快感小説

着せたい男と脱ぎたい女(一話)

 断崖を駆け上がる潮風に、まるでブラシで梳かれた
ように松の枝葉が内向きにしなり、奇妙な景色をつく
っていた。ついいましがた風に揺らいだ松葉が静まり、
昼の風と夜の吐息が釣り合った。崖下にかすかな波の
音。空一面の宝石を揺らして映す黒い海も今夜は妙に
凪いでいる。

 初秋。去って行く夏の背を見送るような、やさしい
景色だと亜紀は思った。寂しさは感じなかった。海の
湿りをたっぷり含んだ闇蒸れも心地よく冷やされて、
すがすがしい夜となる予感がする。

 岩礁帯を駆け上がった丘の中に宿がある。ホテルで
もペンションでもない田舎の民宿。じつは道を間違え
た。二叉路を間違え、左に切ったら見つけた宿。運命
というものがあるのなら従ってみようと考えた。
 田舎の料理が美味しかった。あずき色の浴衣にちゃ
んちゃんこを羽織って外に出た。浅い下草を分ける小
路が木陰に忍び込むようにのびていて、少し歩くと海
を見渡す崖に出た。ここまですべてが宿の敷地。崖伝
いにフェンスがしっかり整備され、古いベンチがいく
つか並ぶ。

 夜にも日向と木陰はあって、亜紀は星明かりの注ぐ
日向の側のベンチに座る。
 とそのとき、木陰になった黒いベンチに動く人影。
「綺麗な闇です」
 野太い声だが人影は細身。いまどき顎ほどまでの中
途半端な長さの髪。木陰の闇の中で幽霊そのもの眸だ
けがキラリと輝いた。
 不意をつかれて亜紀は戸惑う。ベンチに座り、なん
となく浴衣の上から乳房に触れたそんなときの男声だ
ったからである。
「そうですね。ええ綺麗だわ。ここにお泊りなんです
よね?」
「二晩目です。道を間違えて左に切ったらここへ出た」

 そうか、あのクルマだ。亜紀は、テニスコートを整
備せずに放置したようなだだっ広い駐車場に一台ぽつ
んと停められたシルバーメタリックのステーションワ
ゴンを思い出す。
「私も道を間違えちゃって」
「うむ。ここへはお独りで?」
 亜紀はうなずくだけで答えなかった。ベンチの影が
立ち上がり、そのときちょっとハッとしたが、男は崖
伝いのフエンスに寄り添って海を見ている。
 背丈はまあ高い方。横顔の隠れる黒い髪。浴衣では
なくジーパン姿。白っぽいシャツなのにちゃんちゃん
こを羽織った妙なスタイル。その雰囲気から少し上だ
と考えた。
「お独りなんですか?」
 訊く意味もなかったのだが、なぜか沈黙が苦しくな
った。問われているのに答えていない。かすかな後ろ
めたさを覚えていたのかもしれなかった。

「高一の娘がいましてね」
「え? あ、ええ?」
「夏休みが終わって出て行きました。全寮制の学校な
ものですから」
「それでお独りで?」
「まあそういうことで」と言いながら男は振り向き、
「ではこれで」と浅く頭を下げて間際を歩み去ろうと
したのだったが、そのときに中途半端に長い髪の意味
がわかった。右側の頬にちょっとひどい火傷の傷があ
って髪で隠していたのである。
 けれどこのとき男と亜紀はそれだけだったし、直感
めいた感情などは微塵もなかった。

 なのに力みが失せていく。思いのほか緊張してしま
ったことが、なぜか馬鹿げて可笑しくなった。
 宿に着いて風呂に入り、食事は民宿なのに部屋食で、
浴衣の下はパンティだけ。ブラをしてないことで勝手
な防御姿勢をとったのかもしれなかった。
 今度こそ闇を探って独りきりを確かめて、浴衣越し
に乳房に触れた。左、右と交互に触れてみたりする。
 それもまた説明できない行ないだった。はじめての
土地に来て、黒い海に解き放たれた女心が無意識に孤
独を遊ぶようでもある。
 性感が高揚していた。しこり勃つ乳首が浴衣にこす
れただけで震えのような甘い波が押し寄せた。

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