快感小説

着せたい男と脱ぎたい女(十六話)

「そうなんだ。運命よね、それ」
 ピザをほおばりながら美香は言う。
 知明の家は古いタイプの2DKで、部屋が二つに
DKなのだがLDKと言えるほどリビングが広くな
い。三人でいると狭い。ダイニングテーブルに揃っ
て座る。
 中学の音楽教師だったことから話がはじまり、そ
もそもの出会いの場面になったとき、美香の方から
それを運命だと言う。中学生を相手にしていていま
の子たちの発想がわからないわけではない。しかし
美香の言う運命には、どうしようもない出会いに憧
れる少女の想いとは異質の響きがあった。
「あたしね、ママにもときどき会ってるの。元気よ
ママ。あたしにそっくり。てか、あたしがそっくり
なんだけど」

 亜紀は問う。
「ママのこと好き?」
 針のムシロとまでは思わなかったが、このとき亜
紀は、きっぱりとした美香の挑戦を感じていた。
「そりゃ好きよ、ママだもん。だけどあのときは同
じ女としてがっかりしちゃった。当たり散らしたパ
パも悪かったんだけど、苦しかったパパの気持ちは
よくわかる。そんなときこそ夫婦でしょ。なのにあ
の人、外に救いを求めてしまった。卑劣より何より
不潔に思えて」
「そう」
「だけどあたしだって大人になってく。ママにはマ
マの気持ちがあるし、パパにもパパの気持ちがある。
同じように、いまではあたしにはあたしの気持ちが
あるんです。パパにもママにも幸せになってほしい
けど、あたしにも幸せはあるでしょう?」
「そうね、そう思うわよ」
「それを訊きたかった。だから会いたいってパパに
言ったの」
「訊きたいって何を?」

 そこで亜紀は、手にしていたピザを置いて、テー
ブル越しの亜紀を鋭く見つめた。
「パパが幸せならいい。とやかく言う権利はないと
思うの。訊きたいのは亜紀さんの気持ちよ。パパと
そうして巡り合って、いまはお店も一緒にやってい
て、でもそのうちにはまたピアノの先生になるんで
しょ。亜紀さんにとってパパとの時間てどんなもの?」
 返答に困る。
「ううん、あのね亜紀さん」
「うん?」
「同じ女として訊きたいのよ。パパといてほんとに
幸せ? 迷いなく生きて行ける?」
「美香、そうはっきりと言うもんじゃ」
 美香はきりりと知明に視線をなげた。
「いいの、パパは黙ってて。女と女の真剣な話なん
だから。あのね亜紀さん」
「は、はい?」

 娘としての正直で懸命な問いかけだった。
「あたしのことなんて想ってくれなくていい。ママ
じゃないんだし永久にママにはなれない。上辺だけ
ママよと言われてもあたしはきっと逆らうわ。だか
らあたしのことなんて気にしないで。もしあたしな
ら、娘から引き裂くつもりでパパを奪うと思うのよ。
好きですとか尊敬してますなんて体裁のいいことは
聞きたくない。あたしを蹴散らしてでもパパを奪う
覚悟はある? 女が本気になったとき娘だってライ
バルよ。そうでしょう? そういうことなんじゃな
い、女を貫くって?」

 亜紀は吸い込まれるように聞いていた。
 知明は、いつの間に女になった我が子の姿に見と
れていた。そして亜紀がどう言うか。知明はただ黙
って女二人を見守った。

 しかし亜紀は嬉しい。本気で牙を剥いてくれてい
る。
「怖かったのよ」
「え?」
「だから怖かったの。知明さんと壊れてしまうこと
じゃなく、あなたに対して冷酷に、いえ残酷になっ
てしまう私自身が怖かったのよ。でもね美香ちゃん、
勘違いしないでね。あなたのパパとそうなれるなら、
あなたが何と言おうと私にとってもあなたは大切な
存在よ。ママではない。そうじゃない。大切にして
いきたい同じ女。愛した人の宝物は私にとっても大
切なものだから。じゃあ私も言うけどいい?」
「うん、いいよ、聞かせて」
「あなたは娘ではありません。私だって母じゃない。
知明さんを想う二人の女。知明さんが好きだから私
たちはうまくいく。それともう一つ、これもきっぱ
り言っておきます。男としての知明さんに必要なの
は娘じゃないの。嬉しくて震えながら抱かれていく
女なんです。嬉しくて嬉しくて、たまらない想いに
震えながら、体を開いてあげる女なんです」

 美香は声を失った。眸を潤ませて見つめてくれる
亜紀の姿に圧倒された。パパに対して女になれるの
は私じゃない。思い知って声をなくした。
「パパ、ちょっといい?」
「それはいいが、どうするつもりだ?」
「二人になりたい。私の部屋で話していい?」
 父親の返事を待たず、美香は亜紀の手を取った。

 ドアを開けると冷えていた。明かりをつける。十
六歳の娘の空間。ぬいぐるみや人形がいくつもあっ
て、小さな頃からの写真が何枚も貼られてあって、
その中に知明と見知らぬ美人、そして小さな美香と
の写真もあった。
 ぬいぐるみや人形のほとんどは、おそらくママが
買ってくれたもの。この部屋に美香は母との時間を
閉じ込めていたようだ。
 部屋を見渡し、「一度だけね」と亜紀は言った。
「え? どういうこと?」
「お部屋に入るのは一度だけ。ねえ美香ちゃん」
「はい?」
「ママとの時間は宝物よ、大切なものだからね」

「ごめん。ごめんなさい」
「美香ちゃん」

 閉ざした扉の内側で、それはつまり美香の心その
ものが詰まった部屋の中で、美香はすーっと流れて
亜紀の胸を求めていた。抱きすがって声もない。泣
いてはいない。辛くあたった自分が苦しいのだと亜
紀は思った。
 抱きすがる美香を二の腕を押して引き剥がし、円
な眸を必死に見つめた亜紀は、そっと唇の触れ合う
キスをした。
 美香は目を丸くする。
「これが私よ。裸にした私の心」
「はい。ごめんなさい、あたしちょっと言い過ぎま
した」
 亜紀は微笑んで抱いてやる。
「とんでもないわ。他人行儀じゃなく接してくれて
ありがとう。嬉しかった。本気だもん美香ちゃんて」

 抱き締めながら夢見るように亜紀は言う。
「怒らないで聞いてね」
「うん。なあに?」
「ホテルに泊まって抱かれたの。はじめて一晩一緒
にすごした」
「うん」
「そのとき私ね」
「うん?」
「恥ずかしいけど濡れて濡れてどうしようもなかっ
たの。何をされても言われても濡れて濡れて、おか
しくなりそうなほど感じてしまってイッてしまった」
「そ、そうなんだ?」
「そう。あのときの私は牝だった。狂うかと思うほ
どよかったわ。体じゃない。心が感じて体が濡れた。
熱い彼が入ってきてね」
「あ、うん?」
「溶けちゃった。何もかもが溶けちゃった。おまえ
は何も背負うな。亜紀らしく。そう言われて私、体
が濡れてべちょべちょだった。牝だったのよ、その
ときの私って。強い牡に巡り合い、クラクラしなが
ら抱かれてた。いやらしい女でしょ。だからね美香
ちゃん」
「はい?」
「私なんてそんなものだと思ってて。淫乱だわよ。
彼に対して四六時中濡らしているような女なんです」

「うん、わかった。パパをお願い」

 そのまま二人は抱き合って、触れ合うキスをかわ
していた。

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