快感小説

女装画家ミルの女体修復(六話)

 シャワーのあるところまでが黒い空間。ダーク
カーテンで仕切られていたのだったが、シャワー
を出る気配で「こちらへ」という声に導かれ、カ
ーテンを開けると、黒とは正反対の白一色のアト
リエがひろがった。
 古いビルのコンクリート。フロアにも壁にも荒
れが目立ったのだが、白いペンキで綺麗に塗って
ある。窓は嵌め殺しでここにもない。空調が効い
ていてほどよい気流を感じる。黒い部屋よりいく
ぶん広く感じられた。照明はすべて白熱球。蛍光
灯は肌の色を病的に見せるとミルは言う。
 カーテンを入った正面に白い大きなデスクが置
かれ、その背後の壁に十数枚のヌード絵が掛けら
れてあった。Figure(人物)の5号サイズに揃え
られ、縦35センチ横およそ27センチの、それほど
大きくはないもの。
 シャワーから全裸で出た佳菜子は、乳房を抱く
ようにしながら歩み寄り、絵の中の女たちに見と
れていた。

「水彩画なんですね」
「そうです。あまり大きくできないんですよ。絵
の具を溶くとき愛液を混ぜていますからね」
 キュンとする。描かれた一人一人の膣から流れ
た情念が絵に中で生きている。
 ここにある絵はどれもが全裸でどれもに性器が
描かれている。写真ではなく絵も小さいことから、
それほどリアルではなかったが、セックススタイ
ルのポーズがほとんど。人体そのものの彩色は絶
妙に省いてあるのだが性器のところだけは、陰毛
の質感からラビアまでくっきりと描かれてある。
「絵の説明は休憩のときにでもしましょう。二枚
描きます。最初はそこに立って。両手を柔らかく
上に向けて空を見上げ、恵みを求めるようなポー
ズから」

 白いフロアに裸足で立つ。台のようなものはな
い。ポーズを直しながらスタンドライトを動かし
て陰影を調節し、それからミルは五号サイズの画
用紙に向かう。
 一回りほど大きな紙にエンピツでデッサンを起
こし、額に収めるときにはみ出した部分をカット
する。佳菜子も絵は少し描く。風景の水彩画ばか
りだったが、エンピツの走る様子でミルのレベル
がうかがえる。プロだ。紙を走るエンピツの音が
シャープで早い。
「この一枚を差し上げます。飾って眺めてあげれ
ばいい。災いする情念を絵の中に封じてしまうん
です」
 そんなこともできそうな気がしていた。とにか
く不可思議なムードを持つミル。オーラのような
ものを感じてならない。
「色づけは後ほど。数日で仕上げておきますので。
さて、ご覧になってみますか」
 早い。十五分ほど。モデルとしてのポーズを決
めたまま、画板に挟んだ画用紙を向けられる。佳
菜子はドキドキしながら絵を覗いた。

 エンピツの線画であり、ディティールはそれほ
ど精密ではなかったが、やや横顔のライン、乳房
のライン、体のフォルムと、見事な佳菜子がそこ
にいた。手のひらを上に向けて天空に向かって柔
らかく腕を開き、舞い降りてくる恵みを授かるよ
うな女性の姿。神々しいと佳菜子は思う。
「さて、水だけ塗っておきますので動かないで」
 どうやらそこからが秘密のようだ。
 ミルは、仕切りのある水彩用の新しいパレット
に、ちょうど冷蔵庫で氷をつくるように仕切りご
とに少しずつ水を張り、丸い筆に水をつけては、
手のひらに水を塗り、その筆を洗うように仕切り
のマス目に筆を浸け、大きな瓶に満たした水でさ
らに筆を洗い、乳房、乳首、口許や目許と同じよ
うに透き通った水のパーツをこしらえていく。
「乳首には乳首の水というように、体から得た情
念でその部分を描くんです」

 そう言いながら、乳首から採った少量の水に筆
を浸して乳首を描く。しかしそう言われても色の
ない水。画用紙が濡れるだけで変化はない。
「さあ一枚はおしまい。少し休みましょうか」
 三十分もかかっていない。これからが大変な作
業になる。白いローブを羽織ってデスクの前に丸
椅子に座り、壁の絵を見上げていた。
「こうして手元に置く絵の意味はですね」
「あ、はい?」
「つねに僕に性器を見られているということなん
です」
「えっえっ?」
「欲しくてたまらず懸命に見てくれる男がいる。
つまり僕ですがね。そのことが絶対的な自信にな
る。何があろうと一人だけ一心不乱に見ていてく
れる男がいるということが」

 ゾクっとした。だから絵の中の女たちは男を誘
うようなポーズをしている。
「どう? ほしい?」「いい女でしょう?」
 そんな声が聞こえた気がした。
 ミルという人は、憧れているだけで得られない
ものを懸命に見つめている。それこそ男の心その
もの。女がもっとも求めるもの。
 佳菜子は危うく泣きそうだった。

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