたいに乱れる女・・・」

私ね・・・生唾が湧いてくるようで、たまらない気持ちで聞いていた。

「いい絵が出来たら出展しますね」
「出展?」
「美大の展覧会があるんです。都内の画廊でやるんですよ。一般の
人たちにももちろん公開するんです」

ああ苦しい・・・全裸で・・・こうして男に秋波をおくる私の姿が、多くの
人に見られてしまう・・・考えただけでカラダが・・・もしもいまこの子に
後ろに回られて・・・ちょっとでも濡れていたりしたらと思うと・・・。
ゾクゾクしちゃう・・・どうかしてる・・・。

そのときでした・・・ポーズをつくって離れるときに、あの子ったら、
背中の真ん中あたりにチュッてキスしていくんです・・・。
サァァーッと産毛が逆立って・・・あやうく声が出そうなの・・・。

でもその日はあまり時間が取れなくて、一時間ほどでポーズをやめた。
あの子の部屋にはシングルベッドが置いてあり、ポーズをやめた私は
その上にぺたりと座り込んで、意味不明のため息をついていた・・・。
そしたらね、あの子がにこにこ笑って寄ってきて、私の両肩に手を添
えて・・・ベッドのそばに立つあの子が私の肩にそっと手を置き、見上
げる私を・・・幸せそうに見下ろしてる。
「お疲れさま! ありがとう!」
「いいえ・・・うふふ・・・」

「ママ・・・」
「え・・・」

「いま描いてて思ったの・・・ママはきっとそうやってパパを誘って、
それで私が出来たんだって・・・愛の行為の結晶なんだって・・・」
あの子ね、また涙を溜めて・・・言うのです・・・。

「ママ」

両手をひろげて掻き抱いて・・・抱き締めてあげたくなります。
ここのところ、この子、お店でも私の言葉には、はいはいってよく従う。
休憩するとき、黙っていてもお茶を運んでくれたりして・・・。
一生懸命なんですね・・・。

そんなことに思いを巡らし、ハタと見ると、あの子の目がまっすぐ私の
乳房を見ている・・・目を開いてまっすぐ見て、焼き付けておこうとするか
のように・・・。
「やさしいおっぱい・・・綺麗だわ」
「・・・」
「哺乳瓶とは違う・・・」
「・・・」
「ママ・・・ママ・・・」
ほんとに子供なんですね・・・寂しそうな丸い目が愛らしく・・・。
この子は十八・・・ウチの娘と四つほどしか違わない・・・あの子だって、
ついしばらく前までは、母の私に抱かれていたわ・・・

私とうとう、両手をひろげてしまったのです。母性が暴れ出していた。

「ママ?」
「おいで、抱いてあげる・・・おいで」
「ああママぁ! ママぁ!」
ジーパンにTシャツ姿のあの子・・・体ごとぶつかるように私の乳房に
飛び込んで・・・お乳のふくらみ、そして谷間に頬をすりつけ、
ぽろぽろ泣いて・・・裸の私に腕を回して甘えてきます・・・可愛いの。
「恵」
「はい! ああ嬉しいぃ! ママぁ!」
可哀想でなりません・・・母親の乳首を知らない恵です。
私はこの子を、いつの間にか名で呼んでた・・・。

ベッドの上に押し倒されてしまいました。小さなほうと思った体も、
上に載ると重くて重くて・・・それにベッドがたわんで、私は自分を
支えられず・・・。
恵の両手が私の乳房をくるみます。そっと慈しむようにつつむのです。
柔らかで熱い少女の唇が・・・怖々と乳首に触れて・・・口に含み・・・。
舌先が乳首を転がし・・・すぼめた口で乳首を吸って、また転がし・・・。
乳房を揉む手に力がこめられ・・・揉みしだかれて、乳首を吸われ・・・。
赤ちゃんのシゲキとは甘さが違う・・・感じちゃう・・・。

「め、恵・・・だめよ・・・ねえ、だめ・・・」
「ママ・・・ありがとうママぁ・・・」
「恵・・・ああ恵・・・いい子よあなた・・・とってもいい子・・・」

乳首を離れた恵の顔が涙でぐしゃぐしゃ・・・そしてその唇が・・・恵の
体が私の裸身を這い上がって・・・唇が唇に重なって・・・。

「めぐ・・・ねぇ・・・うぐぐ・・・」

声をキスで塞がれました。
愛マスク(三話) | Home | 愛マスク(一話)