快感小説

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蒼い月~ディープランナー(十三話)

 翌日は驚くほどの好天だった。昨夜のセックスで燃え
尽くし裸で抱き合って眠った一夜。本山とは意味は違う
が美由起にとっては生涯忘れない鮮烈な記憶となった。
 朝といっても九時過ぎだったが、ラブホが用意した軽
い朝を済ませ、ライダースーツを着込んで外に出たとき、
直哉はさよならと言うように美由起の尻をぽんと叩いて
バイクに乗った。上越インターから北陸道に入ると、ほ
どなく上越JCT。バイクの修理もあったし横浜の直哉に
すれば、この先まででは遠回りになりすぎる。
「じゃあね、気をつけて。転んじゃだめよ、生きててち
ょうだい」
 ちょっと笑って手を上げて、二人揃ってスタートする。
横浜にあるというレストランの場所と名だけは聞いてい
た。しかし美由起は自分を告げない。直哉も訊こうとし
なかった。ずっと歳下の彼なのに、なんとさばけて大人
っぽい。骨のある子だと思うと同時に、そんな直哉とつ
ながれた幸せを感じずにはいられなかった。

 高速に乗り、直哉を先に行かせて、手を上げて本線を
逸れて行く後ろ姿を見送った。もう逢うこともないだろ
う。互いにそう思っての別れだった。
 真っ青な空。じりじり焼ける太陽。慌てて買ったマフ
ラーは何だったのか。平日でクルマも少なく爽快なラン
だった。海べりに出て親不知を越えると富山。はじめて
走るルート。しかしトンネルばかりが次々続く。
 東海北陸自動車道、美濃関から逸れ、豊田JCTからそ
の先は東名高速。本山にはすぐにでも逢いたかったが、
と言って急ごうとは思わなかった。二度と来ないかも知
れないルートを楽しもう。心が拓けたようなゆとりがあ
った。

 北陸道を走り、途中一度給油とトイレに立ち寄ったぐ
らいで、気がつけば小矢部砺波JCT。楽しみながらのん
びり走って来たせいか、逆にあっという間に分岐する。
 ここからが東海北陸自動車道。何年も前のことだが、
以前の恋人と一度だけ白川郷へ旅をした。名古屋側から
クルマで来て一泊して引き返す。だから白川郷からこち
らは初体験のルートだった。分岐からしばらくは高い建
物のない田園地帯の対面通行。なだらかに登っている。
 上越インターへ入ったのが十時頃だった気がするが、
時刻は正午を過ぎていた。のんびり。飛ばすつもりもさ
らさらない。

 城端SA。ちょっと休憩。緑の中のオアシスのような場
所。ここを過ぎるといよいよ山で白川郷まで遠くない。
今日は愛知あたりで泊まってもいい。もう一晩、夫と本
山のことを考えたい。昨夜は直哉のことで頭がいっぱい。
 考えだすとヘコんでしまう。直哉とだって燃えるのに、
夫だとどうしてダメなのか。結局またそこへ戻ってしま
うのだった。
 陽だまりのようなベンチのそばにバイクを横付けし、
ヘルメットを脱ぎ、本山に電話してみようと思い立って
ベンチに座り込んだとき、バタバタバタッと腹に響く野
太い音。黒のハーレー。チョッパースタイルのアメリカ
ンビッグバイク。美由起はこのタイプのバイクが苦手だ
った。乗ってる男が怖く思えてしかたがない。
 黒革の上下、黒のアメリカンブーツ。ヘルメットもド
イツ軍の鉄兜のようだった。体つきも、肥ってはいない
が大きい。革ジャンにはステンレスの鋲が目立つ。
 そのモンスターバイクが美由起のバイクから少し離れ
たところへ滑り込む。バタバタバタッ。心臓によくない
響きが一度吠えて静かになった。美由起はベンチを離れ
てトイレに向かう。

 そして出てみると、いま座っていたベンチに大男がど
っかと座り込んでいる。髪の毛は狼みたい。ヒゲもじゃ。
顔が四角で目がいかつい。チビリそうな男なのだが、コ
ンビニでパンを買って食べていて、足下に子猫が一匹ち
ょこんと座り、男に餌をもらっている。
「ほれ、もっと食え。へへへ、可愛いなぁ、おまえ」
 美由起はちょっと可笑しくなった。やさしいじゃん。
それが印象。思い出して電話を取り出しながら隣りのベ
ンチに腰掛けた。
「あ、うん、いま城端(しろはし)ってサービスエリア
からかけてるの。え? そうそう、のんびりよ。考えた
いこともあるし。うん、じゃあ明日また電話するね」

 そして電話を切ろうとしたとき、隣りのベンチで男が
笑って、違う違うと言うようにひらひら手を振っている。
 電話を切ってポケットにしまいながら、美由起はちょ
っと首を傾げた。
「城端(じょうはな)だよ」
「は?」
「城端! しろはしってどこだい? あっはっは!」
 そして男はナンバーを横目にして、さらに言う。
「練馬か。そんじゃしょうがねえな。しろはしって、確
かにそうだが、はじめて聞く名だ、あっはっはっ!」
 笑い転げて子猫が逃げた。美由起は頬が赤くなる。地
名とはそういうもの。案内板のローマ字を読まないから
そうなってしまう。

 ともあれ怖い。アメリカンバイクのムードがダメ。適
当にお愛想を言って切り抜けてバイクをまたぎ、長い髪
をそよがせてヘルメットをかぶる。エンジンスタート。
「おい彼女」
 ヘルメットとエンジン音で聞こえなかった。
 男は立ち上がって手をひらひら。
「おい、おまえだよ!」
「は、はい!」
 ビクンとした。殴られる? でも何で?
 美由起はエンジンを止めた。男は何やら指差して黙っ
ている。
「はい?」
 また指差す。
「ケツのタイヤ」
「あ、えっ?」
 またがったまま体をひねってリアを覗く。リヤタイヤ
が半分潰れてしまっている。スローパンクチャーという
やつで少しずつエアーが抜けていく。まるで気付かず走
ってきた。
「あー、うそーっ、そんなぁ」
「乗る前にチェックしろ、この馬鹿タレ」
「はい、どうもすみませんでした、ありがとうございま
す。でも参ったなー、どうしよう」
 応急のパンク修理剤はバイクの必須アイテムなのだが、
ロングなんて滅多にしない美由起は知らない。

「パンク修理剤は?」
「何ですか、それ?」
「はー? これだよおい。ふふふ、あっはっは! 俺が
持ってる、とにかく降りろや」
 またがったまま呆然として話していた。
 アメリカンバイク独特の革でできたサイドボックスか
らスプレー缶のようなものを取り出して、バイクのメイ
ンスタンドを立てて後輪をフリーにし、刺さっていた細
い釘をニッパーで引っこ抜く。
「ほらな、こいつだ」
「ほんとだ、釘」
「よくあることさ。この程度なら応急修理でしばらく走
れる。どこまで行くつもりだ?」
「豊田ジャンクションを目指してまして、今夜はどっか
でと」
「泊まるのか?」
「はい、そのつもりです」
「スタンドのあるSAなら直せると思うが、まあこのぐら
いなら当分問題ないだろうぜ」
「そうですか、すみません」
「これから気をつけろよ、深夜の山ん中ならアウトだぞ」
「あ、はい!」

 修理の作業をそばにしゃがんで見つめていた。男は三
十代の末。いかつい顔だが目がやさしい。
「あのう、お礼は?」
「あほか、なもんいらん。あっ」
 男は何かを思い出すように口を開けてぽかんとする。
「じゃぁよ、タバコ一箱買ってちょうだい。ケントの1
ミリ」
 半分冗談。にこりと笑う。
「うぷっ、あははは! そんなもんでいいんですか?」
 これには笑えた。言い方が可笑しい。いいヤツらしい
と美由起は思う。

「ケツについて観ててやる、先に行け」

 巨大なハーレーを従えてガソリンスタンドのある、ひる
がの高原SAを目指す。 ハーレーは奈良ナンバー。

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