快感小説

新・如月夜叉(八話)

八話~新しい夜具


 その頃、中の部屋を空けた六畳で、少し間を空けて敷いた布団に女二人が横になり、しばし声のない時を過ごしていた。
 今宵は風もなく静か。月を隠した斑雲が流れたようで、その流れに合わせるように青白い月光が部屋の造りを浮き立たせる。忍び屋敷。柱が太くがっしりしている。

「下を見てきたが・・」 と、江角が言った。
 嵐は静かに目を開けた。
「地下牢がある」
 と、嵐が言う。
「責め場もね・・」 と江角は言い、哀しげに笑ってそれから言った。
「この館は古くない。男の匂いがする。夜具も新しく、あたしらのために用意されたもの。武具も着物もすべてがね」
「うむ・・だろうね」
「これからの江戸への備えとして造られた忍びの館をあたしらのために差し出した。今度の役目にはよほどの御仁が動いている。あるいは身内の中に不穏があるなら下手に配下は動かせない」
 嵐は横寝になって江角を見た。
 江角は上を向いて薄闇の虚空を見つめている。横顔が美しい。

 嵐が応じた。
「そういうこともないとは言えない。敵は敵とは限らない。身内であれば察していても手が出せない。あたしら一人に千両なんて大き過ぎるよ。あたしもそれは考えた」
「気になるのは彪牙のことさ」
 そう言いながら、江角もまた横を向いて嵐を見つめた。
「出来過ぎてると思わないか。人の少ないあんなところに、なぜ彪牙がと考えると・・あやつとは同門だが、二年ほど前に別れてより行き方知れず」
「そうなのか?」
「あたしは伊賀上野の出だが、ほんの童の頃に、ゆえあって遠江の武家の家に預けられた。かつてあたしの父とつながりのあったお方でね。その頃まさに乱世だろ。我が子をくノ一にしたくないということさ。あたしには兄が二人いて働き手には困らない。末の娘はなかったことにしておこう。母者はあたしに女の道を歩ませたかった。後で知った話だが、彪牙は、あたしの兄たちが鍛えた男。それであたしによくしてくれた」
「・・なるほど。けど、そんなそなたが何故忍びに戻ったんだい?」
「話しておきたかったのはそこだよ。今度の役目にかかわりがあるとは言えないが・・」

 嵐は夜具をずれて江角の布団にくるまった。身の上話になる。辛いことも話さなければならないだろう。嵐はそっと江角を抱いた。
 江角もちょっと抱き返し、嵐のやさしさを受け取って言う。
「あたしの一門は豊臣方に仕えていた。一門と言っても伊賀は大きい。同じ豊臣方というだけで武将それぞれ、一門皆が通じているわけじゃない。あたしの一派は寧々(ねね)様の息がかりで、後の秀秋様に仕えていた」
「・・小早川」
「そうだ。けど古いことは、あたしにとっちゃ知らないことでね。あたしが忍びとなったのは関ヶ原の後のこと。小早川家はもとより豊臣方で、その縁で秀秋様を迎え入れた。我が子可愛さゆえの秀吉めの思惑だよ。ところが関ヶ原で寝返った。小早川は乱れに乱れた。旧来の家臣は豊臣方であり、秀秋様の側近たちは徳川方と思い込む。そこで寧々様は、秀秋様のおそばで見張る者が欲しかった。忍びではいけない。旧来の小早川家にも忍びはいて、忍び同士が睨み合うこととなるだろう」
「それで江角が?」
「そういうことだ。あたしの育ての父は、かつては前田利家様に仕えた者で豊臣方。若き日の寧々様もよくご存じの武士だった。あたしなど、とっくに伊賀から消えた身で、武家の作法も心得て薙刀も使える。おそば付きの腰元とするにはちょうどいいということでお呼びがかかった。彪牙とはそこで出会った。兄たちはもちろんあたしを覚えていて、彪牙め、守ってやってほしいと言われていたようだ。関ヶ原以降、小早川の家は危うかった」

 静かに江角の背中を撫でつけながら、嵐は言う。
「誰が敵で味方やら・・」
「ふふふ、まさに。枕を高く寝られない。けどまあ、関ヶ原での働きで小早川は岡山藩五十五万石の大大名。不平を持ちつつどうにか平穏は保たれていた。寝返えらなければ滅びていたやも知れぬでね。ところが・・」
「・・改易か」
「うむ」
 小早川秀秋は、関ヶ原のわずか二年後の慶長七年(1602年)、二十一歳の若さで変死している。子はなかった。徳川の世となって世継ぎなくば改易(お家取りつぶし)と定められたが、その適用第一号が小早川家であったのだ。

 小早川秀秋は、豊臣秀吉の正室、寧々の甥であり、豊臣家の継承権を持っていた。関白まで上り詰め、いっとき豊臣の家督を継いだ秀次は兄同然で、後に秀吉に嫡子秀頼が産まれたことで葬り去られた経緯を見ている。
 養子として小早川家に迎えられたことで生きながらえた秀秋だった。

 嵐に抱かれながら江角は言った。
「ほれ見よさ。旧来の家臣たちはおさまらない。秀秋など入れたばかりに豊臣を裏切ることとなり、いままたお家は取りつぶし。路頭に迷うか、さもなくば徳川の都合で方々の家中に組み入れられることとなる。豊臣に戻る者、徳川に平伏す者、どちらもイヤだと出奔する者。その中で忍びどもももつれ合った。改易となってあたしは去った。腰元の中でもあたしは寧々様の息がかり。もっともおそば近くにいたからね。それでなくともあたしらは内情を知りすぎた。喋られては困ることを知っている。豊臣は死んではいないということさ」
「それがあの刺客ども?」
「そうだ。中の二人が顔見知り。お城の警護の者どもだった」

 あのときの年増侍二人がそうだろうと嵐は思った。居場所が見張られていたか、街道筋を見張っていたのか・・忍びは蛇のようにつきまとう。
「逃げようとして囲まれちまった。得体の知れない男や女・・痺れ毒の吹き矢をくらった。捕らえられて裸にされようとしたときに・・彪牙・・あやつに救われた。けどその彪牙が、なぜいまになって現れるのか? あやつとはそのとき限りで、あやつはあやつで生きる道を探すと言っていた。あやつももはや伊賀ではないはず」

 嵐はぽんぽんと背を叩いて微笑んだ。
「・・うん、よく言ってくれた、もういいよ。それを思ったところでどうにもならない。ただの通りすがりではなかっただろうが、今度のことにかかわりがあるのならいずれ知れる。あたしらの敵は『おしろい般若』さ」
「その黒幕だよ気になるのは。彪牙は誰の命で動いているのか・・」
「ねえ江角」
「うむ?」
「今夜はもういい、寝よう。抱いて姉様・・」
 嵐は寝間着の帯を解き、江角の帯も解いてやって、白い肌に抱かれていった。あたたかい乳房に甘える嵐。つつましやかな乳首をそっと口に含む。
 江角はちょっと笑うと嵐の頭を掻き抱き、言った。

「惚れた男は?」

 嵐は乳首を含みながらわずかに首を横に振った。
「小娘の頃に一人・・若いお侍様でね・・身分が違うよ」
「・・すまぬ」
「ふふふ、いまさらもう・・忘れたことさ。合戦で討ち死にしたと聞いた」
 江角は布団をめくり、嵐の裸身を上向きに横たえると、恥じらうように乳先を尖らせる嵐の裸身に唇を這わせていく。大きくはないが形のいい乳房を揉み上げながら、腹へ、その下の黒い翳りへ、口づけを這わせていく。
 江角が言った。
「あたしは・・ふふふ、縁談が壊れちまった。話があって顔を見る前に相手が逝った。武士は嫌いだ・・身勝手に死んじまう・・」
 口づけが翳りの中の女の谷へと降りていく。
「ぁ・・江角・・ぁぁ・・」
 嵐は膝を立てて腿を割った・・。

 中の部屋を空けた八畳で、男のように逞しいお涼の裸身が震えていた。
 手を出したのはお雪だった。邪念のない性の戯れ。お雪は哀しい女心を振り払うように、心からのやさしさをお涼に向けた。
「はぁぁ・・雪・・あっ・・」
「しっ、静かに・・聞かれちまうよ。ふふふ・・ほうら濡れる・・こんなに濡れる」
 闇の中、裸の女三人で抱き合っていて、ふいにお涼が言ったのがはじまりだった。「濡れてこその女人・・お雪はいいね、愛らしい」・・と。
 素手の格闘でも強い大柄なくノ一。けれど体の大きさは見た目だけ。男どもが臆して近寄らないことがお涼は哀しい。
 お雪の指が女陰を捉えた。お涼は涙をためて腿を開き、お雪の心を受け取った。押し寄せてくる波の中でお涼は、お雪それに戸惑っていたお菊の女陰に手をやった。

 濡れていた。くノ一三人の女陰は泣くように濡れていた。

 お涼はお雪と抱き合って、次には二人がかりでお菊を愛した。乳房を舐め合い、あふれる蜜さえ舐め合って、お菊が最初に達していった。
「嬉しい・・生きる道が見えてきた・・はぁぁ・・涼・・雪・・はぁぁ・・」
 いかにも気が強うそうなお菊の頬に涙が伝った。甘く震えて動かなくなっていく。お涼もお雪も、そんなお菊を左右から抱き締めて、互いの女陰を慰め合った。
「あたしは恨んだ・・愛らしく産まれたことを恨んだよ」
 お涼は黙ってただうなずいて、濡れるお雪の中へと指先を沈めていった。

 その頃また六畳で。
 静かに深く達し合った白い裸身が絡んでいた。
 江角が言った。
「いまごろ向こうは・・」
「向こう?」
「八畳」
「ああ・・ふふふ、さあね・・」
 微笑んで抱き合って、互いの濡れる女陰に手をやりながら、嵐も江角も目を閉じた。

ピックアップ!


ウェブマスターはこちら リアル素人CLUB-XXX リアル素人CLUB-XXX

ここはハード性小説

SM~FEMDOM、レズと
官能小説らしい物語を集めてく。
新刊案内

レズ官能小説の二編集
自虐オナニー~レズ
●指だけじゃ飽きたらなくて
レズSM(露出)
●同名小説


好評シリーズ、発売開始!
官能ホラー
闇刈いわく堂シリーズ特別編
『白湯鬼さん』


~飾られる女たち~
インテリアドール紫織編
若く美しい性人形の日々へ


~飾られる女たち~
インテリアドール芙美子編
しっとり落ち着いた大人のSM

登録サイト





スペシャルリンク















ブロとも一覧

SM~猟奇の性書~官能

~ 艶 月 ~   
テキストリンク
アクセスランキング
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる