快感小説

蒼い月~ディープランナー(四話)

 由比PAを出ると、ほどなく新東名への清水JCT。そこを
過ぎると清水インター。高速を降りてからは南へ向かい、
左手に清水港を見ながら走り、三保の松原のある三保半島
の付け根あたりで右へと折れて、三保の松原とは逆向きに
少し走る。
 このあたりは日本平続きの丘陵地帯。目指す旅館は緑の
丘がなだらかに下って海へと至る丘の中腹に建っていた。
 旧館は昔ながらの旅館だったが、すぐ隣に三階建ての白
いホテルができている。その三階に美由起の部屋が用意さ
れた。海面との高度差から実質は十五階相当はあると思わ
れ、部屋に入って大きな窓に張り付くと相模湾が一望でき
て圧巻だった。見とれてしまう。
 三保の松原までは歩ける距離ではなく、世界遺産になっ
てからは宿でマイクロバスを用意するようになっていた。
 しかしいま、それはどうでもいいことだ。

 部屋に入った美由起は、シャワーから支度をはじめ、丸
めてザックに詰めたミニスカに着替えると、短すぎたと後
悔した。どうせ部屋着。外に出るとは思っていない。バイ
クの旅はそこが困る。荷物に限りがあるからだ。あの頃に
穿いていた娘のミニスカ。だから短い。
 浴室の鏡の前で念入りに顔を整える。化粧品をはしょら
なくてよかったとこのとき思う。何のための変身なのか。
化粧を終えて部屋に出たとき、綺麗にメイクされたダブル
ベッドが目に飛び込む。時刻はまだ二時を過ぎたあたり。
久びさのバイク。のんびり走り、富士川SAでも富士山に見
とれてぼーっとしていた。それでもまだこの時刻。

 彼のところまで遠くはない。思いのほか近くにいてくれ
たんだと考えた。ベッドに座って遠くの海をぼーっと見て
いて、ふとスカートから露わになる白い腿にキュンとする。
 ベッドが沈むとデルタぎりぎり。エッチを期待する女の
スタイルだわ、と、考えることがどうしてもそっちに向い
てしまうのだった。
 私って飢えてるの?
 懸命に否定しようとしている自分を感じ、それだから余
計に夫とのセックスの浅さを思うのだった。

 宿を出た。夏の太陽が燃えている。砂浜を見渡す丘に立
つと若いサーファーたちが、ほとんど波のない海に困った
ように、ボードに寝そべり泳いでいる。
 砂浜に降りてみる。バイクブーツのほかに靴は持たず、
ローヒールのサンダルをザックに突っ込んできただけ。靴
でない分、砂だらけになっても心地いい。砂が熱い。海の
シーズンはとっくに終わって遊泳禁止になっていたが、そ
れでも若者たちのグループが水着姿。ますます学生だった
あの頃へ戻れたようだ。おーいと声をかけてビキニの乳房
を揺らして走った。結婚へと至るまでに通過した男たちの
姿が浮かぶ。
 海をもっと見ていたい。けれども日陰がまるでなく、日
焼け止めなど持ってるはずもなく、美由起は宿へと引き返
す。彼に会いたい。早く来てくれないかなと、ベッドに寝
そべり本山のことばかりを考えていた。

 うとうとした。冷房が効いていて、ベッドに潜り込んで
しまいたかったが、そんなことをしてしまえばベッドが寝
乱れ、だいたいマジで寝てしまう。しばらくぶりに仕事か
ら切り離された気のゆるみ。私はちょっと疲れていたとあ
らためて気付かされる。
 ハッとした。いつの間にか眠っていた。ベッドのウイン
ザーに組み込まれたデジタル時計が五時過ぎになっている。
二時間ほども眠ってしまった。
 起きようとしても気怠い。ふと気づくとスカートがめく
れ上がってピンクのパンティが丸出し。ドキンとしてスカ
ートを直しながら、彼のいるはずのない部屋を見渡し、溜
息をつく。
 起き出して窓に立つ。斜陽のはじまった海がキラキラ輝
き、空には薄い墨が漂いだして幻想的だ。この時刻で夜が
迫る。真夏ではない。十月がそこまで迫る。

 と、着メロ。
「もうちっとで出るからな」
「うん」
「海いいだろ?」
「綺麗よー、夢みたいな景色」
「おう。後で夜の浜でも歩こうや。それから飯だが部屋で
頼むと連絡しといた。俺もそっちで食うからさ」
「わかった、ありがとう。その方がいいな」
「そりゃそうさ、壁ドン、ぶっチューの後だからな。はっ
はっは!」

 電話が切れた。いよいよ乱れだす呼吸に目眩がしそうな
気分になる。再会してすぐホテルに二人。少し眠ったこと
で微妙に寝跡のついているベッドカバーを引っ張って整え
る。クローゼットの扉についた鏡を覗いて化粧を確かめ、
そしたらかなり崩れていて、洗顔からやり直し。
 うろうろしている。おどおどしている。心が期待に潰さ
れそう。
「ごめんね篤史、あたしダメかも」
 海を見渡し、ぼそりと呟く。そのときドアがノックされ
た。本山食品はここからだと少し市街地に戻ったあたり。
電話からクルマに乗って、ちょうど着く頃合いだ。
 時刻は六時。海の闇は濃くなって見事な半月が浮いてい
る。いまは低く赤い月だが、じきに天に駆け昇り蒼く輝く
横顔になるはずだ。

「はーい」
 ドアを開ける。穿き替えた新しいブルージーンズ、白の
ポロシャツ。そんなことより男の匂い。クラクラする。
「おう、そのミニスカ」
「え?」
「ケツ見せろ」
 くるりと振り向かされて尻をパァンと叩かれた。
「やっぱりな。ケツのポケットにハートマーク。あの頃か
らのヤツだろ?」
「う、うん、そこまで見てた?」

「おい美由起」
「はいっ」

 ぐいぐい迫る。後ずさりしていって壁に背中が触れたと
き、男の左手が壁にドン。生唾。息が乱れ、なのに輝く瞳
に吸い込まれてしまいそうでそらせない。
「な、なに」
「壁ドンだって言ったろ」
 嘘だ。ジョーク。そんなことはわかっていたし笑顔はや
さしい。
 美由起は勝手にクラクラした。膝が震えてカクっと抜け
る。つんのめり、そのままに胸に美由起がドン。
「おいおい、ふふふ、いい女だ」
 肩を抱かれ、強い胸に手を添えて、美由起は目を閉じて
いた。
「好きでした。ずっとずっと好きでした」
 言えた。言うしかなかった。

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