快感小説

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新・如月夜叉(十一話)

十一話~ひとときの夕餉


 夕刻前になって屋敷の厨に江角とお雪が立っていた。江角は武家の娘として躾けられ、お雪はもともと女らしく、二人ともに料理は上手い。
 米は米屋が届けに来て、芋や野菜は行商が売りに来る。そのほか鍋や釜や、まるで物の置かれていなかった厨にも女たちの暮らしの支度が整った。
 時刻が暮れ六つ(六時頃)となったとき、暗くなりはじめた中をお燕が一人で戻ってきた。源兵衛とは屋敷の前で別れたと言う。道筋が同じであり、源兵衛に送られれば安心できる。お燕は厨に立つ姉様二人のそばへと嬉しそうに歩み寄る。

「あたしも手伝いますから」
「ありがとね、けどこっちはいいよ。それより嵐のところへ行きな、なんだか話があるようだ。二階にいる」
「はいっ!」
 そして背を向けざまに、大きな丸サバの塩焼きが六皿あるのを見て、お燕は弾けるように笑った。今宵は夕餉だけ食べて帰るつもりでいたお燕だった。
 そのとき、嵐それにお涼とお菊の三人は二階にいて、部屋割りを話していた。
「姉様、お呼びだそうで?」
「ああ、お燕、戻ったのかい」
「はい。江角の姉様が上へ行けって」
「うん、ちょっと入りな」
 襖の外で声をかけ、襖を開けたお燕は、女三人が話し込んでいた様子を察して、ちょっと臆病な顔をした。
 嵐は穏やかに言う。

「あのね、おまえ荷は多いのかい?」
「荷? えっえっ?」
「長屋にだよ。持って来るものがあるだろうから、お涼お菊と行っといで。部屋割りのやり直しさ。あたしと江角が八畳、お涼とお菊、それからお雪とおまえだよ、それでいいね? とりあえずはそうしようって話していたところなのさ」
 お燕はきょとんと目を丸くする。
「居ていいの? 今宵から?」
 嵐は笑って微笑んだ。
「瀬田様にああまで言われちゃしょうがない。はいはい、さっさと行って取っといで、夕餉に間に合わなくなっちまう」

 お燕は黙りこくって両手を胸に抱くように、涙をためて三人を見回した。
「ほれ早くっ! 暗くなっちまうだろ!」
「行くよ小娘! よかったね、あはははっ!」
「はいっ!」
 お菊に尻を叩かれて、お燕はぱぁっと笑顔に戻った。

「・・たまらないね」
「ほんとだよ、可哀想に・・」
 一度は二階に上がって行って、三人揃って出て行ったお燕を見送って、階下の厨で江角とお雪が話していた。お燕の目が赤かった。

 お燕の住む長屋は、屋敷からなら海側へと少し下った目と鼻の先。隣戸には源兵衛もいて、布団それから着替えや寝間着と運び出すのを手伝ってくれる。 四半刻(三十分)もしないうちに屋敷に戻り、板の間の広間に六人で膳を囲む。座卓ではない。それぞれに膳が配られて正座で食べる夕餉であった。
「ぁぁ美味しいっ!」
「そうかい?」
 朝市で仕入れてあったアジの焼き物、野菜の焚き物、味噌汁に飯だった。
「できるんですねっ、お料理」
 江角が苦笑した。
「・・あのね、叩っ斬るよ・・ふっふっふ、できます、このぐらい」
 お燕一人が加わるだけで、昨日会ったばかりのくノ一たちは笑顔になれた。  食べながらお雪が言う。
「いまごろきっと百合花様・・うぷぷっ」
「はいっ、先ほどお見えになられて、もうねちゃねちゃと」
「ねちゃねちゃねー・・なるほど、それりゃそうだ」
 お雪が声を上げて笑い、そしてそのついでに江角は言った。

「瀬田様だろ、このお役目の大元は?」
 口を開けて飯をほおばりながら、お燕はちょっと困ったような顔をした。
「言っていいのかな・・叱られそう」
「かまわないよ、仲間同士の内緒話さ」
「そう? なら言うけど・・逆なんだなぁ」
「逆?」
 江角はとっさに嵐に視線をやって探り合う。
「庵・・じゃなくて百合花様は、あたしのこともあるし、押し込み野盗は多いし、今度のことにしたって惨い仕打ちにお怒りで、瀬田様に逆に詰め寄ったそうなのね」
「何とかしろって?」
「そうです。そしたら瀬田様が上にかけあって、面倒な話を持ち込むならおまえがやれって任されたそうなんですよ今度の始末を。でも瀬田様じきじきには動けない。それで百合花様は、それなら私がやる、許せないって。女の敵は女が葬るって。それもあって法衣を捨てるとおっしゃられて」
「・・なるほどね」
 これですっきりした。存分に働けると皆は思った。

 そのとき百合花は、その力量を知り尽くした如月の嵐がどうしても欲しかった。妹であり信頼できる。他の四人は、散り散りとなった名うてのくノ一の所在を公儀の忍びである甲賀衆がつかんでいて呼び集めた。そうに違いないと嵐も江角も考えた。
 お燕が困ったように言う。
「あたしが言ったって言わないでくださいよー」
 お雪が意地悪な眸を向けた。
「言うかもね」
「ええー、嫌だぁーっ!」
「ふふふ、嘘だよ。でもお喋りの罰は・・お皿洗ってもらおうか」
「はいっ! ああびっくりしたぁ!」
 皆がくすくす笑って、身悶えするようにくずる小娘を見た。
 夕餉を済ませてお燕とお涼で片付けて、それから風呂。ここは忍び屋敷であって、つまりは忍びの詰め所であり、風呂も広く造られて大人の男四人が入れるようになっている。

 流しに立って後片付けをするお燕とお涼、それに嵐を除いた他の三人がまず入り、上がったところで三人が湯へ向かう。そのときには寝間着姿で下は裸。脱衣に立って帯を解くだけで女たちは素裸だった。今日は買い出しなどいろいろあって汗をかいた。お燕は一日働いている。それで三人は結い髪も降ろしてしまって、お燕と嵐は長い黒髪を垂らしていた。色気の漂う光景だ。体の大きなお涼一人が江角よりも髪は短い。
 そしてそのとき嵐もお涼も、お燕の若くみずみずしい姿に目をやった。十七となり、いつでも嫁に行ける歳。尻は張って乳房も膨らみ、下腹の毛も黒々と揃っている。肌が白い。傷などどこにも見当たらない。嵐にも目立った傷はない。
 それに対してお涼には脚や腕に小さな傷が無数にあった。草原を駆け抜けるときにイバラで深く引っ掻いたような傷である。イバラは鋭く針のようだ。

 洗い場で掛け湯を使うとき、嵐はお燕をしゃがませて、手桶ですくった湯を流してやる。張り詰める若い肌が湯を弾くようだった。
 この子といくつも違わない娘や若い妻たちが惨殺される。許せない。嵐もまた思うところは同じ。
 お燕が言った。
「嬉しいなぁ・・夢のようだ」
 お涼が言った。
「そうかい? 可哀想に、辛かったんだもんね」
 お燕は正直にちょっとうなずいた。
「あたしなんかそうでもないけど・・瀬田様に救われて百合花様に救われて。けどあたし、やっぱり独りで・・おっ母が恋しくて・・」
 お燕は涙を浮かべて肩を震わせる。
「おいで、もう泣かないの」
「はい・・」

 立たせたお燕を、お涼が大きな体で抱きくるむ。えーんえーんと子供のような泣き声が屋敷中に響いていた。湯船に浸かり、お涼と嵐の二人で抱いてやる。
「今度のことだけじゃないからね、おまえを泣かせた奴らだって、あたしらが許さないから」
 お涼は言い、お燕の頭を手荒く撫でた。
 この子が絆をつくってくれる。如月夜叉は、これでまとまると嵐は感じた。
 それにしてもお涼とは、見た目は男のようでも心がやさしい。はじめて会ったあのときから、お涼は変わったと嵐は思った。
 嵐が訊いた。
「おまえ、好いた人は?」
「ううん、いません、そんな。瀬田様がそのうち世話してやるって言ってくれて」
「ほう? あらそ?」
「はい・・へへへ」
 お燕は恥ずかしそうに舌を出し、「姉様たちは?」 と思わず言って、しまったというように俯いてしまうのだった。
「あたしは・・もう昔のことさ・・忘れたね男なんざ」
 お涼が言った。
 それを聞き流して嵐が言った。
「あたしは天に任せっきりさ。こればかりはねぇ。くノ一などいつどうなることやら。そう思うと諦めようとしてしまう」
「・・ごめんなさい、余計なことを言いました」
「いいんだよ、あたしら強いから。そんなものに潰されてるようではやっていけない・・これまではそうだった」
 お涼が言って、嵐が同じことを言う。
「そうだね・・これまではそうだった」
 それから嵐は明るく言った。
「けど・・これからは違うよ、もう潜むだけの忍びじゃない。みんなまだ若い。百合花様をごらんよ、憧れるほどの女だもん。あたしらだって負けてはいないさ」
「はいっ」
「だからお燕、あたしらを身内と思って強くなるんだ、いいね」
「はいっ! ああ姉様、ありがと・・あたしだめ、泣いちゃうから・・」

 風呂場のすぐ外でお雪が盗み聞いていた。お雪も目を潤ませた。
 江角もお菊も心が震える。
 お燕が絆をつくってくれる。江角も同じことを考えていた。くノ一ばかり。なまじ腕が立つだけに、いつか互いを牽制し合う。役目のためではなく、いとしい者を守るために戦う。これほど強い絆はないと思うのだった。

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