快感小説

女装画家ミルの女体修復(八話)

 姉の佳菜子は実家に暮らした。妹の佳代子は職
場から遠くないところに部屋を借りて住んでいる。
距離はそれほど遠くなかった。
 その夜の佳代子は仕事からまっすぐ実家に向か
う。明日は土曜日。絵ができた。ミルのアトリエ
へ取りに行くから一緒に行こう。佳代子はもちろ
んあれから電話で話していたが姉は明らかに何か
が違うと感じていた。声に力がある。話すことと
いったらミルのことばかり。
 あの日きっと何かがあった。女を描き直すとい
うだけでない何か。姉の変化は恋だと感じた。
 その夜は実家に佳菜子だけ。両親は健在で明日
からの週末を近場の温泉で過ごすということで夕
方にはクルマで出ていた。
「カヨも描いてもらえば?」
「いいわよそこまでしなくても。ねえカナ、ミル
さんと何かあったんでしょ?」
「別に」
「ほんとかなぁ。もうラブラブって感じなんだけ
ど」

 ポーズしながらも佳菜子の面色がひとりでに崩
れていく。
「で、どうなの? 変われた気がする?」
「まだよくわかんないけど楽になれた気がするわ。
嫌な夢も見なくなったし、小さな子を見かけても
可愛いなって素直に思うだけでヘンに考えなくな
れてるみたい」
「恋したい?」
「したいしたい。リセットだわよ。とにかく進め、
それで壊れかけたらいつでも来いって言ってくれ
るの。元通りの私に描き直してあげるからって」
「好きなんでしょミルさんのこと?」

 くしゃーっと崩れるように笑う姉を見ていて、
妹はあの頃と変わってないと可笑しくなった。ポ
ーズしようとする。けれど嘘のつけない人だから
嬉しさが顔を崩していく。
 どっちにしてもよかったと妹は思う。
「はぁぁぁ」と佳菜子は気の抜けた溜息をつく。
想う人がいて想いすぎて疲れたような気怠い溜息。
「三十二ですって」
「ほ?」
「独身」
「ん?」
「男らしい女の人」
「ふふふ」
「何よ、その眸?」
「だって、恋する乙女そのまんま。わかりやすく
ていいけどさー」
「そう言うあんたはどうなのよ? 彼とはおしま
い?」
「おしまい。思い出しもしないし、何だったのっ
て感じがしちゃう。あたしの場合は対象が目の前
にいたから効果絶大。ミルさんて超能力とかある
んじゃない」

「真心よ」
「え」

「心が澄み渡っている。人が好きで好きで、絵を
描くことで救えることがあるのなら誠心誠意。あ
なたには僕がいるって、きっぱり言われた。つね
にアソコを見つめてるって」
 その話は嫌というほどか聞かされていた佳代子
だった。修復を受けた女たちの絵が飾ってあり、
ミルはそれを見つめている。世の中に一人だけ、
恋い焦がれて性器を見つめてくれる人がいる。そ
う思うことが自信につながる。姉に言われ、それ
はそうかも知れないと考えた。
 スカートがちょっとはためくだけでドキっとす
るのに、下着を脱いで脚を開き、濡れる性器を見
つめられる。そんな記憶が一人の男を忘れられな
い存在に変えていき、愛された自分に胸を張って
生きていける。

 このとき佳代子は、モト彼の記憶を消してしま
ったことにかすかな後悔を感じていた。別れると
きの苦しさだって後になれば愛の記憶。あのとき
ミルは「それでいいのか」と問い返した。愛の記
憶がひとつ消えた。付き合ってきた時間が抜け落
ちたようなものだった。
 新しい恋は順調だった。想いが相手に絡みつき、
それはちょうど花を咲かせる草のツルが巻き付く
ように女としての存在を育てていって、いつかき
っと花が咲き、恋から愛へとやさしい気持ちにな
れていく。
 しかしだからといってそれまでの恋や愛は無駄
にはならない。佳代子はちょっと寂しい気がした。

 ミルのアトリエ。二人で訪ね、佳代子は奥の部
屋にはじめて入った。あられもないヌード絵が何
人も飾ってあって、女たちはミルを誘うよう性器
を開く。女の根源がここにあると感じていた。
「さあ、まずはこちらから」
「あぁぁ、はぁぁ、これが私?」
 ミルは微笑んでうなずいた。今日のミルは黒の
ミニスカ、パープルのブラウスとパープルのブラ。
ボブっぽいデザインヘヤーもブラウンアッシュに
染められていた。光の具合で青く見えるキャッツ
アイが神々しいほど美しい。

 這った佳菜子は絵の中で女豹だった。少し脚を
開いて尻を上げ、魅力のすべてを見せつけておき
ながら、振り向いて、欲しければ奪ってごらんと
挑むような面色で笑う。
 姉の頬が真っ赤になってる。妹は姉の性的な高
まりを感じていた。
「これはここに飾っておきます」
「はい。でも、嫌ぁぁ恥ずかしいわ」
 性の面色。いますぐシテ。どうにでもしてと姉
の顔に書いてある。妹だって穏やかではいられな
い。不思議な性欲が衝き上げてゾワゾワ嫌な寒気
がする。

「そして、こちらは差し上げます」
 額に入れられた水彩画。もう一枚は、青い闇を
背景に両手をひろげて立つ裸女だ。
 天空から七色の光の滲みが降り注ぎ、うっすら
透き通った白い胎児が天より授かり、降りてくる。
「ああぁーっ、あああーっ、ああ凄いーっ」
 佳菜子に涙があふれていた。絵を見つめ佳菜子
は身震いさせて泣いている。感動が佳代子に伝わ
り佳代子もまた目頭を押さえていた。
「あなたの赤ちゃんです。絵の中であなたは母だ。
揺るがない母と子の愛の絵です。失った命ではあ
りませんよ。永久に母と子は存在する。こうして
子がいる限り、母たるあなたは二度と馬鹿な真似
はできないはずだ」
 声を上げて泣き崩れる姉と、その姉をやさしく
見守るミルの姿が佳代子の心に焼きついた。

 佳菜子は絵を一度胸に抱いてデスクにそっと静
かに置くと、泣き顔をミルに向けて両手をひろげ、
自分よりもずっと小柄で華奢なミルを抱き締めて
いく。
 そしてそのとき、佳代子はミルの心を見たのだ
った。
 可愛いミルは愛に抱かれる女性そのもの。抱く
力にしなやかに身をゆだね、目を閉じてキスを待
つ。佳代子は信じられない思いがした。

 目を閉じて、わずかに顔を上げ、そしてそんな
ミルの姿を姉はたまらないものを抱くように心の
視線で見つめていて、唇を重ねていく。
 そんな佳菜子にミルは、まさに女がするように
下から両手で抱きすがり、女が愛に溶けるときの
姿となって甘い息を漏らしている。
 体から力が抜けて佳菜子にすべてを委ねている。
 姉の手がそっと降りてスカートの前にかぶさっ
た。それでもミルは拒まずに震えるように抱かれ
ている。

 佳代子の頬に川のような涙が伝った。

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