快感小説

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新・如月夜叉(九話)

九話~哀しい寝言


「ああ寂しや・・瀬田様・・憎らしや・・」

 闇の中で目が開いた。五人のくノ一を集め、この日を境に法衣と訣別すると誓ったとたん、百合花の中の女の情念は燃え上がる。
 甘味処 香風の奥の間に独りきり。明かり障子越しに星明かりの忍び込む青い闇の底で寝間着に手を入れ、まさぐった。
 ねちゃ・・濡れている。
 少しでも瀬田を想うと熟れた体が牝となって情を求める。
 五人のくノ一・・とりわけ可愛い妹同然の嵐までを戦いの中に送り出そうとしていることに胸が痛み、押しつぶされそうに苦しくなって、だから瀬田に甘えたくてたまらない。
 くちゅちゅ・・指先が熱を持って濡れそぼる女の中へと入っていく。
「ぁぁん、欲しい・・はぁぁ欲しい・・わたくしはどうしようもない女です・・」
 浅く達しながら涙が伝った。

「ぅぅ・・むうう・・むぅうう!」
 涼風・・お涼の苦しげな呻きにお雪は目を開けた。真夜中だった。可哀想に眠りの中で鬼となっているのだろう。私もそう・・幾度夢で斬られて死んだか。
「ちくしょう・・殺せ・・」
 涙が出そうだった。お雪は布団をめくって起き抜けて、そのままお涼の横へと滑り込む。そこはくノ一、気配には本能が反応する。
「姉様・・うなされてた」
「・・嫌な夢をね。あたしは以前・・」
「うん?」
「これでも惚れた男がいたけれど、敵に囲まれたあたしを守ろうとして斬り殺されて・・その頃のあたしは未熟だった。挑んでも敵が強くて勝てなくて、捕らえられたがあたしは小娘・・裸にされて嬲られたのさ・・」
「うん、もういい・・もういいよ」
 お雪は帯を解いて寝間着をはだけ、お涼の寝間着もはだけてやって、自分の乳房に引き寄せて抱き締めた。耐えに耐えていたものが崩れ、お涼は泣いて抱かれていた。
 お涼二十九歳、お雪二十六歳。三つも下の母の乳房で泣くように涙が止まらない。お雪は、静かに泣くお涼をやわらかな乳房に受け止めて、背を撫でてやりながら、乳首を口許に近づけた。
 そんなお雪のやさしさに、体の大きなお涼の心は崩れていた。

 眠ると朝がやってくる。あたりまえのことなのだが、それもくノ一にとっては、安堵であり新たな苦のはじまりでもある。
 お菊は、そんな二人の様子をもちろん察しながら、一人背を向け、唇を噛んでいた。泣くもんか。あたしは強い。泣くもんか。唇を固く結んで畳の目を見つめていた。

 外が白む。
 嵐は素裸のまま素裸の江角を抱いていた。嵐が三十歳、江角は二つ上。
 なのにこちらでも年上の江角が嵐の乳房に隠れたがるよう顔を埋めて眠っていた。嵐はそっと江角の垂髪を撫でつけて、抱き寄せて、そのとき気配で江角が薄く目を開けた。
「・・朝か?」
「まだいいよ、もう少し」
 それから嵐は乳首をそっと差し出して、しかし江角は首を振って微笑んだ。
「懐かしい・・母者がよくこうして抱いてくれたさ・・母者を想ってあたしが泣くと、もう一人の母者が抱いてくれたんだ。乳を見せて吸えと言った・・」
 この江角もやさしい女。しなやかな女心を軋ませて、やさしみを振り切って、自分は忍びだと言い聞かせる。そして夜ごと静かに泣く。それがくノ一。

 哀しいぬくもりを抱き締めて嵐が言った。
「あたしはまだ幸せだった・・一族の頭の娘。母者は強い。強い母者の背を見て育った。あたしをこうして抱いてくれたのは姉様だったさ」
「百合花様か?」
「そう姉様。あたしとは十違う。姉様は女、あたしは童。母者は厳しい人だった。長(おさ)の娘たるもの凛としろと言われ続けた。来る日も来る日も剣の稽古で痣だらけ。そんなあたしに姉様は乳首を差し出し、泣いていいと言ってくれた」「やさしい姉様だ・・。けど、そんな百合花様がどうして離れた?」
 嵐は江角をさらに抱き締め、肩越しに言うのだった。
「十年ほど前のこと。あたしらの里が襲われることがあった。忍びじゃない、敵は山賊だったんだ。食い詰めた浪人どもさ」
「浪人・・」
「深い深い山の中、我らは隠れ住んでいたからね。敵は二十人はいただろう。こちらはひと所に数人ずつが分かれていた。総勢四十ほどの一族だったが、頭も母者もそのときは留守だった。男が二人、女が五人。それで敵はあなどった」
「相手にならなかったろ?」
「それはね。蹴散らしてやったさ。けれどそのとき姉様は敵の童を斬ってしまった。十二、三のほんの童を。敵は剣を持ってはいたが、あたしにもっと度量があれば殺さずにすんだはずと姉様は苦しんだ。それでそのとき、あたしらの山の麓には寺があって、姉様は出家したいと言い出した。・・それがはじまり」
「それで江戸へ?」
「その寺は名のある尼寺で修行のために方々の尼たちも出入りしていた。そのお一人を姉様が慕ってね、ついて行ったというわけさ。しばらくして文が来て、江戸に落ち着いたということだった。それきり姉様と会えなくなった。いかにも遠い」

「寂しかったね」・・と、今度は江角が寝直して、嵐を乳房に抱き締めた。
「けど、それでよかったんだ・・よかったのさ」
 嵐はちょっと笑って目を見合わせ、そっと目を閉じ、江角の乳首を口に含んだ。


 時刻が朝の五つを過ぎた頃(七時頃)、お燕が朝餉を持って弾むようにやってきた。握り飯と魚の干物を焼いたもの。自分の分も持ち込んで一緒に食べたがっている。囲炉裏端に女が六人。
 江角が訊いた。
「ときに源さんは?」
「もうお店へ。仕込みなんかがありますから。じきに庵主・・じゃなくて百合花様がお見えになられると思いますよ」
 そのときには、くノ一五人、それぞれに美しい小袖を着込んで髪も整え、さながら花園のような雰囲気となっていた。これが女たちの素顔。名うてのくノ一たちの素顔を知って、お燕もほっとしたようだった。
 お燕は言う。
「姉様方にお話があるそうです。それから一緒に買い出しに行きましょうね。すぐ近くに市が立つんです」
 若い女たちが増えてお燕は嬉しくてならないようだ。
 一人だけ一回りも歳の違うお燕を囲んで朝を済ませ、お燕は一度香風に戻って源兵衛を手伝う仕事があった。
 お燕がいなくなってすぐ、頃合いを計ったように百合花が屋敷を覗きに来た。

 その姿を一目見て、皆は息をのんで見とれてしまう。

 日本髪を結えるほど長くはない髪は、短な垂髪(垂髪=おかっぱ)でそのままだったが、淡い赤紫地に青墨で描かれた山水の柄が胸元と裾にある、それは美しい小袖姿。唇に薄く紅までさしていて、とても尼僧であったとは思えない。 うっとりするほど美しい。
 人が五十代で死んでいく時代にあって百合花は四十にもなる歳だったが、こうして見ると瑞々しく、熟れた色香が蒸れるようだ。
 しかし皆がそうして見とれる間にも、百合花は、白狐、女郎花、涼風の様子が微妙に変わっていることに気づいていた。その眸から険しさが失せている。何があったのかは知らないが、嵐や江角という格上の女たちの人柄だろうと考えた。

「綺麗・・」
 女郎花・・お雪が思わず憧れるように言い、百合花がちょっと微笑んだ。
「うふふ、狂い咲きよね、いつまで女でいられるか・・どう? 似合う?」
 江角がうなずき、目を細めて言った。
「お聞きました、好いたお方がおいでとか。女は永久(とこしえ)に女のまま。憧れてしまいます」
「嫌だわ、お燕でしょ? 余計なことばかり・・ふふふ。でもそうね、人を愛しむことは女の命。わたくしなど尼僧を捨てての色狂い、死せば地獄ですけどね」
 けれども、それからの百合花は真顔になって皆に言った。
「敵のことを伝えておくから皆お座り」
 板の間の広間に座布団を並べて座る。
 そのとき嵐も江角も、このお方は命を賭けたと感じていた。これからの如月夜叉に命を捧げ、女であることを誇ろうとした。散る覚悟の裏返し。

 百合花は皆を見渡した。
「昨年あたりから、これで四件。最初とその次が続けて廻船問屋(かいせんどんや=船商人や船宿)の娘さん、それから上方の物を扱う小間物商(雑貨商)の若いお内儀、そして先だっての呉服問屋の若いお内儀と、まるで同じやり口で殺されているんです。盗人ではないからお店(たな)を襲うわけではなく、出かけたところを待ち伏せて責め殺す。そして骸を酷くも晒して『おしろい般若』などと書き置きを残していく。御公儀としてももちろん探索はしておりますが一向に進まない。けれど足がかりがないわけではないんです」
「それはどういった?」
 嵐が訊き、百合花はまた皆を見渡す。敵への怒りが潜むようなピンとした緊張を孕んでいた。

 百合花は言った。
「先の廻船問屋は二軒とも大阪より江戸へと手をひろげた商家です。次の小間物商は京よりで、京のお店から人手を送り込んで江戸で一旗と思ったところを狙われた。先だっての呉服問屋は尾張よりのお店です。このように西方から江戸へと手をひろげようとしたところを狙われている。江戸は怖いところだぞと脅しているわけですね」
「なるほど・・徳川の世となって江戸へと要が移ったことで、足下がすたれては困るということでしょうか」
 嵐の言葉に百合花はうなずく。
「こぞって出て行かれては、商人だけではなく向こうの諸公も困ります。ですけどそこが足がかり。西方から手をのばす商家を見張ればよい。ですがそう言うと皆はこう思うでしょうね、それがわかっていてなぜ御公儀は動かないのかと」
 
 チラと目を流した百合花の素振りに江角もまたうなずいた。
「表立っては動けないのです。関が原からわずか三年なのですよ。尾張から西方には、まだまだ豊臣方がくすぶっている。武家だけではなく商家もそうですし人心もまたしかり。さらにはまた徳川方の仕業ということも充分あり得る」
「内輪もめ?」
 お雪が問い、百合花がちょっと苦笑した。
「関ヶ原の功労への処遇に不満を持つ者もいるでしょうし・・といったように考えようはいくらでもあるのです。家康様は、信長の楽市楽座で岐阜がいかに潤ったかを見てきておられる。江戸への人や産物の流れ込みは歓迎。そしてそれに抗う者は除きたい。ですがそれをいま公儀のご威光でやってしまえば敵の思うツボということもあるからです」
「逆は考えられませんか? 江戸の側が上方を排除しようとしているとは?」
 嵐の問いに百合花は少し首を振った。
「ないとは言い切れませんが薄いでしょうね。西方は栄えに栄え、江戸はこれから。交易が盛んとなれば江戸は潤い、商家も潤う。よしんばよく思わない者がいたとしても殺し方が酷すぎます。明らかに見せしめですから」
「・・それは確かに」

 嵐が応じて、百合花は嵐へ目をなげた。
「でもね嵐、それから皆もよ」
「はい?」
「わたくしにとって、そのようなことはどうでもよろしい。そなたらを御公儀の手先にするつもりもありません。罪もない女を殺す鬼畜どもが許せない。その惨い殺し方が許せない。裸にした娘に対してあそこまでの非道ができるのは同じ女をおいてないでしょう。これは女と女の戦いなのです。女の幸せは女が守る。これからもそうですよ、女の敵に対してのみ如月夜叉は怒るのです。おそらく敵も手練れのくノ一かと思われますが、であればなおのこと、ご公儀の殿方では太刀打ちできない」 
 百合花の言葉に皆は胸を熱くした。女の幸せは女が守る。政略の都合で人生を壊されてきた女忍にとっては心に響く言葉であった。

「さて、伝えることはそれだけですが、西方より出向いた商家などはもちろん調べてありますからね。目を光らせておいて欲しいのですが、くれぐれも慎重に、独りでは動かないこと。相手をまず見切り、動くのはそれからです。ほぼ一年の間に四件ということは三月に一度。それは人々の心が手が緩むから。つい先だってあったばかりで、今度こそ役人たちも目の色を変えている。ほとぼりの冷めるまではないと思っていいでしょう。皆はまず江戸の街を知ることです」
 百合花は座を離れようとした。
「では、わたくしはこれで。ほどなくお燕が来ると思うわ。あの子ったら、ついさっきも言われましたよ、皆と一緒に暮らしていいでしょうと。あの子なりに悪は許せないと思っていますからね。それについては皆が許すなら・・と言ってあります。あの子も寂しいのですよ、考えてあげてちょうだいね」

 百合花というまさしく大輪の花が去って行き、忍び屋敷に静かな色香が残るようだ。
 お燕が転がり込んで来る・・あのとき嵐が言ったようになると、皆はちょっと可笑しかった。
 意味深な真顔で嵐が言う。
「部屋のこと。誰が誰とと決めるのはやめようね。この一夜、抱き合いたい者もいる・・ふふふ」
 
 お涼、お菊、お雪の三人はバツが悪そうに顔を見合わせた。
 朝になってその三人の様子が違うことなど、嵐も江角もとっくに見切っていたことだ。
「そこにお燕が加わるわけだね・・ひっひっひ」
 ニヤと笑うお雪の尻を、大きなお涼が蹴り上げて、皆で声を上げて笑い合う。

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